虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,987 / 3,140
DIY、天を仰ぎ試練へと挑む

巧天の試練 その06

しおりを挟む


 再び『マギタリアファブリク』を稼働し、生み出したのは一振りの剣。
 本物を見て、偽物と相対し、憧憬を抱き、その果てに──

「『規格外ロジカルW:Typeソード[冒剣]』、完成だ」

 それはショートソードのような見た目の、飾り気のない無骨な剣。
 だがその造形以外は違う、柄から剣先まで全体に回路のようなものが施されている。

 この回路を通じ、本物──冒険星剣[アドヴェンス]の能力を再現する仕様だ。
 そして、その回路に流すエネルギーこそが『規格外エテーテルドライバー』である。

《おめでとうございます、旦那様》

「これをきちんと使えるかは、今から試さないといけないんだが……『お試し案山子』を設置っと」

 設備を用意する以外にも、試し打ちや試し斬りをするためにオブジェクト配置も可能。
 ということで、出力を測定してくれる魔道具を設置して試してみることに。

「あーでも、ドライバーと剣を直接繋げられないんだよな……その辺の制限は厳しめにしてあるし、経由するための……全身鎧的なものでも創らないとダメか?」

《旦那様、一振り試すだけであれば、おそらく[アライバー]の試作機でも可能です》

「……あー、外装だけノリで造ったのがそういえばあったな。でも、それで大丈夫か?」

 体の周りに機体のパーツを付ける、操縦席に乗り込むような形ではない[アライバー]の試作機。

 様々なロボットアニメを見て、そういった機体を何体も製造していた。
 今回はその中でも、戦隊や仮面のヒーローにありそうなモノを選択する。

 彼らの武器取り出しとかそういう謎技術を解決するため、スーツの中には次元歪曲とかそういうノリで空間を広げられる技術が費やされているので、後からの追加も可能だ。

《今回に限り、中身を交換して回路を繋げれば使用は可能です……ただし、負荷に耐えられず損壊は確定かと》

「まあ、必要経費か。そもそも使ってないから仕舞っていたものだし。『SEBAS』、用意してくれ」

《承知しました》

 そんなわけで、ちょっとゴツゴツしたデザインのスーツが搬入されてきた。
 内部を弄り、エテーテルドライバーを組み込み──準備完了だ。

「それじゃあ、[冒剣]との接続。及び、エテーテルドライバーを稼働させ、エネルギーの供給を実行してくれ」

《仰せのままに──エテーテルドライバー、起動開始。『巧天』を発動、ドライバーを臨界駆動──出力120%突破》

「おおっ、なんかカッコいい! ……けど凄くヤバそう!?」

《規格外ロジカルW、接続完了。エネルギー供給開始──充填完了、起動します》

 スーツを経由し、[冒剣]へエネルギーが注がれていく。
 ただ、その莫大なエネルギーは歪曲させた次元の中でも影響を及ぼしているようで。

 スーツの耐久度がゴリゴリ減っているし、何なら熱量に変換され俺を温めている。
 ……いや、正しくは熱している──というか熱死ているのか。

「さっさと使わんと死ぬな」

《旦那様、イケます》

「よし──星剣抜剣」

 振るった[冒剣]に装備スキルは無い。
 そもそも、人族が装備して使うことができない仕様なので、そういったものが存在していない……という方が正しいか。

 それでも回路は存在し、エネルギーが供給されることで刻まれた事象を発現可能だ。
 その機構の名は『最強』、十全に力が注がれた一瞬だけ、それは万物を断つ刃となる。

 用意された案山子は、運営側が用意した特別な代物。
 具体的に言うなら──破壊不能オブジェクトに指定された計測器。

「……エラーか、まあそうなるよな」

 だというのに、剣が薙いだ先に案山子は存在していない。
 素人が振るったたどたどしい軌跡が、綺麗に案山子を断ち切っていたからだ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

処理中です...