俺嫌な奴になります。

コトナガレ ガク

文字の大きさ
220 / 328
世界救済委員会

第二百十九話 挑戦状

しおりを挟む
 陽気なカラーの店内には若い男女で混み合っている。ここはイタリアン酒場でお値段の方は中の上と大学生や若い会社員達が気合いを入れたときに取る店。ピザ専用の釜があるなど料理もおいしいとの人気店の一つ。普通ならなかなか予約が取れないのだが大野はどういうツテかあっさりと予約を取ってきた。
 部屋の角に設置された大テーブルに男性陣は少し早めに全員着席していた。俺、西野、大野の他、性欲をぎらつかせ脂ぎった男三名を大野が連れてきた。何かで鍛えているの肩から剥き出しにされた腕や首はかなり太い。
「呼んで頂いて嬉しいっす。今日はバッチリ任せて下さい」
 三人の中一番頭が軽そうなソフトモヒカンが意外と下手に出てくる。オラオラ系でインテリっぽい俺など威嚇してくるとタイプだと思ったんだが。
「三人とも強そうだが、何かやっているのか?」
「総合やってんだぜ。寝技なら任せとけ、一度組み付いたらとろんとろんにしてやるぜ」
 三人の中一番体格のいい丸太のような男が得意気に下品に下ネタを言う。
 総合か、特化型じゃない分穴も無い。相手の弱点を突くのがスタイルの俺とは相性が悪そうだな。
「兄貴の寝技に敵う女なんかいないぜ」
 唇にピアスをした男がそんなに受けたのか笑いながら言う。
「それは期待出来そうだが、分かっていると思うが飲み会の席ではあまりハメを外すなよ」
「分かっているっす」
「途中で逃げられたら馬鹿らしいもんな。俺達は大人しく盛り上げ役のサポートに回ってるから安心してくれ」
 一応自重してくれるつもりはあるようで一安心。此奴等が悪酔いして合コン自体が潰されたら目も当てられないからな。
「頼むぜ本番はこの後なんだからな」
「おうおう任せとけって」
 不安だ。酔って暴れ出したら手が付けられそうに無いが、そこは大野が上手く抑えてくれると信じるしか無いか。何せ自分の一生が懸かってるんだしな。
 俺達はざっと自己紹介を済ませ、今日の段取りについての打ち合わせも終わった。後は女性陣が揃うのを待つだけ。
 各人スマフォをしたり雑談しながら時間を潰していき開始時間10分ほど前になると、女性陣もぽつぽつと集まり出す。男性陣と違い下膳が個別に集めたメンバーなのでどこかで待ち合わせて一緒に来るということはないのだろう。
 四人ほど順調に集まった。確かに下膳がAランクと言うだけあって、どれも可愛い。見ているだけで良ければ旨い料理の肴に悪くない。しかし今日は一人浮かないように周りに合わせないといけないと思うと気が重い。
「こんばんわっ」
 跳ね上がったような髪型をした女性が明るい元気な挨拶をしてくる。
「千賀地 さくっていいます。今日は合コンにお呼ばれしちゃいました~。
 あっ席どこでもいいの?」
「ここに、どうぞ」
 女性を出迎えては巧みに予め決めておいた席に誘導していた西野が俺のサインを読み取り千賀地を真ん中の席に誘導する。彼女はターゲットになる仕込みの女性、みんなから酒を勧めやすいようにとの配置だ。
 本来ならそこにはキョウが座るはずだった。だが決定的な決裂は回避されたので一応契約通りに作戦概要を波柴に伝えにいったところ、拒否された。
 理由は未成年に飲酒させることは容認出来ないとのこと。今更何を言っているんだこのオッサンはと呆れ気味に抗議しても頑として受け付けず。代わりの成人女性は波柴達が用意すると言われた。なるほどね事ここに到ってもまだ俺に首輪を付けようとするかと呆れ果てた。これを理由に今度こそ決裂しても良かったが、レイプされる寸前まで追い込まれる役をキョウに頼むのは若干心苦しかったし、遠慮無く使い潰してやれると思い直し了承した。
 もしかしたら海千山千の波柴のことだ、そんな俺の心の揺らぎを見抜いての提案だったのかもな。
 中央に座った千賀地は若く女子大生に無理なく見え明るそうでリスのように可愛い。二十歳を越えたかどうかくらい、この局面で流石に短大卒で配属されたての新米を寄越すとは思えないから、高卒の警官なのか? だが警察幹部にまでなった波柴が準キャリアなら兎も角何万と居る下っ端の巡査とどんな接点があるというのだ? 波柴の愛人だったんじゃ無いかと勘ぐってしまう。
 まあ、今のところ違和感なく溶け込めているし役に立つようなので良しとする。後日にキッチリ調べよう。上手くいけば波柴派の弱みをもう一つ握ることになる。
 これであと一人来ればメンバー全員が揃う。あまりこういった波にうまく乗れない俺が盛り下げ要因にならない様に俺はテーブルの端に位置していて、まだその前の席は空いている。千賀地以外は何処に座られても良かったので、たまたまである。
「少し遅れました」
 驚くほど肌が白く髪を切り揃えた女性が現れた。
 誰? 今回出席する女性メンバーは予め知っている。メンバー変更の連絡も下膳から来ていない。
 ならこの女性がそうなのか?
 どこか普通の人と違う香りがする。
 だがポニーテールじゃ無い。だがそんなものウィッグでどうにでも成るもの。
 俺が大野に顔を向ければ、大野は違うと顔を小さく振る。
 まあ、そうだよな。ここまで堂々と乗り込んできたのなら、めんどくさい後の段取りなど放棄して、応援の部隊を今すぐ呼んでこの場で捕まえてしまえばいいだけのこと。
 だがメンバーとすり替わる前回と同じ方法をとったこの女がポニーテールの女と無関係とは思えない。
 これは俺への挑戦状ということか。
 今一気が乗らない仕事だったが、少し燃えてきた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

