虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
363 / 3,140
DIY、闇に潜む

第一権限 その07

しおりを挟む


「──そっか。何も覚えてないんだね」

「うん、分からない」

 あれからいくつかの質問をしてみたが、残念なことに情報は集められなかった。
 名前以外にノイズがかかるようなこともなく、ただ分からないという答えだけが帰ってきた。

 名前の部分に何か秘密があると思ったのだが、特別な言語でもなくただ、ある種のNGワードとして登録されていたのが実情であると『SEBAS』から報告を受けた。

 そう、『SEBAS』を介して名を知ることでNGワードを知ることに成功したのだ。
 現実において生の声に編集が加えられないように、このゲームではそれとは逆に機械を通すことで、ノイズ付きの音を解読したというわけ。

 レムリア、地球では実在しない……というか仮想の大陸を意味するんだが。
 それと同じ名前を持つ少女、フラグが存在するなら間違いなく立っているだろう。

「えっと、レムリアちゃんはこれからどうしたいんだい?」

「……探したい」

「何をかな?」

「もやもや、ふわふわしているものを」

 質問のときに、そうした答えがあった。
 一部の記憶にロックがかかっているみたいで、その感覚が『もやもや、ふわふわ』なんだそうだ。

「どうやってするのかな?」

「…………、…………?」

「何も決めてないんだね」

「うん」

 このままだと、ずっとここでどうするか考えていそうだな。
 人間種を『アイプスル』へ招くことは、できるだけ控えたい。

《どうされますか?》

「完全な縛りじゃないし、招き入れることは構わないんだが……記憶が戻ったとき、どういった選択をするかが分からないからな」

 いちおう、契約という形で縛るという方法もあるにはあるが──あとでそれを知った家族に何を言われるかを考えれば、その選択肢はあり得なくなる。

「……まあ、いっか」

「?」

「レムリアちゃん、よければうちの世界に住まないか? 君が嫌なら断っても良い。住む場所と食べる物と着る物……それに友達になれそうな子たちしか用意できないけど」

「とも、だち?」

「みんないい子なんだよ。ただ、少し見た目が普通の子と違っててね。それが気にならないなら、きっとレムリアちゃんとも仲良くなれる子が居ると思うんだ」

 確約はできないが、うちの星の住民たちは基本善人(魔物)ばっかりだからね。
 純粋というか、無垢というか……ある種一つの欲望(食欲)に忠実というか。

「分かった」

「他にも勧められることは……えっ?」

「行く」

 少し驚いてしまったが、即決したことに違いはない。
 何か思うところがあるのか、それは分からないが今はそれだけ充分だ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

【完結】天国の扉

藤井 紫
ファンタジー
〈佳作〉神に仕えるキャラが登場するファンタジーコンテスト【エブリスタ】 流行り物ではありません。【2025年4月完結済52万字】 こちら、修正忘れがあるかもしれませんm(_ _;m) 『魔女は、悪魔と契り、特別な力を得、黒髪になる』 ヴァロニア王国では、黒髪を持つ者は「魔女」として忌み嫌われていた。 13歳の誕生日、ジェードは魔女の疑いをかけられ、国を追われる。 逃亡の末、たどり着いた謎の異国・ファールーク皇国。彼女を迎えたのは、 自らも天使によって呪われた少年・ハリーファだった。 魔女と王族――ふたりの出会いが、王位継承と信仰の争いを大きく揺るがしていく。 政治と陰謀、信仰と過去が絡み合う、重厚戦記ファンタジー。 ※他サイトでは、ほんの少し加筆と修正していますが、こちらはまだ修正前です。 ※本作には、架空の世界観に基づく人種・出自・信仰・性別・階級等に関する差別・偏見・抑圧の描写が含まれます。 これらの表現は、物語上の背景や登場人物の信念を描くためのものであり、現実世界における差別や不当な扱いを肯定・容認・推奨する意図は一切ありません。 ご理解いただけますと幸いです。 ※書き始めが2010年ですので、当時と現在(2025年)の創作の倫理観に若干の差があります。  ご理解いただけますと幸いです。 ※エブリスタの「神に仕えるキャラが登場するファンタジー」佳作受賞。2020年10月 冒頭20000字の【書評】 魔女狩りの吹き荒れる時代が舞台。中世ヨーロッパに似た世界観にスッと入り込みやすい文章です。冒頭の処刑シーンで、現代とは違う価値観が支配していることを提示。場面が変わって、穏やかな日常から風雲急を告げる事態へ。緩急をつけた語り口が見事です。ただ魔女疑惑で村人が集まるシーンでは、ウィルダーの動向も知りたいと思いました。壮大な物語の幕開けの部分だけで、今後に期待できるピースが取り揃えられています。 (これを励みになんとか完結させました。今後は読んでもらえるように努力します!) ※見てもらえる機会を増やすため、下記サイトで同じものを公開しています。 ・カクヨム ・小説家になろう ・エブリスタ(※途中まで描いて頂いた挿絵あり) ・アルファポリス たまに修正更新をし忘れるので、カクヨムが一番間違いないです。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

処理中です...