374 / 3,140
DIY、闇に潜む
暗躍街 その07
しおりを挟む「では、挨拶も済みましたし……私はこれで失礼しま──ぶっ」
「おいおい、どうしたんだよ『生者』。もう少しいっしょに居ようじゃねぇか」
誰が猛獣の巣に居てゆっくりできるか!
本音を叫びたいところだが、ここは穏便にやり過ごすしかない。
「い、いえ、『拳王』さんの気紛れによって私も弱っていますので、こうした場に長居するのも難しくて……」
「あー、悪かったな。だが、それは報酬でお相子だろ?」
「それは能力を使わせた分です。……そちらの方たちの観戦料ですけど、そちらは別途で請求した方がいいですかね?」
気配がずっと俺の殺されるシーンを見ていたことは、『拳王』も知っている。
いつまでも観察されるのは、なんだかうんざりするので回避したい。
「それもそうだな。おい、お前らもなんか払えよ。バレなきゃセーフなんだから、バレた分は払っていけよ」
「チッ、これでいいか?」
心底嫌そうな声と共に、【情報王】は俺に一枚の紙を飛ばしてくる。
その速度もまたヤバかったのだが、ここに来てからかなりお世話になっている吸着性の結界を指の周りに張り、受け止めたように見せておく。
「情報ギルドで訊ける情報量を最大値まで引き上げるカードだ。ただし、有料だからな」
「まさか、こんなに素晴らしい物を頂けるとは……感謝しますよ」
「ふんっ。礼なら態度で示すのだな」
「そのつもりですよ。後ほど、皆様の元へ向かう予定でしたし」
これは本当だ。
一度に大人数が来るのが危険なだけで、個人個人へ対処するなら問題ない。
この面倒そうな【情報王】も、万全な状態の『SEBAS』のバックアップを受ければあしらいも簡単である。
「私からはこれね──裏VIPカード。この街のカジノは全部入れるし、好きなだけチップが借りれるわよ」
「これは……使い勝手に困りますね」
「ふふっ、安心して。安全な方法でお金は返せるわよ」
「そうですか、それは何よりです」
透明なカードを受け取り、仕舞っておく。
カジノか……オンゲーだと何度も遊んできたが、こちらだとどんな仕様で運営されているんだろうか。
かなり悪辣な設定がされているだろうし、行くときは気をつけておこう。
『私からは……そうだな、後で面白い物を見せるということでいいかな?』
「秘密、ですか。それは面白そうです」
『そう言ってもらえると、見せる甲斐がありそうだよ』
この場で渡せない物、というのがかなりのヒントだろう。
予想は何パターンかつくのだが、確実にコレというものは分からない。
「では、私は『拳王』さんから報酬を受け取りますので……行きますよ、『拳王』さん。皆さまの下へはその後に」
そうして、どうにかこの危機を乗り切ったのだった。
11
あなたにおすすめの小説
神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜
神
ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。
23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。
石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。
フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。
主人公・神谷錬(かみやれん)。
東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。
幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。
空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。
レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。
しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。
彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。
辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。
しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。
世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か?
異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
合成師
盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。
そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる