聖女召喚に巻き添え異世界転移~だれもかれもが納得すると思うなよっ!

山田みかん

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待ったなし

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 脳筋祭りは、ルール内で技を作り出す輩が出てきたり、自分もやりたいという輩が出だしたり、終わりの兆しが見えてこないので、中庭を姫さんと二人で退散した。

「ああいう娯楽?、みんな好きですよね~」

 娯楽なんて、元もとそんなにないんですけど。とはお姫様談。
 
「まあ、体育会系はそうじゃない?なんで脱ぐのかは知らんけど」

「アレが正式って言ったんじゃ「ないよ」ですか‥‥‥‥」

 私は『相撲』だからと、服を脱げとは言ってはない。
 なんなら勝負を始める前から、とっくにおっさん達は上半身脱いでプロレス状態だったし。

「‥‥‥‥なんで脱ぎたがるんだろね?」

「そうですよね。私には理解できないんですけど‥‥‥‥」

 ─────うんうん、自分もわからんよ。
 元の世界でもケンカ腰になると、上半身裸になる輩はいたけど。
 一言付け足すなら、お前その薄っっすい筋肉で何を主張したいんだ?と聞きたい。見せられるこちらの立場になってみろって話だ。
 ここにいる野郎共は騎士隊員であるから、薄い筋肉の持ち主は皆無で、ちゃんと程よい筋肉の持ち主ばかりである‥‥‥‥ので。

「きゃ~~~~っ!!」
「がんばって(脱げ、脱げ)~~~!」
「前でろ!前(脱げ)~~~~~!」

 ‥‥‥‥一部の女性陣には、大変好評のようだ。
 声援と共に心の声が漏れていた事には、触れないでおこう‥‥‥‥。
 
「楽しそうだし、いいんでない?‥‥‥‥ちょっとレスリングっぽいけど」

「‥‥‥‥そうですね」

 本格的な『相撲』と言われても、自分はそんなに詳しいわけでもないから、色々突っこまれてたら困る。
 結果的になんちゃって『相撲』だから、それっぽい事をすると外国人がレスリング競技をしている感じに近い。

「やっぱり『廻し』‥‥‥‥」

「姫さん待っただ。これ以上の面倒は見きれない」

 ─────野郎の廻しの世話など無理だ無理。

 そう言いながら廊下を進んでいくと、前方でウィル少年が廊下の先をのぞき見をしていた。
 
 なんだなんだ?と野次馬のように一緒に覗いて見ると、料理長と奥さんのマールさんの前でお座りしているシロ君と、更に小っちゃい弟君の背中が見えた。
 
「わうわうわう (いいか、弟よ)」
 「きゃう (あい、にいたま)」

「ワウワウワフ (この人間達には、いい顔をしておけ)」
「きゃうきゃう? (なぜでしゅか?)」

「────ワフワフワフワフ(旨いものが食えるんだ)」
「きゃ~う (あい。わかりまちた~)」

  弟君のピルピル尻尾攻撃と、更に短いお手ての「ちょうらいちょうらい」攻撃のコンボに、無口な料理長は即陥落した。

「んまぁかわいい子だねぇ~アンタに尻尾ふってるよ」

「‥‥‥‥ん」

 スッッと白陽には大きな干し肉を、小さく刻んだ干し肉は弟君に献上される。

「きゃううう~(ほんちょだね、にいたま~」
「わふ~ (だろう?)」

「あれ、リオさん。どうしました~?」

 三つ子たちに心を許してもらえるまで幾日も要したリオ。
 我慢を習得するのに、何日もかかったリオ。
 
 ─────涙文字を床に書きながら、料理長に敗北したのを知るのであった。  

~~~ ~~~ ~~~  
 

 ひと手間の「エールボタン」ありがとうございます。
 時間を割いてくださった事に感謝感激で、連続前転ローリングをかまします。 
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