虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
755 / 3,140
DIY、流れて交わる

アリバイ作り その10

しおりを挟む


 アリバイ作りに必要な日数もまた、いっさい開示されていない。

 終了は『SEBAS』が教えてくれるらしいので、一日目は『錬金王』の工房に用意された一室を借りてログアウトした。


 そして翌日、『錬金王』たちからすればそれ以上の時間が過ぎたのちにログインする。

「『生者』が眠っている間に、私なりに使えそうな術式を用意してみた……どうだ?」

「これは……まさか、オリジナルですか?」

「さすがにそれは無理だ。あれを参考に、遠隔で錬金術を発動するのに最適な術式を刻んでみただけのこと。片手間でしかない」

 術式の解析を『SEBAS』に任せる。
 俺はそういう術式に関する情報は任せっきりなため、完全に理解できるわけじゃない。

 しかしこれだけは分かる──片手間なんてレベルではないほど、術式は優れていた。

 渡したのが地面に干渉して棘を生みだす術式だったため、『錬金王』が作ってくれた術式もまた同じように地面を錬成するものだ。

 だが規模と精度が明らかに違う──なんとこれ、敵味方識別システム付きだった!

「い、いったいどうやってこのような術式を書き込んだのですか?」

「ん? ああ、それか。ゴーレムに刻む術式の応用だ。簡易版だからあまり完全とは言えないが、発動者の攻性魔力を当てられた相手にのみ攻撃するようにしてある」

「……はあ、ゴーレムでしたか。ただ錬成のみに注視していたため気づけませんでした」

「まあ、それでも刻むのは至難の業だがな。少なくともユリルに試させてみたが、まだできなかった……しばらくは緻密な術式を刻めるように、みっちり修業させる予定だ」

 ユリルがこの場に居なかったのは、そのためだったのか……なんかごめん。

 しかし、ゴーレムの術式か……カエンは星の力で超強化されたが元はゴーレム、きっと根本的な術式は残っているだろう。

「どうした、『生者』?」

「いえ、いい切っ掛けになったと思いましてね。一つのことに拘らない、ある程度自重を止める必要があるのですね」

「……前半はともかく、『生者』は自重した方がいいだろう。軽々と万能薬エリクサーを作れるような腕の持ち主が、そんなことをしてしまえば戦争が起きかねん。──すでに『機械皇』の技術も学んでいるのだろう?」

「ええ、まあ……これからまた訊ねてみる予定でしたが」

 旅の最後は決まっているのだが、その途中で行こうと思っていた。
 アポを取る方法も分かっているし、そろそろやってもらおうか。

「……いろいろとあっただろう?」

「ええ、まあ……部屋中に機械を仕込まれたりはしましたね」

「それぐらいは歓迎程度だ。だが、二度目の来訪ともなれば扱いが変わる……」

「そ、そうなのですか」

 まあ、最悪死ねば逃げられるだろうけど。
 そういうことではないと、『錬金王』の目が物語っている。

「少なくとも、錬金術の腕は高めておいた方がよさそうだ。たしか、知識があればよかったのだったな」

「はい。万能薬を作ったのと同じ方法がありますので」

「そうか……ならば、少し強引ではあるが試してみようか」

 そう言うと、『錬金王』はついて来いとどこかへ向かう。
 ……なぜだろうか、物凄くマッドな空気が漂っている気がする。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

処理中です...