255 / 328
世界救済委員会
第254話 いると思えばいる
しおりを挟む
冬場の風が吹き抜ける河川敷に人は少ない。
黄色く染まる草を踏み付けて車は止められる。
これだって中に男女二人いれば楽しいことをしていると勘違いされる、これは嫌じゃ無いのか?
まあ女心(鬼だけど)は俺は理解できないか。
「それでめぼしい建物はあったのか?」
「わからん」
「ああっ」
俺はタブレットをクリック操作しつつ素っ気なく答えれば、プチッと蚊を潰すような乾いた素っ気なさが返ってくる。
「お前私をアッシーにしておいて成果が無いなど許されるとでも」
だから手刀を作るのは辞めろって。
予想通り建物を外から一瞥しただけで分かるわけがない。透視能力や名探偵の観察力推理力があるわけじゃない、最低でも立ち止まって数分間は観察する必要はある。そうしたって断定できるほど分かるとは言えない。
まあ、現状そんなことすら出来ないのが問題であり、活路でもある。
「怪しい建物は分からなかったが怪しい奴らは分かったぞ」
「何!?」
「気付いてなかったのか、あの地区に張り込みをしている奴を何人か確認できた」
いると思っていたがいた。いると思ってなければ見付けられなかった。
いるという予想の上で俺は建物でなく建物を監視する人間を探していた。彼等の張り込みは巧みで街に溶け込んでいた。いると信じて探す俺だからこそ見付けられたと言える。
単純に強い奴なら兎も角、これだけの張り込みの手練れを揃えられる組織は日本広しといえども警察しかないだろう。予断は禁物かも知れないが、俺は彼奴等の背後に俺を嵌めた黒幕がいると確信している。
「そうなのか?」
「気付いてなかったのか、お前も大したことないな」
「なんだとっ」
血走った目で睨みつけてくるが、プライドがあるのかぐぬぬと我慢して手は出してこない。
いいことだ。此奴に小突かれたら簡単に肋が折れる。
「外から見ただけじゃ分からないし、中に入って確かめるわけにもいかない俺達が割り出す方法は一つ。見張っている奴らが何処を見張っているか逆算して割り出す」
彼等のいた位置視線の先何処を見ていたかをタブレットの地図上にマーキングしていく。
「こんなにいたのか?」
瞑夜が目を丸くして驚いている。
「何処の組織かまで流石に分からないがな」
捕まえて拷問でもしなければ断定は出来ない。俺の思い込みを下手に此奴に刷り込まない方がいい。寧ろ追い詰められて尖った推理で先を進めていくのは当たればデカイが外れてもデカイ。
「此奴等の配置から三つに絞れたな」
「なら早速乗り込もう」
「脳筋か」
思わず素で突っ込んでしまった。
「ああっ」
「ならギャンブラーか、俺は33%の確率では賭をする気にならない」
「ならどうする。近寄って調べるのか?」
「それも下策だ。下手に俺達が近くに寄って調べれば見張っている奴らに仲間を呼ばれる」
「切り伏せてやろう」
「だーかーら、騒ぎを起こした時点で敵に気付かれるだろ。今の俺達のアドバンテージは敵に知られていないことなんだぞ」
「確率だこそこそするだ、男らしくない奴だ」
「ああ、じゃあ乃払膜が俺達の存在を知って逃亡のために石皮音を処分してもいいんだな?」
「ぐっ」
流石にそれは困るようで瞑夜は歯軋りをして黙ったので、してやったと思えば直ぐに口を開き出す。
「あれも駄目これも駄目、否定するのは簡単だ。
当然代案あっての否定だろうな」
乃払膜を監視する彼等を俺達が監視して同時に突入して漁夫の利を頂くのが簡単なのだがこの手は使えない。
現状を整理しよう。
黒幕達が乃払膜のアジトを掴みながら監視するに止めているのは、乃払膜の技術が完成するのを待っているものと推測される。
奪うつもりなのかも知れないが、もっと切実な問題もある。
未完成でも乃払膜が今しているコーティングは相当厄介。聞いて見て感じることが出来ない相手なんて、爆撃でもしなければ倒せない。
だが好都合なことに、材料の準備が整って完璧なコーティングをするには今しているコーティングを一旦剥離する必要がある。
膜が無くなれば乃払膜を倒すことなどそう難しくない。
