「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

文字の大きさ
35 / 142

35.変な皆

しおりを挟む


 今朝のごはんはトーストと、目玉焼きとベーコン。ちぎったレタスとヨーグルト。冷蔵庫にあまってたものを集めて、それしか出来なかった。買い物行かないと。

 トーストは少しだけ水を掛けて格子に切り目を入れて、バターを置いてオーブンで五分。目玉焼きは弱火で半熟に。ベーコンはあんまりかりかりしすぎないように。ヨーグルトにははちみつを入れた。それとコーヒーメーカーのコーヒーだけなので、瑛士さんが来た時には、ちょうど出来上がっていた。
 瑛士さんて、こんな簡単な朝ごはんでも、すっごく褒めてくれるので、なんかすごくほくほくした気分だった。

 なんか楽しいなあ、と思いながら一緒に片付けをして、マンションを一緒に出てきた。瑛士さんの会社は、すぐ近くなので、手を振って別れて、オレは大学に来た。

 自習室で、昨日残した諸々の課題を進める。一心不乱に進めて、ふと、喉が渇いて作業を止めた。学校について、二時間。何も飲んでなかったことに気づいて、自販機まで歩く。

 今日は本来は休みなので、特に熱心な奴か、逆に課題がヤバい人しか、居ない。
 
 さっき、課題がヤバいんだろうなーという四人組に会った。昨日の飲み会に居て、なんか面白そうな顔でオレを見ていたなあ。なんて思って。Ωだったことで、絡まれるだろうか、と、身構えたのだけれど。なんか、変な動きで近づいてきたと思ったら。

「Ωだったなら、早く言えば良かったのに」
「そうだよ、困ったことあったら言えよな!」
「そうそう、オレら、友達だもんな」
「そうそう!」

 ――なんだか、良く分からないことを並べ立てて、あははは、とか笑いながら、消えていった。何だ? Ωにそんなに優しくするタイプだった? ……いや、昨日言った直後は、すっごいやな感じで、見てたし、なんか絶対言ってた筈。

 ――っていうようなことがあって。
 そのあと別の人。こっちは、研究熱心で来てるタイプで。ほんと真面目で。ちょっと変わってて。いつもなら、めったに自分から話しかけてこないし。話したとしても、医学に関するようなことのみ、みたいな。世間話みたいなの、したことなかったんだけど。

「ねえねえ、君の結婚する人さ」
「?」
「すっごい興味深いよね。あの圧は、研究に値するよ。今度、ぜひ、じっくり話させてほしいんだけど」
「……あつ?」

 あつ。アツ。――圧。多分、これ? 圧?
 ――瑛士さんの、圧?

 何言ってるんだろう? と思っていたら、そいつはそのまま、ふふ、と笑いながら、離れていった。

「――?」

 一人がおかしいくらいなら、別にたまにあるだろうけど。
 なんか、変なのが五人も居ると……ていうか、今日出会った僅かな五人が全員、変ってなると、なんか――。
 なんだろう? よく分かんないなあ。
 水のペットボトルを手に、首を傾げながら歩いていると、前方に内海教授を発見。

「教授、こんにちは」
「ああ。凛太。今日は来てたのか」
「はい」
「大丈夫だったか、昨日」

 オレは、教授を見上げた。

「あ、すみません、寝ちゃって。瑛士さんに連れて帰ってもらっちゃうとか……教授のお祝い会だったのに」
「祝いってことで飲み会してただけだから、別にそっちはいいけど」
「けど、なんですか?」

 教授は、顎先の髭に触れてぽりぽり掻きながら、んー、と考えている。
 ……結構考え込む時の、癖。

「どこで知り合った、あのα」
「……あ。えーと……まあある種、運命的な出会いを……」

 嘘ではない。変な店の前でウロウロしてるところで、出会った。

「……あいつ、トリプルSのαか?」
「あ。そう、みたいです」
「医者にも教授にも、αだらけだが――紫の瞳をもったαは、初めて見たなぁ。よく捕まえたな、あんなの」
「――そう、ですね……まあ……」

 確かに。契約結婚だとしても、それすらも、普通なら関わりすらないタイプの人だからなぁ。と思いながら、頷いていると。

「独占欲も、庇護欲も、すげえ強そう。お前、色々気をつけろよ」
「――」

 独占欲と庇護欲。……気を付ける、とは?

「αはただでさえそういうの強いのに――ランクが上がるにつれて、そこらへんも一緒にレベルが高くなってく。あんまり刺激しないように、気を付けとけよ」
「……はあ……」

 全然分からず、一応、声だけ出した感じで頷くと。

「あ、そうだ。凛太、お前、今度、オレと佐川の診察を受けろ」
「え?」

「αだらけの中で、誰も気づかないΩなんて、あんまり居ない。でも竜は気付いたんだろ?」
「……そう、ですね……なんか、匂うって」
「お前、判定不能って言われたんだよな?」
「あ、はい。ランクの測定が、出来ないって」
「Ω要素が弱すぎるからの判定不能と、違う理由で判定できないだけってのがあるんだ」
「――……違う理由、ですか?」

 ――でもそんな話、SNSとかでも、聞いたことないし。
 ……というか、そもそも判定不能って言われたの、まだ他に聞いたことないけど。でも医者は、ごくまれには、Ω要素が弱すぎる、ほぼβのΩが居るんだって、結論づけてたし……。

「Ω要素が本当に弱いだけなら、竜も気づかない」
「――」

 あ。なる、ほど……?

「だから一回、診察させろ。興味深い」
「興味……実験台ですか?」

 笑いながら言うと、「まあそうだな。面白そうだから、見せろ。お前自身も、知りたいだろ、自分の体のこと」と、笑う教授。

「まあ、それはそうですね」

 確かにそうかも。 
 うんうん頷いていると、「じゃあ、今度、日を決めような」と教授が言って、じゃあな、と離れていった。

 ――んん。なんか教授も変なこといろいろ言ってたような……。
 庇護欲……独占欲……?
 うーん……。
 
 なんだかよく分かんないけど。まあ考えても分かんないことは仕方ない。
 とりあえず勉強して、帰ろうと思って、自習室に向かった。


しおりを挟む
感想 129

あなたにおすすめの小説

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...