32 / 135
小さな諸国に行ってみよう
パーティーに参加しよう
しおりを挟む「おお! よくいらっしゃった、バスキの第三王女よ」
「ええ、今回はこのような場まで設けていただき、光栄でございます」
「いやいや、これから我が国とバスキとの間に築かれる歴史的な事柄を考えると、これくらいのことは当然のことでございますよ」
目の先では、そのようなやり取りが行われていた。
片方は──偉そうな格好をして冠を付けた王様……ただし、名前は忘れたな。
片方は──煌びやかなドレスを身に纏った美しい美貌を持つ若き王女様……第三の。
うん、要は旅も終わって無事到着したってことである。
今は第三王女の来賓を祝したパーティーの時間であり、そして先ほどの挨拶がその中でもメインとなる邂逅ってわけだな。
あれからいろいろとあったんだが──その中の一つ、暗殺者の回想でもして、どうでもいい対談の時間を潰そうか。
◆ □ 回 想 □ ◆
俺の影から飛びだした血の槍、それらは暗殺者の体に喰い込み抜けることは無かった。
「……ぐっ。な、何をした」
「何も。俺が手を出さずとも、お前たちの敗北は決していたって言っただろうに」
「ふ、ふざけるな! “ウィンド──」
《させると思うか?》
代表っぽい男の抵抗は、始まる前に食い止められる。
体に刺さった槍の形状が少し変わり、現れた逆棘がグリグリと男へと刺激を与えた。
すると、その痛みから魔法の詠唱を止めてしまい、魔法の発動は失敗してしまう。
《偉大なる我が主への狼藉、本来ならば即座の死刑が妥当かと》
「本来って言ってる時点で、もう何をするかは分かっているんだろう」
《ですが、幸いにも言葉を話す猿は五匹。少し数を減らしても問題ないかと》
「……それもそうか。まっ、あとで面倒事にならないようにしてくれれば構わない」
面倒臭くなったのでそう伝えると──昏い影が胎動し、暗殺者たちを呑み込んでいく。
《はっ、主の御心のままに》
「……チッ、おい! アレを使え!」
「わ、分かった!」
そう言って配下っぽいヤツが取りだしたのは、筒のような物であった。
ソイツはそれに魔力を流し込み、紐のような物を引っ張って起動を行う。
《クッ、面妖なことを》
「へー、まだ足掻くのか……面倒だなー」
ボシュンッ、と筒から放たれたのは仄かな燐光であった。
小さな光は上空に飛んでいき──強烈な閃光で、世界を照らしだす。
とっさに周囲への影響は遮断したが、それでもここら一帯には光が万遍なく行き届いてしまう。
周囲に伸びていた影が俺の足元まで追いやられてしまい、暗殺者たちは血の槍の拘束から、その隙に抜け出していく。
「どうする、手を貸した方が良いか? お前独りでも余裕だとは思うが……長時間この場に居ると怪しまれるしさ」
《……申し訳ありません。ですが、私の力だけで行わせてください》
「ああ、任せたぞ……面倒だからな」
第三王女に怪しまれると困るし、そろそろパパッと終わらせようとしたが……まあ、本人のやる気に任せようか。
《いきます──“部分日蝕”》
すると、俺の足元の影が再び蠢き、上空で燦々と光る光球の周りに集っていく。
影は靄状になって少しずつ光へと近付いてき、輝きを奪おうとしている。
実際、影がそこに居るだけで、だんだんと周囲の明るさが戻っていっているしな。
「そうはさせん──“風爆撃”!」
代表っぽい奴がそう言って魔法を発動させると、周りの奴らもそれに続き、いろいろな魔法が靄へと襲い掛かった。
「でもなー、無理だよなー」
「ば、バカな……」
まあ、靄はそんな魔法も気にせず、黙々と光を蝕する作業を進めていた。
実際には少し違って、魔法を喰らってのが正解なんだけど……今はその説明は置いておくとしようか。
──すでに光は月光に劣る輝きしか放っておらず、世界は再び影の存在を享受する。
靄は俺の影へと戻り、同化した。
そして、先程のように辺りへと自身の活動領域を伸ばしていき……はい、暗殺者たちはまた捕まったぞ。
《少し侮ったことは詫びよう。今度は体を動かせないようにしておく》
血の槍から幾つもの棘が伸び、人体の関節部分を的確に押さえていった。
ついでに経絡も刺しているみたいだし、もう逃げ出せないな。
「それじゃあ、俺はそろそろ第三王女の下に戻る。できる限り質問しておいてくれ」
《ハッ。御心のままに》
俺のがこの場を去った時、此処には誰もいなかったとさ。
◆ □ 現 在 □ ◆
そして今、パーティーに参加中だ。
城に入ってからは何の問題も無くことが進み、王との謁見も済ませられた。
俺も異世界人の正装として制服を着込み、このパーティーを眺めている。
……いや、面倒事は御免だからな。
俺に話しかけたくない、と精神的な嫌悪感が俺を見た瞬間に感じられるようにちょいと細工をしてあるので、話しかけられるのは限られた者だけである。
「やあ、久しぶりだね。トショク君」
「……ああ」
「さっきもう君の顔を見たけど、話す機会は無かったからね。こうして直々に、トショク君を見に来てやったよ」
「そりゃどうも」
そして、そんな限られた者の一人が、俺の目の前に立っていた。
いかにもファンタジーの魔法使いが着そうなローブを羽織り、無駄に金の掛かりそうな宝石を嵌めこんだ杖を持っている。
──ソイツの名前は……あっダメだ、思い出せない。
……とにかく、俺のクラスメイトだった。
2
あなたにおすすめの小説
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
倒した魔物が消えるのは、僕だけのスキルらしいです
桐山じゃろ
ファンタジー
日常のなんでもないタイミングで右眼の色だけ変わってしまうという特異体質のディールは、魔物に止めを刺すだけで魔物の死骸を消してしまえる能力を持っていた。世間では魔物を消せるのは聖女の魔滅魔法のみ。聖女に疎まれてパーティを追い出され、今度は魔滅魔法の使えない聖女とパーティを組むことに。瞳の力は魔物を消すだけではないことを知る頃には、ディールは世界の命運に巻き込まれていた。
【完結】勇者PTから追放された空手家の俺、可愛い弟子たちと空手無双する。俺が抜けたあとの勇者たちが暴走? じゃあ、最後に俺が息の根をとめる
ともボン
ファンタジー
「ケンシン、てめえは今日限りでクビだ! このパーティーから出て行け!」
ある日、サポーターのケンシンは勇者のキースにそう言われて勇者パーティーをクビになってしまう。
そんなケンシンをクビにした理由は魔力が0の魔抜けだったことと、パーティーに何の恩恵も与えない意味不明なスキル持ちだったこと。
そしてケンシンが戦闘をしない空手家で無能だったからという理由だった。
ケンシンは理不尽だと思いながらも、勇者パーティーになってから人格が変わってしまったメンバーのことを哀れに思い、余計な言い訳をせずに大人しく追放された。
しかし、勇者であるキースたちは知らなかった。
自分たちがSランクの冒険者となり、国王から勇者パーティーとして認定された裏には、人知れずメンバーたちのために尽力していたケンシンの努力があったことに。
それだけではなく、実は縁の下の力持ち的存在だったケンシンを強引に追放したことで、キースたち勇者パーティーはこれまで味わったことのない屈辱と挫折、そして没落どころか究極の破滅にいたる。
一方のケンシンは勇者パーティーから追放されたことで自由の身になり、国の歴史を変えるほどの戦いで真の実力を発揮することにより英雄として成り上がっていく。
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる