虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

文字の大きさ
2,943 / 3,140
DIY、未知を既知とする

ムー襲来イベント前篇 その16

しおりを挟む


 軍艦の乗っ取り、内部からじっくりと。アイテムを駆使しながら行っていく。
 残ったのは艦橋のみ、しかし相手も異常に気付き厳戒態勢となっていた。

「最後の最後は正々堂々と……なんて決まりはありませんしね。ノリ的に、大胆かつ悪辣に行きましょう──『SEBAS』」

《すでに何度も自爆シークエンスの実行が確認されています》

「やはりですか……王道ではありますが、分かっていて許す必要もありません」

 創作物の定番、敵による奪取を防ぐために行う命懸けの自爆。
 だが今回、動力源を確保していた俺たちは先んじてそれを防ぐことに成功した。

 艦橋からの命令を最優先するシステムではあったが、擬似的にその命令が届かないよう『SEBAS』が細工を入れることで、その決死の選択を何とかしている。

「すでに検証は済ませています。彼らにもお見せしましょう──神聖術式“至行”」

 選んだのは俺自身の神聖術式。
 99%を100%にする、そんなほぼ確実に成功することを確実にこなすための補助術式を発動。

「加え──“開錠”、“解錠”、“壊錠”」

 三つの職業能力、それらは総じて閉ざされた鍵に対処するためのもの。
 開く、解く、壊す……形は違えどどれもその先にアクセスするために使える。

 ここに[称号]、アイテムや事前知識などの補正が乗ることで成功率は向上。
 扉を覆う防壁の動力を断ち、スキルの効果がきちんと通じる状態にすれば──

「扉は開く、ということですね」

「──総員、撃てぇえええ!」

 陽素がスパークしながらも、ゆっくりと開かれていく扉。
 俺が目にしたのは、銃のような陽具を構えて待ち受けていた軍人たちの姿。

 逃げることなど不可能、射線が通った時点で彼らは発砲を開始。
 慈悲など無い、侵入者である俺は容赦なく撃たれ続け──

「ふむふむ、それなりにダメージはありましたね。並大抵の休人であれば、守りに徹しても突破できなかったかもしれません」

「なっ……!」

「補給源を断ってもなお、陽具自体でそれだけの出力を発揮できますか……ふむ、俄然興味が湧いてきましたね」

 無傷……のように見えるが、死亡回数三桁越えの俺が立っている。
 そんな様子に恐れおののき、それでも銃口はこちらに向け続ける軍人たち。

 弾切れではないだろうが、無限というわけでもないのだろう。
 暴走するでもなく、上官の指示を仰ぐその姿はあっぱれというもの。

 なお、眠らせた軍人たちから陽具はそれなりに確保している。
 解析に回して結果待ちなのだが、稼働中のデータも欲しかったからこその現状だ。

「もう終わりですか? では、そろそろこちらから行かせていただきましょう」

「怯むな、アルファは継続! ブラボーは抜剣! 起動を忘れるな!」

『了解!』

 何やら胸の辺りに手を当ててから、軍人の半分が接近戦を仕掛けてきた。
 たしか、『SEBAS』によるとフレンドリィファイア防止の陽具なんだっけ?

 まだ試していなかったし、どういった原理なのか見ておこうか。
 死んでも死なない、『超越生者』だからこそできる舐めプの始まりだ。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

神殴り代行 異世界放浪記 〜俺の拳は神をも砕く〜

ファンタジー
「フォース」——それは、あらゆる生命の魂に宿るエネルギー。 23世紀、日本は新たなエネルギー「フォース」を発見した。 石油の枯渇による世界戦争の中、日本が生み出したこの力は、やがて世界を変革する。 フォースの研究は、「能力開発」へと発展し、人々は意志と感情によって能力を発現するようになった。 主人公・神谷錬(かみやれん)。 東京で働く25歳のサラリーマンであり、趣味は走ることと美味いものを食べること。 幼少期からフォースに興味を持ち、独学で研究を重ねた結果、**「空間干渉」**という独自の能力を会得する。 空間干渉——それは、フォースの膨大なエネルギーを利用し、空間を操る力。 レンは、自在に空間を歪め、破壊することすら可能となった。 しかし、ある事件をきっかけに、世界の壁の向こう側へと放り出される。 彼が目を覚ましたのは、何もない**「虚無空間」**——そこから、レンの果てしない旅が始まる。 辿り着いた異世界には、神々すら支配する強大な力が渦巻いていた。 しかし、レンの拳は、世界の理すら破壊する力を持っていた——。 世界の壁の向こうにあるのは、希望か?それとも絶望か? 異世界を旅する放浪者が、神々と拳を交える物語が、今始まる——。

勇者辞めます

緑川
ファンタジー
俺勇者だけど、今日で辞めるわ。幼馴染から手紙も来たし、せっかくなんで懐かしの故郷に必ず帰省します。探さないでください。 追伸、路銀の仕送りは忘れずに。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

処理中です...