299 / 328
世界救済委員会
第297話 最後の頼れるのは己の拳のみ
しおりを挟む
芯から心が壊れてしまった俺。
相手を思いやる心で動いた柴陽手鞠姉妹。
前者二人とはまた違う、悪意に晒されようと撥ね付ける鋼の心。狂信者にも近い強烈な使命感と理性で地獄でも動く男、この男の世界を救うという使命感をへし折らない限り悪意では倒せない。
「その力があれば人類は革新できたはずなのに、お前は自分が何をしたか分かっているのかっ。
世界を救えるチャンスを潰したんだぞっ、未来ある子供達の幸せを奪ったんだぞっ」
殻が怒りを滲ませ叫ぶ、その姿に俺は何かが引っ掛かる。
「そんなご大層な事言われてもな。どんな場所どんな時代だろうが強い奴なら悪意を撥ね付け自分で幸せを掴むだろ」
どんな場所どんな時代だろうが、弱い奴は悪意に潰されて不幸に墜ちる。
どんなに綺麗事を並べようとも弱肉強食強い奴が弱い奴を喰う。それは人間が生物である限り逃れられない業。そんな業から人間が解放されユートピアに戻れる日が来ると信じているのが、目の前の男。
悪意に晒されされたのは同じ、だが一方は高い理想に目覚め一方は諦観から現実に目覚めた。こんな二人が相容れられるわけが無い同族嫌悪。
「巫山戯るなっ。貴様のような平和な国に生まれ外の世界を知らない幼稚な者の無自覚な悪意が世界を歪ませる」
平和な国だろうが、悪意はあると今自分が言ったことを分かっているのか?
「ひでえ言われようだな。
理想が叶わなかった責任を俺に押しつけたい、そうしなければ心が潰れそうだと泣き叫ぶ、お前こそ子供だろうがっ」
「なにっ、俺がいつ小役人のようなことをした」
「おやおや、自覚無しか。益々度し難く、それこそ責任をナチュラルに人に押しつける小役人と同じじゃ無いのか?
そんな醜い心で世界を救おうなんてちゃんちゃらおかしいぜ」
「なっ何を言っているんだお前は?」
「人類を革新できるチャンス、そんな奇蹟のようなチャンスが目の前にあったのに掴めなかったお前はどうなんだよ?」
「それがお前が邪魔をしたから・・・」
「はっ正義の味方に悪の幹部が邪魔をするのは当然だろうが、甘えるなっ。
がっかりだよ。
世界を救えなかったヒーロー、幼稚な男にすら勝てなかった救世者。
お前は人類史上きってのマヌケだよ。未来ある子供達の幸せを奪った気分はどうだ?」
「きっきさまっーーーーーーーーーー」
殻が激昂した。
その心の芯から湧き上がる怒り。
世界が悲しすぎると泣きじゃくる心を鋼の使命感でメッキして戦っていた男。
その心の叫び、爆発はメッキに亀裂を入れて漏れてくる。
これが人間殻の心。
僅かでも俺は殻の心に触れた気がした。
「なに!?」
殻の胸を俺の指から伸びた悪意の枝が貫いた。
「悪意は僅かな隙を見逃さない」
見えたぜお前の殻を外した生の心。
本来ならあり得ないのだろう。例え目の前で幼子が殺されようとも剥げ落ちない使命感で固めた鋼のメッキ、それが指先で触れるまで来た人生全てを捧げた世界救済を己の所為で台無しになったと指摘され僅かに亀裂が入った。
その僅かな隙を見逃さない。
その爪先程にしか開かなかった隙間をこじ開けて悪意は忍び込んでいく。
「うげえええ、やっやめてくれゆるしてく。救えなかった俺をそんな優しい目で見ないでくれ」
殻は泣き叫びながら地獄に崩れ落ちていく。
「壊れた俺と違って己の心を偽り続けるのは辛かっただろう。
好きなだけ泣いて、もう休め」
出会ったときの違和感、殻は既に心の殻が限界に来ていたのだろう。俺は最後の止めを刺しただけ。
地獄とは犯した罪の分だけ贖罪をする場所、その先に求めるなら救いがある。
俺は殻から視線を切って振り返ろうとして、振り返れなかった。
「まだ動くというのか」
一度は泣き崩れた殻が再び立ち上がってくる。
「この歳で勉強させて貰った。
確かにお前が言う通り俺はまだ未熟、私情で動いてしまった。
今からは世界救済委員会エージェントとして任務達成のみに、その先に世界が救われると信じて」
剥がれ墜ちたメッキを拾って再度心をコーティングしやがった。
「そういうのを思考停止の盲信と言うんだぜ」
「悪魔とは問答無用」
殻が先程と同様、いや更に力強く立つ。
悪意が効かなければ自力では殻の方が上。だが引けない。引けば俺にも明日は無い。
己の救済の為、最後に頼れるのはこの拳だけか。
相手を思いやる心で動いた柴陽手鞠姉妹。
前者二人とはまた違う、悪意に晒されようと撥ね付ける鋼の心。狂信者にも近い強烈な使命感と理性で地獄でも動く男、この男の世界を救うという使命感をへし折らない限り悪意では倒せない。
「その力があれば人類は革新できたはずなのに、お前は自分が何をしたか分かっているのかっ。
世界を救えるチャンスを潰したんだぞっ、未来ある子供達の幸せを奪ったんだぞっ」
殻が怒りを滲ませ叫ぶ、その姿に俺は何かが引っ掛かる。
「そんなご大層な事言われてもな。どんな場所どんな時代だろうが強い奴なら悪意を撥ね付け自分で幸せを掴むだろ」
どんな場所どんな時代だろうが、弱い奴は悪意に潰されて不幸に墜ちる。
どんなに綺麗事を並べようとも弱肉強食強い奴が弱い奴を喰う。それは人間が生物である限り逃れられない業。そんな業から人間が解放されユートピアに戻れる日が来ると信じているのが、目の前の男。
悪意に晒されされたのは同じ、だが一方は高い理想に目覚め一方は諦観から現実に目覚めた。こんな二人が相容れられるわけが無い同族嫌悪。
「巫山戯るなっ。貴様のような平和な国に生まれ外の世界を知らない幼稚な者の無自覚な悪意が世界を歪ませる」
平和な国だろうが、悪意はあると今自分が言ったことを分かっているのか?
