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28.教授二人
しおりを挟む飲み屋について、大分経った。
今日の主役は、内海 滋教授。
優秀な医師で、全国から患者が集まってくる。その傍ら、論文も精力的にこなす。講義は面白くてためになるが、課題はきつく、学生はむしろ嫌がってる。αだし、まあまあ偉そうだけど、でも、ほんとに偉い先生だから、許せる。ちゃんとスーツを着てれば結構イケてるおじさんなんだけど。寝不足で色々立て込んでる時とかは、ひげとかひどくて、ヤバい人になってる。今日は、ひげ剃ってるし、イケてる感じの日みたい。
なんだかんだ癖がある人だけど、でも、オレは、なんだかこの人が好き。権力とか嫌いで、歯に衣を着せない。もっとそういうのに賢い人なら、もっともっと良い地位に居るのだろうけど。でも、そんなとこが、好き。
きつい課題も、こなせれば、ためになる。
まあ。――大変だけど。
そしてこの人は、Ωの症状にも詳しい。専門医ではないけど、頼りになる。Ωの患者も多い。Ωのフェロモンの件でかかっているというよりは、他の病気のΩが患者さんで来てる。
まあそれでも、今までは、オレがΩだって話もしてなかったし、オレがΩだってことにも気づいてなかった。
たくさん居る教授の中で、オレが特に頼りにしてるのは、内海教授ともう一人。
「凛太くん、飲んでる?」
こちらはいつもさわやかな、佐川 理久教授。
内海教授とは、大分タイプが違う。いつでも上品だし。ひげをそってないなんて、ありえない。眼鏡が似合う知的な感じ。この人は、Ωの専門医。αだけど。オレの憧れの人だ。
こうして考えると、オレの周りって、α多いんだよね。医者になろうって人、αが多いから当たり前だけど。αか、金持ちβが多い。
Ωはあまり居ない。まあごくごくわずか居るけれど、大体そういう人達は、実家が開業医で、そこを継ぐって人が多い気がする。
――まあ。オレみたいなのは珍しいのは分かってる。
だからこそ、あの、アカウントのフォロワー数だとも思ってる。めったにいないから、ほんとになれるのかっていう興味本位の人達も、表にはたくさんいると思う。
絶対なる。オレはまず、なんにでもなれるって、あそこで示すんだ。
本名を明かすとしたら、実際医者になれた時かなあって思ってる。
父はじめ、えらそうなαは大嫌いだけど。
近くにいる、αは結構頼もしい。――瑛士さんも、それにくわわったって感じ。
瑛士さんは、なんだかふわふわしてて、軽くて、心地よくて、なんか、ここにいる人達とはまたなんか、違う。不思議な感じなのに、一番上のαなんて。ほんと不思議。
「入学して三年。あと三年で、どこまでオレらに近づけるかな」
内海教授と佐川教授が合わさったみたいな医者になりたいですって、最初に自己紹介したから。何かあるたびにからかわれるけど。
「別に学生の間に追いつこうなんて、思ってないですけど」
「はは。少しは近づいて」
「んー。はい」
頑張れっていつも言われて――追い立てられているような。応援してくれているような。
「そういえば、こないだのレポート、良かったよ」
「えっほんとですか。やったぁ。ありがとうございます」
「うんうん、じゃ飲もうか」
「はーい」
なんだかんだで、オレは結構お酒は強い方なので、面白がって、教授たちには飲まされる。
「飲ませすぎないでくださいよ。寝不足だと、糸が切れるみたいに突然寝るんだから」
「はいはい。竜くんは相変わらず保護者だね。あ。そうだ、凛太くん、例の件なんだけど……」
「あ、はい」
「凛太くんのこと。今、言ってしまおうと思うんだけど、どう思う?」
少し前、教授二人に伝えた時、オレの結婚と、実はΩだったってことをいつか発表しようとは言われていたんだけど。
「今日は内海教授のお祝い会だから、よく絡むメンバーは、全員ここに居るよねっていう話に、さっきなったんだよね」
聞いていた竜は、いいんじゃないですかね、と頷く。
「発表した後の皆の反応も、まとめて見れるし」
竜の言葉に、そうだね、と佐川教授は笑って、「内海教授」と、声をかけた。
「ああ――言うか?」
「皆が酔っ払う前に言っておきましょう」
「凛太、いいのか?」
「はい。お願いします」
「じゃこっち、来い」
立ち上がって、内海教授の元へむかう。後ろから、佐川教授も一緒に、来てくれた。
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