聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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なにするの?

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 女性陣が服飾店へ突撃してあれこれ物色している間、隊員の少年と店の休憩所であの日突然転移した後の話を聞いていた。
 
 砦の異変は襲撃者が現れたの事。砦に襲撃があったという話には驚いたが、その正体にはさらに驚いた。
 しかも目の前ではしゃいでいる人物がその襲撃者を苦も無く沈黙させ(正しくは踏みつけたらしいが)、更に襲撃者は改心したのか興がそれたのかすでに砦にはおらず、どこぞへと旅立ってすでにいないという。

 正直、少年から報告される話は本当にここ二、三日の事なのかと疑うぐらいてんこ盛りだ。

 砦が襲撃されたのには驚いたが、それよりも聞きたかったのは─────アレだ。
 
 ───── 陽の光のごとく巨大な御神体。

「あ、あ~‥‥‥‥あれはですねぇ。実は、よく分らないのです」

 そこまで饒舌だった少年は、神の話になると口が重くなった。

「というか、自分達にはそれ程教えてもらってません。姫様からは一つだけ。あの神は我々が予想した全能神様ではないらしいです‥‥‥‥」

「─────なんと!?」

 違う? あの神々しい巨大な姿は、全能神以外だとは考えられなかったが‥‥‥‥。

「姫様曰く‥‥‥‥もっと高位の存在らしいです」

「‥‥‥‥!?では全能神様を上回る存在が、あの者の守護に付いているというのか!?」

「本人はよく解らないそうですよ。そういった文化圏で育ってないので、守護という感覚が『いまいち実感がない』って言ってました」

「そうなのか?」

「『会った事ないし?やっぱり解んない』とも言ってましたけど。あれだけバチバチの神圧を受けても平気だったのは、リオさんだけでしたから~」

 加護が付いてるのは、間違いないですよね~とため息と共にかたる少年。
 そんな事はあるのか‥‥‥‥?
 うんうん唸っている間に、女性陣の買い物は終わったらしい。
  
 当の本人は買った服をそのまま着ている様だ。元から着ていた服の方が上等な物だったと思うが、平民服でも欲しかったのだろうか?
 今着ているのはなんてと事はない、平民の冒険者たちがよく着る服装だ。

「ところで、あ奴はあの格好で何をするつもりなんだ?」

「なんでも、『深淵の森』でやる事があるらしいのですが、服が著しく汚れる可能性があるので作業着的な物が欲しかったそうです~。砦には男性用しかなかったものですから」

「‥‥‥‥どこでやるって?」

「『深淵の森』です」

 ‥‥‥‥何をするつもりなのか「ぼくは何も聞かされてないですよ~」にこぉ~。
 神の加護を受けているであろうものが、あの森で一体何をするというのだ‥‥‥‥?

 「ホントにそんな服でいいのかい?」

「いいも何も。こう、動きやすいのが欲しかったんだよね」

 当の本人は目当ての物が手に入ったらしく、上機嫌に片手をクルクル回している。

「さっき着ていた方が上物だったんじゃ‥‥‥‥」

「汚れるって事が解ってるからさ~。魔術で綺麗にも出来るんだけど、ちょっと‥‥‥‥」

 自分の手には確実に手に余る!そうだきっとそうだ!   ─────知らない方が今後の自分の為だ!

 そんな決意を固めていると「ねぇ、アレ何?」と訊ねる声が聞こえた。

  彼女が指差す先には黒々とした大岩に、長い真っ白な柄が刺さっているという、初めて見る人間にとっては奇妙な光景だった。
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