GATEKEEPERS  四神奇譚

ホラー
時に牙を向く天災の存在でもあり、時には生物を助け生かし守る恵みの天候のような、そんな理を超えたモノが世界の中に、直ぐ触れられる程近くに確かに存在している。もしも、天候に意志があるとしたら、天災も恵みも意思の元に与えられるのだとしたら、この世界はどうなるのだろう。ある限られた人にはそれは運命として与えられ、時に残酷なまでに冷淡な仕打ちであり時に恩恵となり語り継がれる事となる。 ゲートキーパーって知ってる? 少女が問いかける言葉に耳を傾けると、その先には非日常への扉が音もなく口を開けて待っている。

【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~

榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】 ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。 八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。 === エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中 【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】 【怖さレベル】 ★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度 ★★☆ ふつうに怖い話 ★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話 ※8/2 Kindleにて電子書籍化しました 『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

都市街下奇譚

ホラー
とある都市。 人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。 多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか? 多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。 忌憚は忌み嫌い避けて通る事。 奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。 そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

感染

宇宙人
ホラー
福岡県北九州市の観光スポットである皿倉山に航空機が墜落した事件から全てが始まった。 生者を狙い動き回る死者、隔離され狭まった脱出ルート、絡みあう人間関係 そして、事件の裏にある悲しき真実とは…… ゾンビものです。

かなざくらの古屋敷

中岡いち
ホラー
『 99.9%幽霊なんか信じていない。だからこそ見える真実がある。 』 幼い頃から霊感体質だった萌江は、その力に人生を翻弄されて生きてきた。その結果として辿り着いた考えは、同じ霊感体質でパートナーの咲恵を驚かせる。 総てを心霊現象で片付けるのを嫌う萌江は、山の中の古い家に一人で暮らしながら、咲恵と共に裏の仕事として「心霊相談」を解決していく。 やがて心霊現象や呪いと思われていた現象の裏に潜む歴史の流れが、萌江の持つ水晶〝火の玉〟に導かれるように二人の過去に絡みつき、真実を紐解いていく。それは二人にしか出来ない解決の仕方だった。 しかしその歴史に触れることが正しい事なのか間違っている事なのかも分からないまま、しだいに二人も苦しんでいく。 やがて辿り着くのは、萌江の血筋に関係する歴史だった。

処理中です...