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DIY、再び革命へ
宣教師談(01)
しおりを挟む「あーあ、行っちゃったなー」
少女──『宣教師』はツクルが居なくなったあと、小さく呟く。
辺りには誰も居らず、彼女だけが存在している……はずだった。
「けど……いろいろと調べることがいい機会だったよ。うん、やっぱり君の言った通り、面白い人だったよ」
まるで誰かと語らうような口調、そんな話し方をしながら『宣教師』はツクルから貰った原付きのエンジンを起動する。
「ん、何の音かだって? 今回『生者』君が使っていた『ゲンツキ』って魔道具なんだって。『機械皇』の機械技術が使われているみたいだよ……そうそう、そういうこと」
エンジンを吹かし、タイヤを回す。
ゆっくりと動き出した原付きのバランスを取ることに苦労すること数分……それだけで『宣教師』は扱いをマスターした。
「はーっ、ようやく制御できた。……えーっと、何の話をしていたんだっけ? ……そうそう、調査報告だったね」
対面から受ける風を浴び、それでもなお平然と会話風の独り言を続ける『宣教師』。
報告、その言葉が示す通り──彼女はとある手段を用いることで、離れた場所に居る者と密に連絡を取り合っていた。
「『超越者』としての観点から見ても、やっぱり異常だよ。すぐに死んじゃうから調べる方法も考えなきゃいけないし、警戒していないようでしっかりとこっちの様子も見ているから、動きも考えなきゃいけないんだよ」
ツクルには『SEBAS』が居て、気を抜いていようと辺りを警戒することができる。
そういった事情を知らない『宣教師』は、彼のことをそう例えた。
「──たぶん、『機械皇』が言っていた物作りの才能が関係しているんじゃないかな? 例えば……そう、周りの気配を『生者』君にだけ伝える……とかさ」
そして、事実に近しい解答を告げる。
超高度なAIという存在を知らない者が挙げられる解の中では、もっとも正解だった。
「それか本人が異なる精神を一つの器に収めている……たしか、多重人格とかそういうのなのかもしれないね。相手のことを考えられる平凡な思考。それともう一つ、機械のように物事を捉える非凡な思考……みたいに」
原付きはどこまでも進んでいく。
初めての運転で『宣教師』は完璧に乗りこなしたうえ、意識を別のことに向けていた。
「ただ、君の言った通り関わり方さえ考えればそう悪い人じゃないみたいだね。現にぼくはこうして乗り物を貰ったわけだし……こういう部分からも、あんまり商人には向いていないと思うけど」
高価なポーションを無償で振り撒く姿を思いだし、苦笑する『宣教師』。
何か気になることがあったのか、突然耳に手を当て始める。
「……へー。……ふむふむ、君がそこまで気にするなんて珍しいね。……あははっ、からかうつもりはなかったんだ、ごめんごめん。とにかく、こっちの問題は終わったからぼくはまた別の場所に行くよ──あの大陸にね」
また会ったらどんな顔をするのだろう、少し悪戯心が表れた笑みを浮かべて『宣教師』は原付きをさらに加速させるのだった。
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