虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
598 / 3,140
DIY、遥かな旅路へ

侵雪纏い

しおりを挟む


「さすがにここまでやれば……よし、変化は無しっと」

《総討伐数百二十五体。このフィールドにおける、遭遇戦闘型の魔物の存在がすべて消失しました》

「つまり、野生で現れる魔物を全部倒せたんだと……経験値、凄いな」

 結局、魔力と器用さしか上がらないわけだが、それでも今ではだいぶ強化されている。
 器用さに限れば、そう言い切れる……魔力は新技術を開発するたび、コスパが悪い物を試すと一度は魔力切れになるんだよな。

 一度に籠められる魔力量が増えたお蔭で、作業能率などは高まったんだが。

「おー、日射しが出てきたな……けど、中途半端だな」

《このフィールドの王が、まだ残っておりますので。勝利することで、ここに太陽を取り戻すことができます》

「物凄く主人公っぽいイベントだ……」

 なんかこう、『○○を取り戻す』というパワーワードがあれば主人公な気がする。

 実際には、特殊な兵器のスイッチを押しただけなので全然主人公じゃないんだが、それでも興奮はしたくなった。

「このテンションなら、ボスを狩ろうという気になれるな」

《ですが、旦那様の姿が世間に露見してしまうのでは?》

「そうだな……『SEBAS』は分かってくれていると思うが、どれだけ隠そうと対策はしていても、必ずバレるだろうし……隠さない方が隠せるか?」

《少々お待ちください…………………………その可能性が高いかと。簡易演算の結果、今の状態で放置した場合よりも、ボスを討伐した方が旦那様の身の安全が確保できるという結果が出ました》

 かなり長考してくれたので、おそらく間違いないだろう。

 木を隠すなら森の中、と俺は考えていたんだが……『SEBAS』はどんな作戦を閃いてくれたのだろうか?

  ◆   □   ◆   □   ◆

 どうやら『侵雪』が降る範囲内では、例のキューブに触れる必要は無いようだ。

 環境を奪われた結果、脈にも何らかの影響が起きて封印が解けてしまっている。
 そして、こちらの人々も侵入ができないようにボスが現れ道を塞ぐ。

 本来は、どこかに潜み『侵雪』の維持を行うボス……だが、配下となる魔物すべてが殲滅された結果、動かざるを得なくなった。

 それがこの世界の理であり、従わなければならない絶対遵守のシステムだからだ。

「おいでなすった」

《侵雪獅子──魔物そのものが『侵雪』であり、生きているだけでそこに魔物が生みだされます》

「つまり、幹部の一人ってことか」

《『侵雪』をより広範囲に降らせるため、向こうが用意した使徒のようなものでしょう》

 吹雪を身に纏う真っ白なライオン。
 そこから漏れた雪が地上に着くと、そこからボコボコと魔物が生みだされている。

「晴れた、というよりあっちに吸収されたって感じだな。完全に、アレを倒せば解放される感があるし」

 だがそれだけに、濃密な殺意がある。
 ここら一帯の支配領域を奪い取った張本人とも呼べるからな、今の俺は。

「とりあえず、解放しちゃいますか!」

『GAOOOOOOOOOOOOOO!』

 挑発に乗ったのか、怒り狂うライオン。
 さてさて、どれを試そうかな?

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

処理中です...