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外国へ遊びに行こう
従わせよう
しおりを挟むしばらくして、すべての奴隷たちが食事を終えた。
俺個人の食料を数ヶ月分も食い尽くされたことに少々思うところはあるが、やったのは俺なので仕方なく諦めておく。
「それで、これからどうすんだよ」
「俺に忠誠を誓わせる……冗談だ。俺は異世界人としての倫理観を持ち合わせた、至って常識的な男だからな。逃げたい奴は放置してやるんだ。それで、俺に仕えたい奴だけを連れ帰る予定なんだが……要るか?」
「人は要る要らねぇじゃねぇ。生きとし生きるすべてに理由がある」
「まあ、そういう寒いのは置いておくとしても、お前に助けてもらったと思う奴は多いからな。……まあ、抜けている奴はお前に任せておくよ。騎士団でも作ればどうだ?」
奴隷で構成された騎士団と聞くと、だいぶ風評が悪くなりそうだが……確実に言った命令を実行する辺りは、もっとも効率のいい軍団となるだろう。
まあ、俺の場合は奴隷よりも催眠魔法を信じているので奴隷という目に見える楔からは解放しているんだがな。
いちおうそれっぽい首輪を付けている奴隷も居るが、だいたいのヤツは外している。
「オレを守る騎士よりも、国に仕える騎士が欲しいよ。それなら二人を守ってくれるんだからよ」
「……へいへい、素晴らしい姉妹愛ですね。まあ、そういうわけだお前たち。解放してやるから、どうしたいか答えろ。一人ひとり、個別にしてやるよ──『個室』」
空いている檻にセットした暗示単語を唱えると、元素魔法などによってそこはしっかりとした壁で覆われた個室となる。
奴隷たちは驚いている様子……まあ、魔法の無駄遣いだからな。
俺としては超重要な魔法だと思うけど、そこは生まれの違いだろう。
「そうだなー。あー、ここにいらっしゃる偉大なる王国の第二王女様に忠誠を誓いたいヤツは、さっさと前に出ろ。まず解放して、個室の中で話を聞いてやる……ああ、その場合は第二王女様がメインで聞いてやるよ」
「んなっ!?」
「おいおい、王女様がそんなだらしない驚き方するなよ。さっき言った通り、国を守る騎士様でも選んでおいた方がいいぜ。自分の父親が何をしようとしているかぐらい、とっくに分かってんだろ?」
「うぐっ、そう、だけど……」
あの王がやろうとしていること、わざわざ異世界人が召喚されたタイミングで他国との結び付きを強化している理由……そしてそれが、絶対に易々と叶わないことを王女たちは予め伝えられている。
だから第一王女と第三王女は国を巡り、少しずつ自分たちの味方となる国を増やしている……まあ、土壇場でどうなるのか分からないのが人間ってヤツだけど。
だがここにいる第二王女はそうじゃない。
本人の性格もあって嘘を吐けないため、そうしたお仕事に向いてないからだ。
「ほら、さっさと始めるぞ──『言ったことに従え、行動を始めろ』」
さすがにこのタイミングでもツッコむほどに、空気が読めない王女ではない。
……いやまあ、読んだうえでケンカを吹っかけてくる時もあるけど、
首輪が強制する前に動き始める数人の奴隷たちを檻から出して、第二王女と共に中で面談を執り行うことにする。
◆ □ ◆ □ ◆
面談の内容なんてオールカット。
順々に奴隷たちと話をして、大半の奴隷が俺たちのどちらかに従うことを誓う。
逃走しようとしたヤツもいたが……予め檻に催眠魔法を掛けていたので、ソイツが発狂した様子を見て恐怖に満ちた顔をしていた。
まあ、自業自得だろう。
持っていたスキルも犯罪者系だったし、処分寸前だったんだろうな。
生きてはいるがすでに廃人状態だ──仕方が無い、サンプルとして使おうか。
「──そろそろ、話は済みましたか?」
「ええ、お嬢様はここの奴隷たちが大変気に入ったようで……契約は必要ありません、そのまま持ち帰ってもよろしいでしょうか?」
それなりの金貨を並べると、商人の顔はとても欲に満ちたモノとなる。
それを見る第二王女の表情はとても嫌悪に満ちたものになるが……そんなことはどうでもいいので、無視して交渉を進めていく。
「この通り、お支払いはできますので。ですが、私たちとしてもそう多くのお金を使っては旦那様に叱られてしまいます。そこで、契約は知り合いの魔法使いに頼みます」
「……あなたの、お知り合いですか?」
「ああ、わざわざすみません。細かいことは気にしないでください……ね?」
先ほど並べた金貨と同じ量の硬貨が入った袋を机に置き、黙らせる。
同時に精神魔法を行使し、細かいことが気にならないようにしておく。
「……そう、ですね。では……値段交渉といきましょうか」
小さく『尋問』と呟き、パパッと交渉して値段を決める。
あとで誰かにバレると問題が起きるかもしれないので、そういった交渉にはいっさい反則行為をせずにしっかりと行う。
ただ、嘘を吐かれるのはやっかいだしな。
それに、まだこの都市についての情報が欠けている。
こういうときにでも集めておかないと、楽に対応することができなくなってしまう。
「──とまあ、そういうわけです。お客様には親切にしないといけないません……そうですよね?」
「はい……そう、ですね……」
「ありがとうございます。では、いくつか質問に答えてください」
形あるものは証拠に残る、だからしっかりと処理をする。
なら無形はどうする? もちろん、手っ取り早く処理をするさ。
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