この策を実行する上で重要なのは、乃払膜に居場所がばれていることを知られないことと膜を剥離する時を正確に知ること。
特に二番目が難しいが何らかの方法で黒幕は知ることが出来るのであろう。
ここがクリアできるなら、まさに上策で俺も採用したいくらいだ。
だが問題がある。
その時には石皮音はコーティング材料に加工されているということ、当然セウもだ。
それはあまりよろしくない。
黒幕の思惑通りも面白くないが、瞑夜との契約もある。石皮音が幾ら気に入らなくても無理はしない範囲で助けることを前提にしなくてはいけない。
つまり俺達は黒幕に先んじて万全の状態の乃払膜に挑む必要がある。
それには綿密な作戦が必要になり、その為にも突入したら違いましたは許されない。
やはり力尽くなど論外で、決して瞑夜を困らせたいから却下した訳じゃ無い。
以上より、作戦は組み上がった。
「300万ちょうだい」
俺はヒモがパチンコ代をせがむかの如く軽く可愛く愛嬌を込めて言う。
「はあ?」
「プロを雇う」
結局それが一番確実だ。
黄色く染まる草を踏み付けて車は止められる。
これだって中に男女二人いれば楽しいことをしていると勘違いされる、これは嫌じゃ無いのか?
まあ女心(鬼だけど)は俺は理解できないか。
「それでめぼしい建物はあったのか?」
「わからん」
「ああっ」
俺はタブレットをクリック操作しつつ素っ気なく答えれば、プチッと蚊を潰すような乾いた素っ気なさが返ってくる。
「お前私をアッシーにしておいて成果が無いなど許されるとでも」
だから手刀を作るのは辞めろって。
予想通り建物を外から一瞥しただけで分かるわけがない。透視能力や名探偵の観察力推理力があるわけじゃない、最低でも立ち止まって数分間は観察する必要はある。そうしたって断定できるほど分かるとは言えない。
まあ、現状そんなことすら出来ないのが問題であり、活路でもある。
「怪しい建物は分からなかったが怪しい奴らは分かったぞ」
「何!?」
「気付いてなかったのか、あの地区に張り込みをしている奴を何人か確認できた」
いると思っていたがいた。いると思ってなければ見付けられなかった。
いるという予想の上で俺は建物でなく建物を監視する人間を探していた。彼等の張り込みは巧みで街に溶け込んでいた。いると信じて探す俺だからこそ見付けられたと言える。
単純に強い奴なら兎も角、これだけの張り込みの手練れを揃えられる組織は日本広しといえども警察しかないだろう。予断は禁物かも知れないが、俺は彼奴等の背後に俺を嵌めた黒幕がいると確信している。
「そうなのか?」
「気付いてなかったのか、お前も大したことないな」
「なんだとっ」
血走った目で睨みつけてくるが、プライドがあるのかぐぬぬと我慢して手は出してこない。
いいことだ。此奴に小突かれたら簡単に肋が折れる。
「外から見ただけじゃ分からないし、中に入って確かめるわけにもいかない俺達が割り出す方法は一つ。見張っている奴らが何処を見張っているか逆算して割り出す」
彼等のいた位置視線の先何処を見ていたかをタブレットの地図上にマーキングしていく。
「こんなにいたのか?」
瞑夜が目を丸くして驚いている。
「何処の組織かまで流石に分からないがな」
捕まえて拷問でもしなければ断定は出来ない。俺の思い込みを下手に此奴に刷り込まない方がいい。寧ろ追い詰められて尖った推理で先を進めていくのは当たればデカイが外れてもデカイ。
「此奴等の配置から三つに絞れたな」
「なら早速乗り込もう」
「脳筋か」
思わず素で突っ込んでしまった。
「ああっ」
「ならギャンブラーか、俺は33%の確率では賭をする気にならない」
「ならどうする。近寄って調べるのか?」
「それも下策だ。下手に俺達が近くに寄って調べれば見張っている奴らに仲間を呼ばれる」
「切り伏せてやろう」
「だーかーら、騒ぎを起こした時点で敵に気付かれるだろ。今の俺達のアドバンテージは敵に知られていないことなんだぞ」
「確率だこそこそするだ、男らしくない奴だ」
「ああ、じゃあ乃払膜が俺達の存在を知って逃亡のために石皮音を処分してもいいんだな?」
「ぐっ」
