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DIY、天を仰ぎ試練へと挑む
新機プロジェクト その27
しおりを挟む──これは、共通規格のロジカルシリーズがまだ未完成だった頃。
『なあ、ぶっちゃけこれって使い物になるのか? 強者たち的には?』
《戦術の拡張にはなるでしょう。しかし、それすらも踏み越える上澄みの方々には無用の産物でしょう……参考にはなりませんが、その最たる例が『騎士王』です》
『彼女用に専用機を規格外として用意したとしても……まあ、要らないよな』
機体を纏っている間、装着者はほとんどのシステム的な『力』を使えなくなる。
武技、魔技、スキル、職業能力……装飾具や権能などは、部分的にセーフだろうが。
ロボットものでロボが有用なのは、生身が貧弱だからこそ。
人がその身一つで怪物を殺せる世界で、その利点を捨てる必要はあまりにも薄い。
せいぜいが、空や海などの戦いづらい場所での環境適応ぐらいだろう。
……それも『力』でどうにかできるなら、本当に使う必要が無いけど。
《とはいえ、『騎士王』であればその万能の才から使いこなすこと自体は可能でしょう。それを用いて、強者を倒すことも……ですがそれもまた、『騎士王』だからこそです》
『使い物にならないわけだ。まあ、乗り物として使うとかなら便利なんだろうけど』
ただ、それだと身に纏う装甲ではなく馬とか動物みたいな……騎乗系で良かったじゃないか、という話になってしまうわけで。
それについては……まあ、すでに休人たちがいろいろやっているので置いておく。
俺の理想とする、搭乗型の機体のメリットはどこにあるのだろうか。
《そうなりますと、やはり利点は──》
◆ □ ◆ □ ◆
そして現在、俺は専用の機体を身に纏って戦場に向かう。
日は沈み、時刻は夜──安寧の闇に紛れ、異形の軍団が大陸に攻め入っている。
大部分は逸脱した連中が抑えているが、それでも一部が結界を食い破り潜り込む現状。
俺の機体は空へ──その掌には機械仕掛けの星剣を握り締め、高々に叫ぶ。
「──非戦闘職による、もう一つのビルド構築!」
魔法使いが肉弾戦を、村人が強大な魔物と戦闘を……『SEBAS』すら、いやだからこそ無理なものは無理だと語った。
それでもと望む『メカメカ団』のような者ならばともかく、自らの強さを捨ててまで使う必要は無い──ならば、それだけの魅力を知らしめればいい。
「[月兎]、出番ですよ──『プログレス:ムーンジャンパー』起動!」
『ラジャーです!』
サポート機、正式名『規格外ロジカルAシリーズTypeラビット[月兎]』。
一体一体に人工知能が組み込まれているのだが、もう一つ特殊な機構が存在する。
それこそが──擬似『プログレス』。
RSプログラムの導入、そしてプロトタイプである『コレクトキャプチャー』のデータから完成に漕ぎつけた量産版。
自分で使えないなら、機体に使ってもらえばいいじゃない、という逆転の発想。
歯車型の心を宿した意志ある機械、彼らに宿るのは専用に組み込んだ『プログレス』。
「この機体は、どこまでも跳べる!」
月の光が世界に届く、その間のみ発動する条件付けの擬似権能。
あらゆる場所が足場となり、俺はそこを駆けることができる。
ただし、その足場は月の光量によって強度が変化するうえ、跳ねる際に月との繋がりが作用する──引力と斥力が発生し、ただ一直線に飛ぶのが難しい仕様だ。
『制御はお任せください!』
「任せましたよ。私は私で、こちらに集中しなければなりません──[冒剣]抜剣!」
それを制御するのが[月兎]の役割。
俺の視線や筋肉の動きから、跳躍する方向に足場を作る──力場の演算を行い、ピッタリな角度に調整してくれるのだ。
踏み締め、跳躍。
俺は特に何も意識せず、ただ握り締めた剣だけに注力する。
最強の剣、そう名乗ることを許された一振りの星の武具……その模造版。
偽物で、贋物で、紛い物で……それでも、今この瞬間だけは限りなく本物に近い。
向かう先、もっとも手薄となっている場所に集う異形の数々。
それを一撃で倒す、武技も魔技も職業能力も使えない状況で取るべき選択は──
「──『鞭剣』」
望んだ形に姿を変える、そこに物理法則は存在しない。
供給される星の理のエネルギー、それらは回路を巡っていく。
細く、鋭く、鞭というにはか細い──糸のようなナニカが柄の先には出来上がる。
俺はそれをただ横に薙ぐ、技術も力もそこには必要ない。
ただそれだけで、すべてが終わった。
最強化、ありとあらゆる法則を断ち望む事象を剣によって為す──糸となった剣が触れたモノすべて、切り裂かれ消滅したからだ。
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