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大きな戦いに挑もう
撮ってもらおう
しおりを挟む「ずばり、『ステータスチェック』機能を登載することに成功しました!」
「……そんな機能、少なくとも俺の世界のスマホには無かったからな」
「ああ、イム様がお話になられていたものはもうほとんど搭載できていますよ。今は、できるだけスキルが無いものにもその恩恵が与えられるかという、実験に入っていまして」
「……まあ、便利だからいっか」
勝手にやっているようだが、もともと人のために研究をしていたのが……えっと、名札が逆を向いているから分からないな。
「──あっ、ファーレか」
「……ちなみに、イム様のために顔と名前が分かるようなアプリも用意できますけど」
「助かるには助かるんだが。いちいち確認する手間って面倒臭くないか?」
「では、ぜひ覚えてもらいたいです」
ひどく残念な者を見るような目を向けてこられても、特に思うところは無い。
ただ、時間が経つと奴隷っぽさを忘れるのがこの屋敷の奴隷の特徴だな。
──そう、仕向けているわけだし。
「ああっと、ステータスをチェックできるって言ってたっけ? 具体的に……は、説明しなくて良いから、簡潔に頼む」
「……まだ完璧ではありませんが、アプリを起動して『かめら』で撮った相手の魔力波からだいたいの情報を解析します。相手が隠蔽系のスキルを所持していた場合、その技量が『%』で表示されます」
「スキルの熟練度まで分かるのか……あと、少し長かったな」
「これでも百分の一ほどに省略しましたよ」
そんなに長くは聞いていられなかったな。
ただ、腕輪のどこにレンズがあるんだよ、みたいな質問がなかなかしづらい。
「気になっているようでしたら、ぜひとも試してみませんか?」
「別に……俺って──ずっとレベル1だし」
こういうことは詩戦システムの最中に明かされるんだっけ? 普通は。
けどまあ、仕方がない……そうする必要がこれっぽっちもなかったわけだし。
俺が強くなるより、従魔が強くなった方が世のため人のため……俺のため。
というわけで、一度レベルをリセットして強くてニューゲームを始めていた。
能力値とかはリセットされるが、雑魚キャラは格上との戦闘でボーナスだと[ログ]を視て知っていたからな。
どうせ俺の能力値は【停導士】の補正値が大半なので、種族・職業レベルに関してはこれっぽっちも必要としていなかったわけだ。
それに、【勇者】からコピーした二つの成長スキルもあったので……あとでレベルを上げたくなったとき、同じような問題に悩まなくて済むことになる。
「そうでしたか。では、私のことを写してみるのはいかがでしょう?」
「……なんか、一度やったら他の連中にも頼まれそうだし。ファ…………ああ、ファーレが係として、俺も含めやってくれ」
「……。まあ、イム様ですし……分かりました、ではそのように」
そんなこんなで、レンズっぽいナニカを向けられてステータスを計測される。
なお、昔の地球みたいに魂を抜き取られる的な迷信は無いようだ。
召喚された連中がカメラを持ち込み、さんざん使っていたようなので。
そのため認識の齟齬なども無く、あっさりとステータスの確認に移る。
「イム様が【導士】であることは存じていますが、本当に凄いのですね。戦わずして、ここまで強くなるなど」
「俺を体現した職業だしな。一度導けば、あとで向上心を見せても問題ないらしいし。お前みたいなヤツがいても、ただ便利だって屋敷に囲っておける」
「……それは褒め言葉にはなりませんよ」
「面倒だからな。百の言葉で取り繕うぐらいなら、一の行動で示された方がいい……なんて言葉をどこかで聞いた気がする」
うん、まさに俺好みの言葉だ。
要するに、喋らなくてもいいから済ませたら自由にしていいよ、ということなんだし。
「ファーレ、要するに俺の役にも立ってくれるならここでは何をしてもいいわけだ。さすがに殺人は後味が悪いから、俺の奴隷以外で済ませてもらいたいけど」
「……例の『お土産』って、そういうことでしたか?」
「足りなくなったら、俺が直接相手をするわけだけど。いちおう、まだ誰かを殺したいって衝動に駆られているヤツはいないぞ。ただもしそうなったら、下に居るヤツが犠牲になるんだろうなって話なだけ」
血袋とか魔力供給源とか、そういう役割であればすでにやってもらっているけど。
レアな種族が多い分、その性質をどうにかするまでの時間が必要なわけ。
「同じ希少種同士で頑張ってみれば、何か自分たちで解決法を見出してくれると思ったわけだが……実際、どうなっているんだ?」
「吸血鬼の吸血衝動に関しては、すでに解決しています。ただ、相応の魔力が必要になるため、仕事を終えた者から徴収しています」
「献血ならぬ献魔ってことか。払って済むならそれにこしたことはないだろう」
大半の種族は生活自体に支障が出ないデメリットなので、問題解決も簡単だ。
従魔は契約した時点で、必要エネルギーはすべて俺の魔力で賄われている。
つまり俺から勝手に貰っているので、デメリットが働くことは決してない。
「……って、だいぶ話が逸れたな。どこから話をしたいか?」
「いえ、もう結構です。今は……その、イム様の持っていられる御刀の方に興味が」
《当然よ。この高貴なるアタシに古山人が興味を持たないなんてありえないわね! さあイム、この娘に自慢してやりなさい!》
「……ほらっ、面倒だし解析していいぞ。今回のご褒美はそれってことで」
目がキラキラとしているファーレに、グレイと名付けた小太刀を投げる。
瞬時に道具担手スキルを外したので、グレイも抵抗できないままファーレの手の中へ。
「──しゃ、喋るんですね。あの、イム様。なんだか自分をイム様の下へ帰せと仰られていますが……」
「聞こえているか分からないが、ソイツは俺の認める優秀な発明家だ。ソイツに調べてもらえば、自分の新たな可能性が見つかるかもな。聞こえてないなら、ファーレ。お前からソイツに言ってやってくれ」
「俺の、認めた……だ、大丈夫です! き、聞こえていたみたいですから!」
「? まあ……ならいいけど。もっと使い勝手がよくなったら、いつも連れ運べるようになるかもな。頑張れよファーレ、グレイ」
適当に言ったが、もしかしたらと期待できるのがファーレだ。
できることは多い方がいいし、なんとかしてグレイの使い道を見つけてもらいたい。
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