虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
1,082 / 3,140
DIY、お披露目する

星霊獣 中篇

しおりを挟む


「というわけで、ここを潜ってくれ」

『……これは?』

「世界樹の洞だ。理論上、ここを通るだけでどんな精霊でも精霊獣でも進化できる。ただ一つ、明確な意思が必要という点を除けば、完璧なシステムだろう」

『明確な、意志……』

 世界樹の内部は意思を持たない精霊──いわゆる微精霊──たちが毎秒生み出されており、それらが奔流となり外部へ放出される。

 そこを通ることで、微精霊たちを取り込み進化を促すことが可能なのだ。
 だが失敗すれば、微精霊たちに呑まれて意思を持たない彼らに溶け込んでしまう。

「ある意味、ちょうどいいんだけどな。イピリア、お前は目的を決めた。そのことが本当なら、成功するはずだ。まあ、これじゃなくても構わないんだけど」

『おい、貴様がそこまでする必要はない。アヤツの言葉を鵜呑みにするでないぞ!』

『……いや、やろう。我は決めたのだ、このような試練、乗り越えてみせよう!』

『ツクル……貴様、覚えておけ』

 これが終わったら、あとでお説教タイムになるんだろうな。
 しかし、今はやるべきことを行う……風兎もそこは見逃してくれるみたいだ。

「こちらも全力でサポートする、だから覚悟だけで構わない。どういう自分になりたい、そういうことを考えておいてくれ」

『ああ、やってみよう』

「それじゃあ、さっそく始めよう──奥へ」

 促すとイピリアは、覚悟を決めて祠がある洞の中へ進み……体を還元していく。
 光の粒と化して世界樹に取り込まれたイピリアは、やがて実となって生まれ変わる。

 洞から出た俺と風兎。
 だが風兎の目は、明らかに俺を訝しむ視線で見ていた。

『……すべて、想定内のことか?』

「いや、『SEBAS』はできると言っただけだ。一体を生むだけより、進化も同時にした方がいいとも言っていたし……まあ、全部がイピリアのためと言えないのが現実だな」

『そうか……』

 イピリアそのものが触媒に混ざっているので、彼の経験も取り込んだ新たな星霊獣が誕生することになるだろう。

 俺はその礼として、存在の格を一つ上の段階へ昇らせようとしている。
 それを教えなかったのは……意識することは一つに定めてほしかったからだな。

「俺も『SEBAS』も全力でサポートする所存だ。それに、ある意味創造は:DIY:で補正も掛けられる──すぐ分かる、イピリアは己に打ち勝ったってな」

 スキルの名を告げ、:DIY:を起動する。
 高められた能力値が、僅かでも成功率を上げることを信じ──『SEBAS』と共に、作業を行うのだった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

処理中です...