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こわいねぇ~
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「いいとこの子息だとは思ってが、ローエン家だったとは」
「いえいえ、僕は兄妹の中でも末端なんで。何の力もないですよ~。あの人達は知らなくていい事ですけど~」
くるりと振り返り長を見つめる表情は、最初会った時のように害のない笑顔の少年だった。
─────知ってしまった今となっては、その笑顔も怖いが。
「なに?ウィル君のお家の人はお城の偉い人なの?」
何故か鍛冶職人の群れに囲まれた、何も知らない人物が訊ねてくる。
「いえいえ、我が家はお城でお金の計算なんかの、地味な事務仕事をしているだけですよ~。といっても父親ですけどね~」
なんか─────とは言うが、それが国を実質動かしている部署なのは、長も周知の事実。要は─────国家予算。
‥‥‥‥なにが、地味仕事なんかだ。今のローエン家の当主は、国王も頭が上がらない冷たい笑顔の切れ者と聞く。 というか、代々の当主がそんな感じだ。
「‥‥‥‥うむ。それであ奴に何を囁いたか聞いてもいいか?」
「別に大した事じゃないですよ~『実地監査って知ってます?』て言っただけです~」
「実地監査─────」
一度でも領主が管理する領地の経理に不正の疑いがかかると、問答無用で城から大量の監査官がやってきて、メモ一枚、数字一つ見逃されない。後ろ暗い事をしている領主からしてみれば、悪魔の手先でしかない恐怖の団体。
─────行きつく先は、お先真っ暗の未来。
この少年にその権限がるあるとは思えないが、あのローエン家だ。
一言、噂話程度でも囁けば、実現するのは想像に難くない。
「監査か~怖いねぇ~」
お余所から来た人物も、その怖さが何故が伝わるらしい。
「そう言うお主は何をしておるんだ?」
「いや、何か。これを見せてくれって言うから」
先ほどまで怖い気配を振りまいていた人物は、今や興味津々の職人根性溢れる鍛冶職人達に囲まれていた。
「岩から出た武器か‥‥‥‥何か特別な力でもあるのか?」
「?ないよ。自分でも言ってたじゃん。仕上がってないというか、欠陥品だよコレ」
それはそうだが‥‥‥‥。もしかしてという事もあると野次馬的な興味を抱いていたが、それは軽く跳ねのけられた。
「ギルドの旦那。これの価値ははっきり言って、装飾だけだな」
「材料だけは貴重品だが、コレは使えねぇや」
「装飾品としてもコレは使えねぇから、参考程度だな」
「使えないって‥‥‥‥具体的にはどういう事だ?」
ハンマー系の武器の様だから、使いようはあるように見えるのだが‥‥‥‥。
「嬢ちゃん。長にも見せてやってや」
「うん」
鍛冶職人からの提案に、呼ばれた人物は肩に担いだままのハンマーを、ポイっと地面に離す。
ドゴォっン!! と重い音と共に、ハンマーは地面に沈み込んだ。
「ほら───。こんな重量じゃ、武器として問題だらけだよ」
「重心のバランスもデタラメだしな」
「こんなに重くっちゃ、壁にも飾れねぇよ」
口々に問題を並べる職人たち‥‥‥‥。いや、それは解ったが、‥‥‥‥さっきまでコレを片手で振り回していた人間がいなかったか?‥‥‥‥いや、深く考えるのは止めておこう。
「いえいえ、僕は兄妹の中でも末端なんで。何の力もないですよ~。あの人達は知らなくていい事ですけど~」
くるりと振り返り長を見つめる表情は、最初会った時のように害のない笑顔の少年だった。
─────知ってしまった今となっては、その笑顔も怖いが。
「なに?ウィル君のお家の人はお城の偉い人なの?」
何故か鍛冶職人の群れに囲まれた、何も知らない人物が訊ねてくる。
「いえいえ、我が家はお城でお金の計算なんかの、地味な事務仕事をしているだけですよ~。といっても父親ですけどね~」
なんか─────とは言うが、それが国を実質動かしている部署なのは、長も周知の事実。要は─────国家予算。
‥‥‥‥なにが、地味仕事なんかだ。今のローエン家の当主は、国王も頭が上がらない冷たい笑顔の切れ者と聞く。 というか、代々の当主がそんな感じだ。
「‥‥‥‥うむ。それであ奴に何を囁いたか聞いてもいいか?」
「別に大した事じゃないですよ~『実地監査って知ってます?』て言っただけです~」
「実地監査─────」
一度でも領主が管理する領地の経理に不正の疑いがかかると、問答無用で城から大量の監査官がやってきて、メモ一枚、数字一つ見逃されない。後ろ暗い事をしている領主からしてみれば、悪魔の手先でしかない恐怖の団体。
─────行きつく先は、お先真っ暗の未来。
この少年にその権限がるあるとは思えないが、あのローエン家だ。
一言、噂話程度でも囁けば、実現するのは想像に難くない。
「監査か~怖いねぇ~」
お余所から来た人物も、その怖さが何故が伝わるらしい。
「そう言うお主は何をしておるんだ?」
「いや、何か。これを見せてくれって言うから」
先ほどまで怖い気配を振りまいていた人物は、今や興味津々の職人根性溢れる鍛冶職人達に囲まれていた。
「岩から出た武器か‥‥‥‥何か特別な力でもあるのか?」
「?ないよ。自分でも言ってたじゃん。仕上がってないというか、欠陥品だよコレ」
それはそうだが‥‥‥‥。もしかしてという事もあると野次馬的な興味を抱いていたが、それは軽く跳ねのけられた。
「ギルドの旦那。これの価値ははっきり言って、装飾だけだな」
「材料だけは貴重品だが、コレは使えねぇや」
「装飾品としてもコレは使えねぇから、参考程度だな」
「使えないって‥‥‥‥具体的にはどういう事だ?」
ハンマー系の武器の様だから、使いようはあるように見えるのだが‥‥‥‥。
「嬢ちゃん。長にも見せてやってや」
「うん」
鍛冶職人からの提案に、呼ばれた人物は肩に担いだままのハンマーを、ポイっと地面に離す。
ドゴォっン!! と重い音と共に、ハンマーは地面に沈み込んだ。
「ほら───。こんな重量じゃ、武器として問題だらけだよ」
「重心のバランスもデタラメだしな」
「こんなに重くっちゃ、壁にも飾れねぇよ」
口々に問題を並べる職人たち‥‥‥‥。いや、それは解ったが、‥‥‥‥さっきまでコレを片手で振り回していた人間がいなかったか?‥‥‥‥いや、深く考えるのは止めておこう。
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