「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

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29.発表

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 結婚が決まったって話と、Ωだったっていう話を皆にするのは。
 まあまあ覚悟が要ることだった。

 フェロモンが出ないし、それならαとの問題も無いし。
 今まで二年以上、ここの皆とは一緒に勉強してきたし――。最初はそう思ったんだけど。

 教授たちと話していて、二人や竜が、今後、少しやり辛くなる覚悟はした方がいいって言った時。
 あ、やっぱり、そうなのか、と思った。

 αが多い場所。
 今まで、βだと偽ってたけど。

 αの中で、Ωは、βよりも、地位が低い。
 根本的に、Ωはαの所有物、みたいな感覚でいるαが、一定数居る、ということだった。


 でもそれでも――。
 教授たちは、すんなり受け入れて、変わらず接してくれたから、何とかなるかなと思った。
 ならなくても、頑張ろうと、思った。

 思った、のだけれども。

 教授たちが、そのことを伝えた時、飲みの席だし、最初は、何の冗談だと思ったらしい。皆。
 その内、本当なのかと気づくにつれ、飛んでくる好奇の視線。

 ――……なるほど。と思った。

 SNSでさんざん聞いた、αの嫌なとこ。まあ知ってたけど。
 一部。オレがΩだってことで、さっそく、面白そうに見てくる奴らが居た。

 教授たちは、「バース性に関わらず、医者を目指す仲間だ。それに結婚するから、フェロモンの心配も無い」と伝えてくれた。まあ元々Ω要素がほぼないのでその心配はないのだけど、そのことは、教授たちと相談して言わないことにした。

 欠陥品のΩ。別に欠陥ということも無いけど、フェロモンが出にくいとか、ヒートが不定期なΩを、そう呼ぶ風潮があることを鑑みて、そんな風に噂されるのは好ましくないと、教授たちとの話し合いで決まったんだけど。


「凛太、Ωなの? 全然感じたことねぇよな」
「それ、オレも思った」

 それは聞こえたけど、他のこそこそ話、全部は聞こえなかった。


「名前は変わらないし、何もかも、今まで通りで頑張るので、よろしくお願いします」


 教授たちの後に続いて、そう挨拶をした。表向きは、「おめでとー」と、言ってくれる人が多かったけど。
 ちょっと――嫌な雰囲気は、あった。


 まあ仕方ない。
 頼もしい教授たちと、竜が味方だし。

 この際、全部オープンにしようって決めたし。……瑛士さんのためでもあるし。ひいては、父に頼らない、オレの自由のためだし。多少のやり辛さは、我慢しよう。とは決めてるんだけど。

 あー。なんか。こそこそ話、嫌だなあ。
 落ち着くまでこんな感じか。


 ちょっとお酒の進むペースが速くなる。
 竜が「ちょっとおさえろ」と言ってくるんだけど、「明日休みだから飲ませてー」と。

 少し眠くなってきた時。スマホが震えた。


「凛太、今家にいる?」

 瑛士さんだった。「まだ外です」と返した。

 ――家に居たら、会えたのかな。

 ……なんか嫌な雰囲気を一部に感じて、先が面倒だなぁ、なんて。ちょっと疲れて。

 瑛士さんの、軽い感じで、笑い飛ばしてほしい、なぁ。
 瑛士さんとのトーク画面を見ながら、なんか眠くなってくる。

「――竜、ちょっと寝ていい?」
「は? だから飲むペース考えろって……」
「ごめん、帰り起こして」

 テーブルに倒れると、竜のため息が聞こえる。
 うとうとしていた時。
 
「凛太がΩなら、お前と結婚すればいいのに」
「そういえば、結婚相手だれ? 竜? だから仲良かったのか?」

 そんな声が聞こえてきた。反応すんの、めんど。竜、任せた。

「だったらさっき発表してるだろ。あほかよ。くだらねえな、小学生みてぇ」

 竜が一刀両断してるのが聞こえる。
 ――ありがと。

「じゃあ相手、誰だよ」
「全然Ωっぽい魅力とか無くねえ? 誰と結婚すんの、凛太」
「α?」
「――αだとは聞いてる」

「なんか相手もしょぼそうだよなー、凛太、勉強ばっかしてるし。いつの間に、そんな相手」

 うーん。
 確かに。
 オレ、勉強ばっかりしてると思われてるだろうし。

 合コンとかにも行かないし。皆、忙しいのに、合コンだけは時間を捻りだしてるような……。遊びも参加しないし。……確かに、オレみたいな人が結婚、とか言ったら。多分、オレも、え? と思うだろうなあ。……だからまあ、しょうがない。うん。まあその内、詮索も飽きるよね……。

 ――ウトウトしながら、あれ。なんか話、途中で終わったような。思ってると、ち、と竜の舌打ち。


 はは。多分、竜が凄んだか何かかな。
 ――やっぱ、ありがと。竜。


 ふ、と顔が綻んで――そのまま、多分、寝ちゃった、と思う。





 
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