虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
407 / 3,140
DIY、闇に潜む

命乞い

しおりを挟む


「君が……新たな『超越者』かい?」

「……フラグ様め」

 明らかに強そうな礼装の女性が、これまた強そうな男たちを引き連れて俺の下を訪れてこう告げた。

 経緯は──ログイン→【情報王】の元へ訪れようとする→ここだ。
 うん、まったく意味が分からない。

 目の前の女性は、背中に布に包んだ槍のような物を背負っている。
 顔は……どうやら認識阻害が施されているようで、はっきりと確認できない。

 あくまで女性だと分かったのは、『SEBAS』による報告があったからだ。

「人違いではないでしょうか? 私には、貴方が何を言っているのかさっぱりです」

「……そうなのか?」

「はい」

 すると、後ろの男たちの方を向き「は、話が違うではないか……」などと揉め始める。

 確証がないなら、接近しないでほしい。
 いやまあ、当たってるのだから口に出して言うことではないけど。

「だ、騙したね……」

「なんのことでしょうか?」

 首を傾げ、いかにも分かりませんよアピールをしておく。
 少しだけ顔を赤くし(たように思えた)、女は声を荒げる。

「と、とぼけないでほしい、君が『超越者』であることは裏が取れているんだ。もう一度聞くよ──『超越者』だね?」

「えっと……『超越者』ってなんですか?」

「ふっ、まだ誤魔化すかい? 人の理から外れた、人智を超越せし者……それが君の正体なのだろう!」

 ビシッと指を差してくる。
 後ろで見ている男たちは、なぜだか拍手をしている……なんか、仲良さそうだな。

「本当に……そう思われますか? 私が、そのように」

「…………と、当然さ」

 物凄く目を逸らしながら答える。
 彼女からすれば、証拠も無いのに誘導して真実を求めているだけだからな。

 いかにも、と言えるような力強さを感じられない俺を『超越者』だとは思えないのも仕方がない。

「そうですか……ならば、私も相応の対応で貴方がたに帰ってもらいましょう」

「! そ、そうかい……なら、やってもらおう──はっ?」

「私のような弱者、どうかお見逃しくださいませんか? たしかにカジノでいくらか儲けましたが、そのすべてを支払います……なので、どうかお許しを!」

 ジャパニーズドゲザ!
 日本の文化が生みだした、最上級の謝罪を行ってこの場を逃れようとする。

 ……お前が面倒事を起こそうとするのは、その存在感とこれまでの勘が教えてくれた。

「どうか、どうか御慈悲w──」

「……充分だ。もう、分かった」

 頭を下げたままなので、彼女がどういった表情を浮かべているかは分からない……どうせ認識偽装で見えないけど。
 だが間違いなく、軽蔑や侮蔑の顔をしているんだろうな。

「みんな、戻るぞ……彼は、私たちの目的には関われない・・・・・

 クルッと後ろを向き、どこかへ去っていく彼女たち一向。
 やれやれ、いったい何者なんだか。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

処理中です...