催眠術師は眠りたい ~洗脳されなかった俺は、クラスメイトを見捨ててまったりします~

山田 武

文字の大きさ
26 / 135
小さな諸国に行ってみよう

偽装を更新しよう

しおりを挟む


 奴隷たちの進路面談も終わり、それぞれの職場へと旅立っていった。

 侍従組に関しては、そのままトショク邸で失敗を重ねながら修業を行ってもらう。
 さすがに、現在も召喚された国でメイドをやっているヤツを呼ぶわけにもいかない。

 ――方法は、いくつかあるけどな。

「……これを、こうしてこうすれば……まあこんな感じか?」

 そして現在、俺はステータスの偽装を修正と更新を行っていた。

 監視員の女にバレたからな。
 定期的にレベルアップを適応させないと駄目だと理解したんだよ。

「さすがに自動偽装は……できるのかよ」

 少々設定が細かかったが、どうにかこっちの世界の者の平均的な成長率を再現した状態でのステータスの表示に成功した。

「“鑑定”……うん、バッチリだ」

 偽装した俺のステータスは、だいたいこんな感じである──

---------------------------------------------------------
ステータス
名前:イム・トショク(男)
種族:【異世界人Lv8】〔【普人Lv20】〕
職業:【睡眠士Lv10】

HP:160/160〔150/150〕
MP:180/180〔170/170〕

ATK:50〔50〕
DEF:53〔51〕
AGI:51〔50〕
DEX:58〔53〕
MIN:56〔52〕
LUC:0

通常スキル
(言語理解)(鑑定)(過剰睡眠)(料理)(錬金)
(弓術)〔+(狩弓術)〕(集中)〔+(鷹の目)〕
(魔力操作)(回眠)(解体)〔+(自動解体)〕
---------------------------------------------------------

 このステータスにはなんと、普通の偽装の上に催眠による偽装が施されているのだ。

 俺を異世界人だと知っている者には異世界人としての偽装ステータスが、そうでない者には普人としてのステータスが……かなり便利じゃないか?

 スキル自体は本当に持っているスキルなのだが、一部の派生を隠してある。
 表示しているモノはあくまで、出しておいた方が行動に支障が出ないモノばかりだ。

 本当は空間魔法や付与魔法等も表示したいのだが、それはかなりレア度の高いスキルらしいので、控えておくことにした。

 奴隷たちからコピーしたスキルは、それと同等にレア度の高いスキルだ。

 そのためここに表示することはできないのだが、クラスメイトが所持していたスキルと併せることで面白い反応が起きた。

 ……唯一スキルって、本当に唯一かどうかがまた分からなくなったよ。

「えっと、誰か飲み物を……ありがとう」

 聴力が高い侍従が、俺の注文を聴いて即座に飲み物を用意してくれる。
 部屋を出て行くとき、ピョコンと兎の耳が見えたと言えばだいたい理解できるだろう?

 東の方の国から売られてきた、湯呑を使ってそれを飲んでホッとする。

「うーん、やっぱり誰かが淹れた物は美味いなー。自分が動かないから」

 他人の金で食う飯が美味いように、他人の不幸が蜜の味と例えられるように、面倒事をせずに得られた物とは何でも良いように感じられるのだ。

 努力をせずに力を得ている俺の唯一スキルもまた、そうした考え方がもとになり、生まれたのかもしれないな。

 これまた、コピーした錬金スキルで工夫を重ねて生み出した緑茶をすする。

 ……嗚呼、やっぱり日本人は緑茶だよな。
 紅茶の流通が行われていたから、それの発酵度合いを弄るだけで済んだ。

 お蔭でウーロン茶もついでに作れたぞ。

「……ハァ。茶が美味い」

 人肌程度の温度なため、貰ってすぐに口へ含もうと火傷することはない。
 じっくりと喉を潤していき、日々の疲れを癒していく。

「……ふぃいい。さて、そろそろ行くか」

 湯呑をその場に置き、空間魔法を使ってある場所へと移動する。

 ──さて、それはいったいどこでしょう?

  ◆   □  正 解  □   ◆

 名も無き空間。
 俺が組み合わせたスキルで創り上げた簡易的なスペースは、そう名付けられた。

 正直厨二かよ……と言いたいところだが、それ以外の案が出るわけでも無かったのでそのまま採用となったのだ。

「──だいたい、揃っているな」

 周囲を見渡すと、事前に招集命令を放っていた者たちが集まっている。
 ドラゴンや狼、植物や土人形など──主に人ではない者や物がこの場には集っていた。

「ハッ! ラームやブラドたち遅れている者たちは、主様の命を遂行するために行動中ですございます!」

「ああ……そういえば頼んでいたな。あそこは俺の頼んだ面倒事の中でも、たしか難易度がかなり高かったんだっけ」

 マチスの報告に、そうだったと思いだす。
 先ほど挙げられた者たちには、とある場所の調査を頼んでいる。

 その場所は大量の死者が出るような場所なので、従魔の中でも適正を持つ者を選んでそこに派遣したのだ。

「……まあ、一番面倒な場所なだけで、お前たちに頼んだのも同じくらい大変なものだったからな。本当に呼ばなければいけないのなら、ちゃんと召喚魔法で呼べるし、今はどこまでやれるかを確かめる期間だ」

 転移禁止空間であろうと、それ以上の力で転移を行おうとすれば移動は可能である。
 どうせ俺に動く気は無いのだから、魔力ぐらい全力で消費して呼び戻すぞ。

「さぁ、それじゃあ始めますか──会議を」

 まあ、もう何度かやっているんだけどな。

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。 ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。 そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。 問題は一つ。 兄様との関係が、どうしようもなく悪い。 僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。 このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない! 追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。 それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!! それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります! 5/9から小説になろうでも掲載中

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです

桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。

【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる

ともボン
ファンタジー
「ケンシン、てめえは今日限りでクビだ! このパーティーから出て行け!」  ある日、サポーターのケンシンは勇者のキースにそう言われて勇者パーティーをクビになってしまう。  そんなケンシンをクビにした理由は魔力が0の魔抜けだったことと、パーティーに何の恩恵も与えない意味不明なスキル持ちだったこと。  そしてケンシンが戦闘をしない空手家で無能だったからという理由だった。  ケンシンは理不尽だと思いながらも、勇者パーティーになってから人格が変わってしまったメンバーのことを哀れに思い、余計な言い訳をせずに大人しく追放された。  しかし、勇者であるキースたちは知らなかった。  自分たちがSランクの冒険者となり、国王から勇者パーティーとして認定された裏には、人知れずメンバーたちのために尽力していたケンシンの努力があったことに。  それだけではなく、実は縁の下の力持ち的存在だったケンシンを強引に追放したことで、キースたち勇者パーティーはこれまで味わったことのない屈辱と挫折、そして没落どころか究極の破滅にいたる。  一方のケンシンは勇者パーティーから追放されたことで自由の身になり、国の歴史を変えるほどの戦いで真の実力を発揮することにより英雄として成り上がっていく。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...