「恋みたい」

星井 悠里

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2.三か月ぶりに

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 冬休みに葵の所から帰ってきてからこっち、連絡を少しだけ、減らしてみるという悪あがきをしていた。前なら二回連絡してた所を一回に。……それでもまあ、そんなのは本当に、葵にも気づかれもしない、自分的にもほんのちょっとの悪あがき程度にしかならず。結局、毎日連絡を取ってる事には変わりはないのだけれど。

 春休みになって、葵に会いに行くか悩み真っ最中。

 会いたい。
 でも、三か月前も押し掛けたし。

 ……葵が好きすぎて、なんかヤバい気がするし。

 春休みは短いからやめとこうかなと自分を誤魔化そうと思うけれど、そしたら夏まで会えないのかもと思うと、嫌すぎて、困る。


 どないしよ。

 ここ数日、いつも同じことを堂々巡りでずっと、考えていた。


 そんな中。今日は、高校の友達らに誘われて、花見に行った。
 昼間から暗くなるまで。ライトアップされた夜桜も見てきた。

 男女十人位。
 楽しかったし。綺麗だったし。行ってよかった。

 皆と別れて駅に着き、一人、家へと歩きながら。

 桜、めっちゃ綺麗やったなあ……。
 ……東京も、もう満開になったんかな……。

 そんな風にふと東京を思い起こすと、すぐに葵を思い出す。

 ほんまは、葵と桜を見に行きたいけど……。

 なんて思った時、ふと、今日の夕方に葵から来ていた連絡を思い出してスマホを取り出した。

『今、大和って家に居る?』

 花見中に、葵からそんなメッセージが入ってきたので、「今花見に来てる。ライトアップのも見るから帰るの少し遅いかも」と返すと「何時位?」と聞かれた。「夕飯は食べへんと思うけど」と伝えると、「了解。家着いたら連絡して」と返ってきたので、スタンプで了解を返した。

 それ以降は何の連絡も来ていなかった。

「オレもうすぐ家着くで。電話すればええ?」
 
 そう入れて、少し待つが既読はつかない。とりあえず帰ろうと、スマホをポケットに入れたその時だった。


 目の前に。
 葵が居たのだった。



「……何でここに居るん?」

 駆け寄って、思わず、葵の腕を掴む。ちゃんと触れる。幻ではない。


「……どないしたんや? 何かあったんか?」

 そう聞くと、葵は苦笑いを浮かべて、オレを見上げてくる。


「何もないよ。春休みだし、大和に会いにきただけ」

「……ほんまに?」
「ああ」

 普通の顔で頷くけれど。

 そんな訳あるかい。
 連絡もせんと、こんな急に大阪までやってきてからに。


「お前ずっと待ってたん? 昼間の連絡ん時はどこに居たん?」
「あん時は新幹線に居た。色々寄りながら来たから、そんなに待ってないよ」

「……ほんま、どうしたん?」

 心配になって、聞くと。
 
「なんか昨日のお前の連絡見てさ」
「昨日の連絡? どれや?」

 ……減らしたと言っても、日々いくつも送ってるから、咄嗟に分からない。

「大阪は桜が満開だっていうやつ」
「……あ、あぁ……ん、送ったけど……そんなんでわざわざ来たん?」

「うん、まあ。そう。暇だったから」

 静かに頷いた葵。
 微妙な空気に、言葉を奪われると。次の瞬間。葵は、笑った。

「花見行って帰ってきたばっかりで、悪いんだけどさ……これから暇?」
「ああ。暇。暇やなくても、暇にするし」

 思うまま、そう言ったら、葵は少し黙ってオレを見つめてから、ふ、と笑んだ。 

「桜の綺麗なトコ、連れてってくんねえ?」

 にっこり、綺麗に、微笑まれて。
 その笑顔に見入ったまま、 オレは、頷いた。

「……すぐ用意する。とりあえず家まで、一緒に来て?」
「ん」


 頷いた葵と、久しぶりに並んで歩き始めた。










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