流石にそれは困るようで瞑夜は歯軋りをして黙ったので、してやったと思えば直ぐに口を開き出す。
「あれも駄目これも駄目、否定するのは簡単だ。
当然代案あっての否定だろうな」
乃払膜を監視する彼等を俺達が監視して同時に突入して漁夫の利を頂くのが簡単なのだがこの手は使えない。
現状を整理しよう。
黒幕達が乃払膜のアジトを掴みながら監視するに止めているのは、乃払膜の技術が完成するのを待っているものと推測される。
奪うつもりなのかも知れないが、もっと切実な問題もある。
未完成でも乃払膜が今しているコーティングは相当厄介。聞いて見て感じることが出来ない相手なんて、爆撃でもしなければ倒せない。
だが好都合なことに、材料の準備が整って完璧なコーティングをするには今しているコーティングを一旦剥離する必要がある。
膜が無くなれば乃払膜を倒すことなどそう難しくない。
この策を実行する上で重要なのは、乃払膜に居場所がばれていることを知られないことと膜を剥離する時を正確に知ること。
特に二番目が難しいが何らかの方法で黒幕は知ることが出来るのであろう。
ここがクリアできるなら、まさに上策で俺も採用したいくらいだ。
だが問題がある。
その時には石皮音はコーティング材料に加工されているということ、当然セウもだ。
それはあまりよろしくない。
黒幕の思惑通りも面白くないが、瞑夜との契約もある。石皮音が幾ら気に入らなくても無理はしない範囲で助けることを前提にしなくてはいけない。
つまり俺達は黒幕に先んじて万全の状態の乃払膜に挑む必要がある。
それには綿密な作戦が必要になり、その為にも突入したら違いましたは許されない。
やはり力尽くなど論外で、決して瞑夜を困らせたいから却下した訳じゃ無い。
以上より、作戦は組み上がった。
「300万ちょうだい」
俺はヒモがパチンコ代をせがむかの如く軽く可愛く愛嬌を込めて言う。
「はあ?」
「プロを雇う」
結局それが一番確実だ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
GATEKEEPERS 四神奇譚
碧
ホラー
時に牙を向く天災の存在でもあり、時には生物を助け生かし守る恵みの天候のような、そんな理を超えたモノが世界の中に、直ぐ触れられる程近くに確かに存在している。もしも、天候に意志があるとしたら、天災も恵みも意思の元に与えられるのだとしたら、この世界はどうなるのだろう。ある限られた人にはそれは運命として与えられ、時に残酷なまでに冷淡な仕打ちであり時に恩恵となり語り継がれる事となる。
ゲートキーパーって知ってる?
少女が問いかける言葉に耳を傾けると、その先には非日常への扉が音もなく口を開けて待っている。
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
感染
宇宙人
ホラー
福岡県北九州市の観光スポットである皿倉山に航空機が墜落した事件から全てが始まった。
生者を狙い動き回る死者、隔離され狭まった脱出ルート、絡みあう人間関係
そして、事件の裏にある悲しき真実とは……
ゾンビものです。
かなざくらの古屋敷
中岡いち
ホラー
『 99.9%幽霊なんか信じていない。だからこそ見える真実がある。 』
幼い頃から霊感体質だった萌江は、その力に人生を翻弄されて生きてきた。その結果として辿り着いた考えは、同じ霊感体質でパートナーの咲恵を驚かせる。
総てを心霊現象で片付けるのを嫌う萌江は、山の中の古い家に一人で暮らしながら、咲恵と共に裏の仕事として「心霊相談」を解決していく。
やがて心霊現象や呪いと思われていた現象の裏に潜む歴史の流れが、萌江の持つ水晶〝火の玉〟に導かれるように二人の過去に絡みつき、真実を紐解いていく。それは二人にしか出来ない解決の仕方だった。
しかしその歴史に触れることが正しい事なのか間違っている事なのかも分からないまま、しだいに二人も苦しんでいく。
やがて辿り着くのは、萌江の血筋に関係する歴史だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる