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DIY、未知を既知とする
ムー襲来イベント後篇 その14
しおりを挟む邂逅した二人の特級職持ち。
アイスプルの【救星者】、そしてムー世界の【太陽帝】。
「単刀直入に申します。私はなぜ、ここに呼ばれたのでしょうか?」
「──暇ゆえに、と答えたらどうなる?」
「……特には。ただまあほんの少し、思うところはあるかもしれませんが」
「で、あろうな。先も申した通り、できるとは思ってもいなかったのだ。本来、それに掛かるであろうコストから、異なる特級職の力がどれほどのものか知ろうとした……そのはず、だったのだがな」
俺が弱過ぎたため、強制転移も低コストで使えてしまった。
それゆえに確認も無いまま、そんなミジンコクソ雑魚を引っ張ってきたわけだ。
「弱さは罪。【太陽帝】とはそのような在り方で引き継がれてきたのだ……さて、改めて名乗ろう──ソゥソル・ヘリオ・ムー、この世界を統べる帝とは我のことだ」
「アイスプル世界の特級職、【救星者】ツクル。元冒険世界の『超越者:生者』にして、現星敵『超越生者』でもあります」
世界を股に掛け、力を手にしてきたのでそういう挨拶になってしまうな。
中でも星敵、という単語を聞いたところでピクリと身動ぎをする【太陽帝】。
「星敵……討滅することで多大なる恩恵を得られるという、外敵か。ふむ、特級職としては討つことが使命なのであろうが……さて、どうしたものか」
「そうなれば、全力で抗いますので推奨しかねますよ。それこそ、この身で今日まで生き延びてきた理由を証明して」
脅しではない、やると決めればやるとも。
相手は特級職だ、『騎士王』に行ったソレと同等の──アイスプルに隠し持つ禁忌のすべてを解き放ってでも抗おう。
「……そうか。同じ特級職の身、我の手で討つことは止めておこう。だが、次代にはその旨は告げない。それでよいな?」
「あまりよろしくはありませんが、まあ貴方に殺されないというのであればそれで。しかし次代、というと継承者ですか。先ほどの弱さは罪という言葉……もしや争奪戦を?」
「…………それを知ってどうする?」
「いえ、ただそうですね……少しばかり、お話を聞いていただきたく」
相手の返答は聞かず、勝手に[インベントリ]からアイテムを取り出す。
内容は当然というかいつも通りというか、毎度お馴染みのポーション二種類。
「それは?」
「蘇生薬と万能薬ですね。死んですぐなら死人でも蘇りますし、寿命以外の死病であれば治ります」
「…………」
ピクリと眉を顰める【太陽帝】。
不老不死というわけでも無いが、限りなくそれに近いことができてしまうのが俺謹製の蘇生薬と万能薬。
そして現在、冒険世界を中心としてそんなチートポーションを文字通り薄利多売して休人たちに広めていた……まあ、部位欠損を治したり特殊状態を治すのに使われているな。
「まあ、我々休人……『星渡りの民』であれば、何人か保有している類いです。こちらの世界に、このような物は?」
「答える必要があるのか?」
「有る、と仮定して続けましょう。こちらのこれは何十本でも何百本でも、無尽蔵に休人たちが訪れる限り届きます。それを手に、力ある者たちは何を想うのでしょうね」
「……これも世界を閉ざしてきた影響か。まさか外の世界が、そのような修羅の跋扈する殺伐としたものになっていたとはな」
まあ、言い得て妙だ。
休人たちの中でも善良な連中がどうにか防いでいるだけで、俺たちの存在自体が厄介ごとを生み出した例は多々ある。
俺の作るポーションもそう。
言い訳をするなら、争奪戦自体はこれまでも行われていたので、その価値が失われた影響で異なる戦いが起きただけ。
人はいつだって、争いを起こす理由を探しているのさ。
……とか割り切れないからこそ、この機会にお偉い様に話を通しておくのだ。
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