14 / 328
第十四話 静寂
しおりを挟む
「どりゃああああ」
西村が俺に襲いかかってきた水の手の一つを砕く。西村は俺に助けられたからなのか、命令通り土台と成り動けなくなった俺を守ってくれている。
「きぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「きゃあきゃあ」
西村の彼女とさっき助けたギャルも何か叫びながら俺を掴んだ水の手を砕いてくれている。
水の手は脆い、あくまで徐々に体力を奪い恐怖を与えていくのが目的なので女でも砕ける弱さになっている。悪意が裏目に出た格好だ。
後は自分を守るのに精一杯のカップルといつの間に傍から消えたカップルもいる。
みんなが生き残る為必死で戦う。水が砕ける音、叫び、様々な音が織りなしていた。
その音が静まった。いや吸収された。
山間部に降りしきる雪、雪は音を吸収し静寂に包まれていく。
今それが極限にまで凝縮する。
旋律が奏でられ、凝縮する静寂が訪れた。
ただ皆悟る。これは大崩壊の訪れを告げる静寂の音色。
「雪月流 第二楽章 雪崩」
時雨さんが音叉を静寂を切り裂くように振り払えば。
両側を遮る水槽が共振した。
ガラスは白く輝き、そして砕け散った。
ばしゃーん、雪崩の如く砕けた水槽から水が大量に流れ込んでくる。
「うわーーー」
濁流に足下を掬われ倒れ呑み込まれていくカップル達。それを見て俺は時雨さんの足首を掴んで屈んだ。
「何をするつもり!」
「天井に放り投げるんだよ」
「まって」
「待たない。お前がまずは助かれ、そうで無くては誰が俺達を助けてくれるだっ」
俺は時雨さんを天井に向かって放り投げ、力尽き倒れた俺もまた濁流に呑み込まれた。
呑み込まれ水の中から空を見上げれば、時雨さんが羽ばたいていく姿が見える。
両手を広げてバランスを取り、空で姿勢を正していく。鳥のようであり天使のようであった。
本当に美しい、人の身でありながら羽ばたいている。
その美しいものを見ながら俺は果てなく水底に沈んでいく。
こんな最後なら悪くない。
西村が俺に襲いかかってきた水の手の一つを砕く。西村は俺に助けられたからなのか、命令通り土台と成り動けなくなった俺を守ってくれている。
「きぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「きゃあきゃあ」
西村の彼女とさっき助けたギャルも何か叫びながら俺を掴んだ水の手を砕いてくれている。
水の手は脆い、あくまで徐々に体力を奪い恐怖を与えていくのが目的なので女でも砕ける弱さになっている。悪意が裏目に出た格好だ。
後は自分を守るのに精一杯のカップルといつの間に傍から消えたカップルもいる。
みんなが生き残る為必死で戦う。水が砕ける音、叫び、様々な音が織りなしていた。
その音が静まった。いや吸収された。
山間部に降りしきる雪、雪は音を吸収し静寂に包まれていく。
今それが極限にまで凝縮する。
旋律が奏でられ、凝縮する静寂が訪れた。
ただ皆悟る。これは大崩壊の訪れを告げる静寂の音色。
「雪月流 第二楽章 雪崩」
時雨さんが音叉を静寂を切り裂くように振り払えば。
両側を遮る水槽が共振した。
ガラスは白く輝き、そして砕け散った。
ばしゃーん、雪崩の如く砕けた水槽から水が大量に流れ込んでくる。
「うわーーー」
濁流に足下を掬われ倒れ呑み込まれていくカップル達。それを見て俺は時雨さんの足首を掴んで屈んだ。
「何をするつもり!」
「天井に放り投げるんだよ」
「まって」
「待たない。お前がまずは助かれ、そうで無くては誰が俺達を助けてくれるだっ」
俺は時雨さんを天井に向かって放り投げ、力尽き倒れた俺もまた濁流に呑み込まれた。
呑み込まれ水の中から空を見上げれば、時雨さんが羽ばたいていく姿が見える。
両手を広げてバランスを取り、空で姿勢を正していく。鳥のようであり天使のようであった。
本当に美しい、人の身でありながら羽ばたいている。
その美しいものを見ながら俺は果てなく水底に沈んでいく。
こんな最後なら悪くない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
GATEKEEPERS 四神奇譚
碧
ホラー
時に牙を向く天災の存在でもあり、時には生物を助け生かし守る恵みの天候のような、そんな理を超えたモノが世界の中に、直ぐ触れられる程近くに確かに存在している。もしも、天候に意志があるとしたら、天災も恵みも意思の元に与えられるのだとしたら、この世界はどうなるのだろう。ある限られた人にはそれは運命として与えられ、時に残酷なまでに冷淡な仕打ちであり時に恩恵となり語り継がれる事となる。
ゲートキーパーって知ってる?
少女が問いかける言葉に耳を傾けると、その先には非日常への扉が音もなく口を開けて待っている。
【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~
榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】
ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。
八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。現在 150話 越え。
===
エブリスタ・小説家になろう・カクヨムに同時掲載中
【総文字数 800,000字 超え 文庫本 約8冊分 のボリュームです】
【怖さレベル】
★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度
★★☆ ふつうに怖い話
★★★ 旧2ch 洒落怖くらいの話
※8/2 Kindleにて電子書籍化しました
『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
都市街下奇譚
碧
ホラー
とある都市。
人の溢れる街の下で起こる不可思議で、時に忌まわしい時に幸いな出来事の数々。
多くの人間が無意識に避けて通る筈の出来事に、間違って足を踏み入れてしまった時、その人間はどうするのだろうか?
多くの人間が気がつかずに過ぎる出来事に、気がついた時人間はどうするのだろうか?それが、どうしても避けられない時何が起こったのか。
忌憚は忌み嫌い避けて通る事。
奇譚は奇妙な出来事を綴ると言う事。
そんな話がとある喫茶店のマスターの元に集まるという。客足がフッと途絶えた時に居合わせると、彼は思い出したように口を開く。それは忌憚を語る奇譚の始まりだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
感染
宇宙人
ホラー
福岡県北九州市の観光スポットである皿倉山に航空機が墜落した事件から全てが始まった。
生者を狙い動き回る死者、隔離され狭まった脱出ルート、絡みあう人間関係
そして、事件の裏にある悲しき真実とは……
ゾンビものです。
かなざくらの古屋敷
中岡いち
ホラー
『 99.9%幽霊なんか信じていない。だからこそ見える真実がある。 』
幼い頃から霊感体質だった萌江は、その力に人生を翻弄されて生きてきた。その結果として辿り着いた考えは、同じ霊感体質でパートナーの咲恵を驚かせる。
総てを心霊現象で片付けるのを嫌う萌江は、山の中の古い家に一人で暮らしながら、咲恵と共に裏の仕事として「心霊相談」を解決していく。
やがて心霊現象や呪いと思われていた現象の裏に潜む歴史の流れが、萌江の持つ水晶〝火の玉〟に導かれるように二人の過去に絡みつき、真実を紐解いていく。それは二人にしか出来ない解決の仕方だった。
しかしその歴史に触れることが正しい事なのか間違っている事なのかも分からないまま、しだいに二人も苦しんでいく。
やがて辿り着くのは、萌江の血筋に関係する歴史だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる