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DIY、守り攻める
愚賢な術式 後篇
しおりを挟むステータス情報を劣化させる“星記改悪”と、条件を絞ったり召喚対象を調べることができる“検索召喚”。
これら二つだけであっても、知る人が知れば強引にでも奪ってくるだろう。
実際問題、『愚かな賢者』が奪いに行ったかもしれない術式だからな。
だが、俺が貰った術式は三つ。
あと一つ……これは『愚かな賢者』も得る価値があるのかと問うてきたが、それは俺的にかなりの価値がある術式。
「最後の術式はこれだ──『双身之秤』」
発動対象は『騎士王』。
当然、向こうが抵抗すれば一瞬で弾かれるのだが──能力を知るためか、あるいは……俺への信頼か、効果を受け入れる。
「これは……身力の共有か」
「ああ。減衰無し、供給限界値無し。譲渡系の能力において、最上級の術式だろう」
「しかし、その程度の術式に本当に価値があるのだろうか。より攻撃的、支援的、生産的な術式を『愚かな賢者』は持っているはず」
「だろうな。これは投資みたいなものでもあるんだ。自分が価値の無い物に、自分以上の価値を見出し──それが本物となったら。交渉はより円滑になるだろうな」
まあ、一番いいのは接触しないことなんだけども……世の中は理不尽だからな。
だからこそ、最大限俺の利益になる術式でありつつ、向こうが訝しむものを選んだ。
「発動対象が一人にしかできないこと、ぐらいが不便なところだな。けど、それ以外は死亡しても効果を持続できるとか、ヤバすぎるほどの性能だしな」
術式名からして、双子という切っても切れない存在を表している。
だからだろう、死亡後すぐであれば、生命力の譲渡で蘇生すらできる術式なのだ。
おそらくそういう部分を目に付けられ、回収された術式なんだろうな。
問題はこの術式、送られる側が奪い取るようなことができないこと。
まあ、当然と言えば当然なのだが……蘇生目的で得ていたのであれば、ハズレだろう。
減衰無しだとしても、生命力1を与えただけで蘇生はできない。
死亡後の生命力はいわゆるマイナス値、そのうえで特殊な方法で生命力を与える必要がある──それをプラスに引き戻すためには、相応の生命力を支払う必要があるのだ。
「それで、この術式の利点とはなんだ?」
「分かっていると思うが、俺は死んでも蘇るからどれだけ供給しても困らない点。まあ、魔力以外は譲渡のために何度死ななきゃいけないか分からないけど。そしてもう一つ──使い方次第で即死魔法になるからな」
まあ、これは『騎士王』相手に実演することは無いけども。
そもそも、そんな事態になりたくないわけだし……ハァ、でも一度はあるんだろうな。
「じゃあ、もうこれで終わりだ──ほれ」
「?」
「不思議そうな顔をするな。その手の石に、早く術式を入れてくれ」
「くっ……覚えていたか。うやむやにできたと思っていたんだがな」
なんてやり取りをした後、『愚者の石』を受け取りようやく帰還を許された。
新しい『騎士王』の術式……もう面倒だから、これはまた別の機会でいいや。
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