虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,191 / 3,140
DIY、偽装工作に走る

魔導世界密入 その39

しおりを挟む


 気付けば結界の外は海の底。
 どうやら、『八大星魔』同士の大規模な戦いの余波らしい。

 結界を解除して脱出しても、襲い掛かる水圧は計り知れない……だが、それでも出なければいけない理由があった。

「……この結界、外部から一定以上のダメージがあると解除されてしまいます」

「──」
『それってどれくらい?』

「そうですね……『八大星魔』レベルの方々が、力を合わせて放つ術式を数十回分ぐらいでしょうか? あくまで、上の光景を見ての想定ですが」

「──」
『……あんまり参考にならないだって。私もそう思うよ、まだ周りに気を遣っているぐらいだもん』

 そう、『死天』は運営が拵えた特別な能力ではあるが、決してチートでは無い。
 限りなく破壊不能オブジェクトに近い結界が創れても、そのものでは無かった。

 たとえば、同格の『破天』が来ればすぐに壊せるし、それこそ『騎士王』が全力全開で星の武器を振るえば一発で砕けるだろう。

 そんな想定をしていたからこそ、二人が俺の言を否定するのもよく分かる。
 問題は壊れた後、どのように脱出するかなのだが……まあ、対策は準備済みだ。

「水の中でも活動できるアイテム、というのは用意しているのですが……問題は、その水が『真海の主』様が支配している場所ということなんですよね」

「──」
『多少なら誤魔化せる、だって』

「ありがとうございます。では、さっそくですがご協力お願いします」

 そんなこんなで、しばらく擦り合わせを済ませてから脱出開始。
 一先ずは設定を弄ってから自害、内部でどちらかが死んだことで結界が解除された。

「──『いや』」

 二文字の神言を『界樹の神子』が告げる。
 その内容は『いやきょぜつ』、彼女の体に水はいっさい近づかず──濡れることの無い新たな結界が展開された。

 その間に渡しておいた球体型のアイテムを使用、そこから空気が溢れ出て瞬時に内部へ広がっていく。

 俺はそれを間借りして、内部で死に戻りを実行──『いや』の効果は続いているので、ギリギリ端っこで待機だ。

「──」
『それじゃあ、行っくよー!』

 神霊がノリノリで叫び、『界樹の神子』が目を閉じ祈りを捧げる。
 すると海の底──もともと地面だった場所から、突如として巨大な根が出現。

 その根っこ──おそらく世界樹の根──が俺たちを掴むと、そのまま海上へと運ぶ。
 この際、阻むように途中から渦が襲ってくるのだが……そこは俺の仕事。

「──“ブラッシュダウン”」

 出る前にインストールし、準備を整えていた『ワイズマンブラッシュ』。
 その一つで、対象の術式を強制的に改造する“ブラッシュダウン”を発動。

 改造は改造でも、改良ではなく改悪。
 制御不能になった渦は、同じく近づいてきていた渦にぶつかり状況は混乱。

 その間に俺たちは根っこに守ってもらいながら、海上へと浮上──そして、そこで見たものは。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

処理中です...