「ひでえ言われようだな。
理想が叶わなかった責任を俺に押しつけたい、そうしなければ心が潰れそうだと泣き叫ぶ、お前こそ子供だろうがっ」
「なにっ、俺がいつ小役人のようなことをした」
「おやおや、自覚無しか。益々度し難く、それこそ責任をナチュラルに人に押しつける小役人と同じじゃ無いのか?
そんな醜い心で世界を救おうなんてちゃんちゃらおかしいぜ」
「なっ何を言っているんだお前は?」
「人類を革新できるチャンス、そんな奇蹟のようなチャンスが目の前にあったのに掴めなかったお前はどうなんだよ?」
「それがお前が邪魔をしたから・・・」
「はっ正義の味方に悪の幹部が邪魔をするのは当然だろうが、甘えるなっ。
がっかりだよ。
世界を救えなかったヒーロー、幼稚な男にすら勝てなかった救世者。
お前は人類史上きってのマヌケだよ。未来ある子供達の幸せを奪った気分はどうだ?」
「きっきさまっーーーーーーーーーー」
殻が激昂した。
その心の芯から湧き上がる怒り。
世界が悲しすぎると泣きじゃくる心を鋼の使命感でメッキして戦っていた男。
その心の叫び、爆発はメッキに亀裂を入れて漏れてくる。
これが人間殻の心。
僅かでも俺は殻の心に触れた気がした。
「なに!?」
殻の胸を俺の指から伸びた悪意の枝が貫いた。
「悪意は僅かな隙を見逃さない」
見えたぜお前の殻を外した生の心。
本来ならあり得ないのだろう。例え目の前で幼子が殺されようとも剥げ落ちない使命感で固めた鋼のメッキ、それが指先で触れるまで来た人生全てを捧げた世界救済を己の所為で台無しになったと指摘され僅かに亀裂が入った。
その僅かな隙を見逃さない。
その爪先程にしか開かなかった隙間をこじ開けて悪意は忍び込んでいく。
「うげえええ、やっやめてくれゆるしてく。救えなかった俺をそんな優しい目で見ないでくれ」
殻は泣き叫びながら地獄に崩れ落ちていく。
「壊れた俺と違って己の心を偽り続けるのは辛かっただろう。
好きなだけ泣いて、もう休め」
出会ったときの違和感、殻は既に心の殻が限界に来ていたのだろう。俺は最後の止めを刺しただけ。
地獄とは犯した罪の分だけ贖罪をする場所、その先に求めるなら救いがある。
俺は殻から視線を切って振り返ろうとして、振り返れなかった。
「まだ動くというのか」
一度は泣き崩れた殻が再び立ち上がってくる。
「この歳で勉強させて貰った。
確かにお前が言う通り俺はまだ未熟、私情で動いてしまった。
今からは世界救済委員会エージェントとして任務達成のみに、その先に世界が救われると信じて」
剥がれ墜ちたメッキを拾って再度心をコーティングしやがった。
「そういうのを思考停止の盲信と言うんだぜ」
「悪魔とは問答無用」
殻が先程と同様、いや更に力強く立つ。
悪意が効かなければ自力では殻の方が上。だが引けない。引けば俺にも明日は無い。
己の救済の為、最後に頼れるのはこの拳だけか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
GATEKEEPERS 四神奇譚
碧
ホラー
時に牙を向く天災の存在でもあり、時には生物を助け生かし守る恵みの天候のような、そんな理を超えたモノが世界の中に、直ぐ触れられる程近くに確かに存在している。もしも、天候に意志があるとしたら、天災も恵みも意思の元に与えられるのだとしたら、この世界はどうなるのだろう。ある限られた人にはそれは運命として与えられ、時に残酷なまでに冷淡な仕打ちであり時に恩恵となり語り継がれる事となる。
ゲートキーパーって知ってる?
少女が問いかける言葉に耳を傾けると、その先には非日常への扉が音もなく口を開けて待っている。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
感染
宇宙人
ホラー
福岡県北九州市の観光スポットである皿倉山に航空機が墜落した事件から全てが始まった。
生者を狙い動き回る死者、隔離され狭まった脱出ルート、絡みあう人間関係
そして、事件の裏にある悲しき真実とは……
ゾンビものです。
かなざくらの古屋敷
中岡いち
ホラー
『 99.9%幽霊なんか信じていない。だからこそ見える真実がある。 』
幼い頃から霊感体質だった萌江は、その力に人生を翻弄されて生きてきた。その結果として辿り着いた考えは、同じ霊感体質でパートナーの咲恵を驚かせる。
総てを心霊現象で片付けるのを嫌う萌江は、山の中の古い家に一人で暮らしながら、咲恵と共に裏の仕事として「心霊相談」を解決していく。
やがて心霊現象や呪いと思われていた現象の裏に潜む歴史の流れが、萌江の持つ水晶〝火の玉〟に導かれるように二人の過去に絡みつき、真実を紐解いていく。それは二人にしか出来ない解決の仕方だった。
しかしその歴史に触れることが正しい事なのか間違っている事なのかも分からないまま、しだいに二人も苦しんでいく。
やがて辿り着くのは、萌江の血筋に関係する歴史だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる