催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武

文字の大きさ
75 / 135
外国へ遊びに行こう

掃除をしよう

しおりを挟む


 魔族からの目もだいぶマシになった。
 力こそが尊ぶべきモノと考えられる脳筋国家ともなれば、その国民たちもまた単純な奴らが多いわけだ。

「おめでとう、イム。これで立派な外交官として、魔族にも認められたよ。そして、これからは人類連合の敵決定だ」

「人類連合?」

「ヴァ―プルが提案した、勇者を旗頭とした魔王討伐同盟だよ。勇者の同郷者が裏切ってこっちと内通しているって……面白いよね」

「ヴァ―プルってどこの国だ?」

 え゛っ? と驚く魔王だが……本当に心当たりがないんだよな。
 すぐに召喚をした国だと説明されるが、覚えてなかったのだから仕方ないだろう。

「まあ、そのヴァ―……パープルのことはどうでもいい。それより、例の話は?」

「そっちは了解。すぐに書状でも書いて、イムに持たせるよ……それとも、使いでも用意した方がイイかな?」

「いちいち面倒だから要らねぇ。そんなの用意するぐらいなら、俺が直接繋いでやるよ」

「それも良さそうだけど、今は止めておこうかな。もう少し、準備した方がいいからね」

 文字通り、悪魔的な頭脳を手に入れている魔王の考えなんて俺には分からない。
 思考停止、と言われても構わないが……本当にどうでもいいんだよ。

「帰るときに書状は渡す。だから、イムには少しの間ここに居てもらうよ」

「──ハッ? 嫌に決まってるだろ。それならこっちにも条件がある」

「条件? まあ、言ってみてよ」

 俺がそう言うのは分かっていたのか、間を開けることなくそう言ってくる。

 そう言ってくれることはこちらもなんとなく理解していたので、すぐに自分の望みを伝えておく。

「大使館でも造って、そこを俺専用の住処として提供しろ。そこは外交特権……たしか、法の枠外だっけ? にしておくんだな」

「…………ああ、そういうことね。それぐらいなら、構わない。イムが少しでもこの街に居たいと思えるなら、軽い条件だよ」

 外交特権とは要するに、勝手に侵入することを認めなくする素晴らしいモノだ。

 捕まえられないし、助けを求めれば保護してくれる……たとえあっちの国を追い出されても安心だな。

「けど、犯罪に関しては……」

「そっちはこっちルールで構わない。ただ、日常生活で俺を束縛するな。楽ができるように貰うモノを弄るが、それが法に引っかかっても無視してほしいってだけだ」

「ふーん……建物はすぐに用意できるよ。ただ、そこが嫌なら少し時間が掛かる」

「曰く付きってことか。人が死んだとか、悪霊が居るっていうぐらいならそれでもいい」

 それって、この世界だとプラスにしかならないと思うようになった。
 えっ、なんでかって? それは──

  ◆   □   ◆   □   ◆

 案内されたそこは、問題物件だ。
 そのような表現ができないような、禍々しさが感じられてしまった。

「本物って、あるんだな」

 地球でも怪談として挙げられ、芸能人が調査するような番組がいくつもやっている。

 そういうヤツを演出する施設もあったし、ほとんど淘汰されていたとも言える存在が悪霊といったスピリチュアルな存在だ。

 だが、はっきりと分かった……いや、正しくは分かってしまった。
 死霊系のスキルが見せるのは、怨念渦巻く恐怖の館。

 ──証明してしまったよ、そういうモノは実在するんだって。

「さて、さっさと弱体化させますか」

 ここで便利な神聖魔法と空間魔法を合わせて使う、神聖空間という安直な魔法スキル。
 全力全開でやるとさすがにバレるので、俺の周囲に展開して屋敷に近づいていく。

「おっと……『防音』」

 聴覚を遮断する暗示を施し、怨霊たちが呻く声をスルーできるようにしておく。
 いちいち喚く奴らにキレて、力を解放するなんてことはしたくないからな。

「レッツ探索だー」

 さっき挙げたが、テレビでこういう番組を見たことがあるのでなんとなく言ってみた。

 死霊魔法は死霊を感知することもできるので、探すというより追うと表現する方が正しいよな。



 見つけだしては、空間に取り込んでいく。
 弱らせた悪霊は再利用する価値を見出しているので、成仏はさせずにキープだ。

 また、悪霊でないのならば成仏できるように今は放置しておく。
 異世界転移がある世の中だ、転生という概念もあるに違いない。

 善行を重ねておけば、俺も報われるかもしれないからな……なんて適当な理由は別にしても、善いことをしておけばイイことが返ってくると思っているんだよ。

「一階は探索完了。地下と二階、さてどちらから始めようか……」

 当然というか、王道というか悪霊の数は地下の方が多かった。
 そのため、悩んだのは一瞬であって二階を選択することになる。



 それなりに広い屋敷だが、迷宮のように空間が拡張されているわけでもないので歩けばいつかゴールに辿り着く。

 悪霊が居なくなったのを確認してから、地下へ足を踏み入れる。

「……オゥ」

 だが、さすがに予想していなかった。
 魔王曰く、この屋敷はだいぶ前から生きていた魔族が持っていた屋敷なんだとか。

 年季が入っている分、住民も多いというわけだな……全然笑えないけど。
 視界を埋め尽くす霊体の数々を拝み、そんなことを思いだした。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

処理中です...