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DIY、シンコウに備える
名無し談(01)
しおりを挟む「──ぐぎゃっ!!」
ツクルの居る魔族大陸から遠く離れた、休人たちの最前線。
船を降りた休人たちは、残念会を行っていたのだが……突然、ある男が苦しみだした。
「……あーあ」
「だからダメだって言ったのに……」
「──、────!!」
反論したい、だがそれをする余裕が無いほどに男は悶絶している。
全身に浮かんだ紋様、彼の下に集まりだした者たちがそれを覗き込んで話し出す。
「なるほど、呪印ですね。たしか、──氏の『プログレス』は……おや?」
「──、──……名前が呼べないですね。たしか……そうだ、失名の呪いというものがありました」
「そういえば、失名神話なんてものも最近はウワサになっていたっけ。つまり、神様すら名前を失うんだ。俺たち程度、呪い返すのも簡単だってわけだな」
表の部隊が正々堂々と攻撃を仕掛ける。
そして、それが失敗した場合に備えた第二プランを一部の者たちが練っていた。
それこそが『コード:自殺呪殺』。
自身、そしてその場で起きるであろう多くの死をトリガーとして、【魔王】を呪殺できないか試みようというもの。
……特段誰も損をしない、そんな簡単な理由で意外にも協力者は多い。
特に検証班は、貴重な呪いに関するデータと【魔王】への貫通性など興味津々だった。
実際、この作戦は【魔王】ひいてはその軍に多大な影響を及ぼす……はずだったのだ。
呪いは確実に【魔王】を蝕み、当人は殺せずとも周囲を巻き込むはずだったのだから。
──ある休人が知らずして、【魔王】に協力していなければ。
「あがががっ……!!」
名を失った男は、ひたすら苦しんだ。
休人特有のシステムを──[ログアウト]や自殺システムを慌てて使おうとした……しかし、システムは反応を示さない。
人を呪わば穴二つ、その意味は単に報いを受けるということだけではない。
相手にもたらしたモノと同等の、代償を支払えと世界は訴えている。
システムもまた、安易な愚行を選んだ者に自らの恩恵を授けてはくれなかった。
結果、彼は脳波の乱れによって緊急[ログアウト]するまでひたすら苦しみ続ける。
「なるほどなるほど……つまり、この呪印は東洋の文化に基づいて構築されたもの。また魔法世界の解呪や反呪では再現不可、日本でいう呪い返しの仕組みでできていると……」
「はい、ですがこれはかなりの精度です。まるで自分自身を何千何万と殺された、それぐらいの呪力が必要かと……」
「【魔王】ならできなくはない……気もしませんがね。ともかく、呪い使いが向こうにも居るということが分かりました。皆さん、すぐに情報を纏めますよ」
『はい!』
検証班たちは、確実性を得た情報を纏めるべくすぐさま資料作りを始めた。
……誰一人として、名を失った男を気に掛けてなどいないのである。
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