虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,072 / 3,140
DIY、捌いて裁く

神様談(25)

しおりを挟む


 何も無かった真っ新な空間、神々の……神話としての権威を失っていたそこは、少しずつかつての彩りを取り戻していた。

 切っ掛けはやはり、星渡りの民──休人たちの来訪。 
 それは他の神話も同様で、彼らの認識により性質を変える神すらも居たほどだ。

「つまり、彼らの影響力はとんでもないってことだよ。たしか、彼らの世界では過去の偉人が女の子になったり偉丈夫になったり、果ては彼らが使っていた武器すら人の姿を得たりするんだよ」

『…………』

「うん、その通り。この世界ならそれが可能だって、彼らはそう信じている。強い思念、神々はいつだってそれに応える──僕たちに必要なのは、そうした信仰なんだよ」

 そう語るのは少年の姿をした存在。
 その正体は創造神──名を失った神話の主は、それでも明るく振る舞い自らに協力する神々に意思を伝える。

「幸い、僕たちにはツクル君が居る。最近はいろいろと布教してくれているから、知名度がほんの少し上がっている。休人にとって、神話はたくさんあるものだからね。マイナーでもあると信じてくれる」

「じゃが、存在すると認知するのが限界であろう。特に、儂らは神固有の名を名乗ることができん。それでは本末転倒じゃ」

 創造神に反論するのは老人──否、老神。
 その正体は死神、彼はこの場に居る神々の中でも発言力が高い。

「ツクルが、休人どもが何度も死ぬことで儂の力も少しずつ回復していった。じゃが、死という概念によって得られる分、それを死神すべてで不平等に分け合っておるのが現状。まだまだ程遠かろう」

「うん。彼らは基本、識別することなく現象で神を信じるからね。この世界に神が居ることは信じてくれても、使える者は何でも使う彼らの原理に当て嵌めてくれているだけ。個神を信じているわけじゃない」

「ではどうする。まさかツクルに、そこまでやれと命じるのか?」

 現状、正しく彼らの威を広めることができるのはツクルのみ。
 手順を踏めば、彼らは名を取り戻すことができる──しかしそれは、険しい道のり。

「ううん、もう一つの手段をすでに用意してあるからね──ねっ、プログレスちゃん?」

「はいはーい、ご主人様が過労死されても困りますもんね。あっ、もうとっくにご自身でお試しになっていられるようですが。えーっと、交渉は無事完了。ヴァルハラ、オリンポス双方ともOKでしたよ」

「…………何をするつもりだ?」

「ふっふっふ、◆◆◆◆や他のみんなにも内緒で準備していたんだよ。ここでいっちょ、やってみようか──革命をね♪」

 頭を抱えたくなる死神。
 しかし、創造神に制裁を加えることができる◆◆◆◆はこの場に居ない。

 ……とりあえず、あとでしばこう。
 そう、心に誓う死神なのであった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。 音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、 幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。 魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。 そして再び出会う幼馴染。 彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。 もういい。 密かにやってた支援も打ち切る。 俺以外にも魔道具職人はいるさ。 落ちぶれて行く追放したパーティ。 俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。

【完結】天国の扉

藤井 紫
ファンタジー
〈佳作〉神に仕えるキャラが登場するファンタジーコンテスト【エブリスタ】 流行り物ではありません。【2025年4月完結済52万字】 こちら、修正忘れがあるかもしれませんm(_ _;m) 『魔女は、悪魔と契り、特別な力を得、黒髪になる』 ヴァロニア王国では、黒髪を持つ者は「魔女」として忌み嫌われていた。 13歳の誕生日、ジェードは魔女の疑いをかけられ、国を追われる。 逃亡の末、たどり着いた謎の異国・ファールーク皇国。彼女を迎えたのは、 自らも天使によって呪われた少年・ハリーファだった。 魔女と王族――ふたりの出会いが、王位継承と信仰の争いを大きく揺るがしていく。 政治と陰謀、信仰と過去が絡み合う、重厚戦記ファンタジー。 ※他サイトでは、ほんの少し加筆と修正していますが、こちらはまだ修正前です。 ※本作には、架空の世界観に基づく人種・出自・信仰・性別・階級等に関する差別・偏見・抑圧の描写が含まれます。 これらの表現は、物語上の背景や登場人物の信念を描くためのものであり、現実世界における差別や不当な扱いを肯定・容認・推奨する意図は一切ありません。 ご理解いただけますと幸いです。 ※書き始めが2010年ですので、当時と現在(2025年)の創作の倫理観に若干の差があります。  ご理解いただけますと幸いです。 ※エブリスタの「神に仕えるキャラが登場するファンタジー」佳作受賞。2020年10月 冒頭20000字の【書評】 魔女狩りの吹き荒れる時代が舞台。中世ヨーロッパに似た世界観にスッと入り込みやすい文章です。冒頭の処刑シーンで、現代とは違う価値観が支配していることを提示。場面が変わって、穏やかな日常から風雲急を告げる事態へ。緩急をつけた語り口が見事です。ただ魔女疑惑で村人が集まるシーンでは、ウィルダーの動向も知りたいと思いました。壮大な物語の幕開けの部分だけで、今後に期待できるピースが取り揃えられています。 (これを励みになんとか完結させました。今後は読んでもらえるように努力します!) ※見てもらえる機会を増やすため、下記サイトで同じものを公開しています。 ・カクヨム ・小説家になろう ・エブリスタ(※途中まで描いて頂いた挿絵あり) ・アルファポリス たまに修正更新をし忘れるので、カクヨムが一番間違いないです。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

処理中です...