聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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さぁさぁさぁ!

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『これで君も勇者だ!』
『さぁっ!そこの君も挑戦しようっっ!』
『いつでも受けて立つ!』
『君の力をここに示せ!』

 柄の様な物が刺さった?大岩の周囲には、何とも言えない陳腐な台詞が書かれた垂れ幕と看板が立ち並び、その対比が何とも違和感満載。   
 書いてある字もお世辞にも上手くなく、看板もなんなら品がない!色々突っこんでしまいたくなるが、ここはお余所。
 空気が読める元日本人は、第一印象を口に出さず、お口をキュッとした。

「あいかわずよね~」
「また、増えてない?」
「増えてる」

「悪趣味だろ?」

 言ったぁぁぁぁ─────!口に出さないでおこうと気を使ったのにぃ─────

「‥‥‥‥で、結局何なのコレ」

「『神から賜った武器』とも『勇者選別の武器』とも伝われているものだ。この武器と思われる物を、岩から引き抜けばその者の所有物だ」

 ‥‥‥‥は、はぁ、なんか、元の世界でも聞いたことのある様な設定だな。でもあれは、剣だったか。でもまだここにあるって事は、誰も成功してないって事よね。
 それにしても多分、文化財的というか伝説的なものだろうに、この陳腐な観光地扱いは‥‥‥‥。
                                         
「ちなみに、後二十三か所似たような物が各地ある。─────お主、ちょっとアレ抜いてみんか?」

「軽く言ったね─────!?そんでもって数多っ!そんなにあるのっ!?何かこう、もっと価値のあるとか!大事なモノとか 「「「 ない !」」」‥‥‥‥」

「国からの許可もちゃんと出ている。他の物も柄の形は違えど、同じように岩に刺さった状態だ。それに国も他国も、大きな声じゃ言えんが‥‥‥‥」

「「「 邪魔なんだよね~ 」」」

─────お、おう。 RPG定番のシチュエーションが迷惑者扱いとは‥‥‥‥。
 ま、まあ街の中に、通行の妨げのような大きな岩と、センスのない看板やら旗やらが立ち並ぶのは、景観的にどうなのかとは思う。

「史実では他国で抜けた話もあるのだが、調べてみたところ大した物ではないらしい。今では単なる力試しに使ってる所がほとんどだ」

 ‥‥‥‥地元の祭りでもあったなぁ。そんな力自慢大会‥‥‥‥。

「それにアレだよ」

 女冒険者が親指で差す先には、周りの派手な看板とは違い、一番小さくて地味な物。

『 失敗した際には罰金 十マン徴収  領主』

「ぼったくりやん」

 派手派手な看板は、これを誤魔化す為なのか。どこぞの細かい詐欺契約書を思い出すわ。

「領主って、こんな恐喝まがいみたいなことが許されんの?」

「管理は領主に任されているからな‥‥‥‥。こっちから抗議を入れても聞き入れやしない」

「ギルドと領主は良好な関係じゃないしね。それにさ、─────徴収の仕方も悪どくってさ」

 ちらっと視線だけで指し示す方向には、何ともガラの悪そうな連中が、建物の陰からこちらの様子を監視している。

「何も知らない新人冒険者とか、旅人とかが毎回被害に遭うんだよね」
「街の人達も無い方がいいって思ってるんだからさ!」
「さささ。姉さん、サクッと抜いちゃってくださいよ!」

 三人の女冒険者達は勢いづいて、さぁ!さぁ!さぁ!と大岩の方へグイグイ押して来る。

 ─────ちょ、ちょ!?マジでこんな大衆様ご注目の中でやらせる気!?
 自分そこまで陽キャじゃないで、勘弁してほしいんだけど!

「─────おやおや、これはこれは。ギルド長様ではないですか」

 ─────ん?誰?
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