「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

文字の大きさ
125 / 142

124.合理的で役得?

しおりを挟む

 
 ベッドの上。意識は朦朧としてるけど。気持ちいいってことだけは分かる。
 さっき一人であんなにきつかったヒートが瑛士さんに触られてると和らぐ。

 どうしてだろう。
 気持ちいいしか、なくなるの。
 肌が汗ばんで、瑛士さんの手が、ぴた、と張り付くみたいで。
 はずかしい、のに。


「凛太……」

 優しい声がする。

「……大丈夫?」

 瑛士さんの声に、何とか瞳を開ける。


「……ん」

 頷くとまた唇が重なって、キスが絡む。

 大丈夫、ではない。
 気持ちよすぎて、怖いとか。

 生まれて初めてな感覚に、どうしてたらいいのか分からない。
 瑛士さんが触れるところ、全部気持ち良くて、何回も、イッちゃって。

「んん、ぁ……っ」

 喉が、震えて、声が抑えられないなんて。
 こんな風になるの。昨日までは知らなかった。

 昨日初めて、自分以外の人の手が触れた。
 瑛士さんの、綺麗な手。オレのそんなとこ触らせていいのか分かんなくて、どうしようって思いながら。

「……凛太」

 なんとか目を開けて、見上げる瑛士さんは、ずっと優しくて。
 でも、いつもとは全然違う、熱っぽい瞳。


「えいじさ……っあ……」

 瑛士さんの、匂い。
 体を包んでるみたいな気がする。
 
 上位アルファの側にいるから、反応、した?
 ……アルファのフェロモンに起因してヒートが起こることがあるのは、知ってるけど。

 分かんないけど……。

「……っ」

 瑛士さんは、体中触る。肌に熱がどんどんこもっていって、息があがる。

 すごく、気持ちいいけど。
 瑛士さんのフェロモンに包まれて、気持ちよすぎて、死にそうになってるけど。


 ――中には、入ってこない。




 瑛士さんの手がまた、熱くなってるオレのを触れて、刺激する。
 唇を噛みしめても、キスされて、解かれる。

「唇、噛んじゃダメ」

 優しい声で、囁いて、くす、と笑う。

「声、出してていいよ……めちゃくちゃ、可愛いから」 
「……っ」

 そんな風に囁かれてすぐ、瑛士さんの舌が絡んでくる。
 上顎を舌でなぞられて、ぞわぞわするのに、気持ちよくて、声がくぐもる。

 舌を吸われたとき、腰が自然に浮いて、恥ずかしいのに、気持ち良さにどうにもできなくて。

「……っんん……」

 ぎゅ、としがみつくと、大きな手が、背中に触れる。首筋に落とされるキスが、大丈夫だよ、と言ってくれるみたいで、なんだか、体が、震える。

 瑛士さんは、優しくて、あまったるくて。
 でも、たまに逃げたくなっても、逃がしてはくれない。

 容赦ない、快感を与えられ続けてる、みたいな。
 瑛士さんの手で、イくと、「上手」と言って、頬にキスして、撫でてくれる。
 
 甘い匂いが。強くなって。
 おひさまみたいな。

 それが強まると、オレのヒートは、楽になる。苦しいのが、溶けて。
 でも快感は、強くなる。
 もうどうしたらいいか、分からなくなって、瑛士さんのくれる感覚を、追う。

 瑛士さんのも、きつそう、なのに。
 ――どうして、最後までは、しないんだろ。
 我慢、してくれてるのは、分かる。

 だって。
 きつそうに、眉を寄せる時があるし。息、熱いし。

 でも、
 優しいまま。
 触れてくれてる。


 ふわふわ、ずっと、気持ちよくて、しあわせなのは。
 ごまかしようがなかった。





 ◇ ◇ ◇ ◇


 ふ、と目が覚めると、隣でオレを見ていたらしい瑛士さんが、すぐに気付いた。
 背中にあったかい手が触れる。

「目、覚めた?」
「……はい」
「起き上がれる? 無理かな」

 くす、っと笑いながら、背中を撫でてくれる瑛士さん。

「きつかった?」
「…………えと……」

 気持ちよすぎてきつかったけど。
 ……ヒートは、すごく楽になった。今は、また、すごく落ち着いてる。

「……ありがとう、ございました」

 そう言ったら、瑛士さんがきょとんとしてオレを見た。

「……ありがとうって言われたのは初めてかも」

 クスクス笑って、瑛士さんが体をかがめる。
 ちゅ、と頬にキスされる。

「……ヒートが楽になったから? お礼言ったの?」
「もう……全部、いろいろです」
「そっか。いろいろね」

 クスクス笑いながらオレの頬に触れて、じっと見つめてくる。


「凛太、今、オレの話聞ける?」
「……はい」

 むく、と起き上がろうとすると、その手で、止められる。

「いいよ、寝てて」
「え、でも……起きます」

 寝ながら人の話聞くとか。しかもなんか、大事そうな話なのに。
 そう思ったけど、なんだか思っていた以上に体が。
 力が入らない。ベッドについた手が、なんか、プルプルしてる。

「あれ……?」

 なにこれ。
 こんなになったこと、無いんだけど……。固まってると、瑛士さんが、ふと、笑い出して、お手を伸ばしてきた。

「よいしょ、と」
「……っっ?」

 あぐらをかいたみたいな瑛士さんの上に、すっかり抱っこされてしまった。
 瑛士さんの顔が、めちゃくちゃ近くにある。
 ち。近い。心臓が一気に、跳ねた気がした。

「えっ……こ、これで話すんです、か?」
「だって、一人で座ってられなそうだから。合理的でしょ」
「……っごうり……?」

 合理的ってなんだっけ……?
 近すぎて。

 囁きが、頬をくすぐるくらい、近すぎて。
 これはちょっと無理、どうしたら……と思っていた。


「まあ、可愛いから、オレが役得なだけだけど」


 瑛士さんがクスクス笑いながら耳元で囁いて、オレをさらに引き寄せて、オレの額にすり、と顎を寄せてる。

「……っ」

 声が、出ない。耳から入ってきた瑛士さんの声が。くすぐったすぎて、死にそう。
 心臓が、爆発したら、瑛士さんの、せいだ。
 と、思った。






しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...