15 / 147
15
しおりを挟む
目の前の出来上がったばかりの白無垢はとても見事なものです。
それなのにお父様もお母さまもお兄様も複雑な顔をしておられます。
この見事な白無垢を着て、もうすぐ私は亮真様と婚姻の儀を行うことになっております。
生まれ育った藤堂の家を出ていくのだと思うと不安ばかりが胸をよぎります。
近頃の私は後ろ向きで卑屈な気持ちばかりを持ち合わせてしまっておりました。
そのような気持ちを持ち合わせておりますので当日衣装に負けてしまうのではないかと気が気ではありません。
「あなたたちみたいに仲良くやっていけるのかしら、ねえ。」
チチチッ
お兄様の知り合いの方に譲って頂いた小鳥を眺めながら話しかけるのが日課のようなものになってしまいました。
狭い籠に入っている庭の小鳥たちはいつ見ても寄り添っております。
狭い籠の中で、誰も入ってくることもない、お互いだけが唯一の世界に生きるということは幸せなことなのでしょうか。
亮真様と式をもうすぐ挙げるというのにそんなことを考えてしまいました。
夫婦になった折にはーーー亮真様は私を妻と認めてくださいますでしょうか。
そして私に笑いかけてくださるのでしょうか。
幸せだと感じてくださるのでしょうか。
とうとうあれから亮真様と言葉を交わすこともないまま結婚式を迎えます。
◇◇◇◇
「小雪?本当にいいの?今ならまだ間に合うわよ?」
「お母さま、いつも私のことを心配してくださってありがとうございます。私が亮真様と夫婦になりたいのです。それにこれからたくさん時間もありますし少しずつ歩み寄っていければと思っております。だから心配しないで、お母様。これまで育ててくださってありがとうございました。お母さまの娘で私はとても幸せです。」
あれからというもの、家族全員から最後の最後まで結婚など嫌ならやめたらいいなどと言われて参りました。
心の奥底では警報を発しておりますのに、それでも亮真様のもとに嫁ぎたいと恋願う私は愚かなのでしょうか。
真っ白な白無垢に身を包んだ私は、本当に久しぶりに亮真様と再会しました。
私を見て目を瞠った亮真様は何かをおっしゃろうとされたかと思うと口を噤んでおられます。そして滞りなく式が行われて行きました。その後、私は亮真様と並んで粛々と祝いの言葉を受け取っております。
亮真様はずっと私のそばから離れず寄り添ってくれておりました。
宴は夜遅くまで続きそうですが私と亮真様は一足先にお暇して、今日から私達が暮らすことになる屋敷へ向かいます。
私と夫婦になるのを機に、実家である本家の大河内家を出て新たに亮真様が屋敷を立るとおっしゃったそうで、お父様もそれならばと共同で建ててくださりました。
これから新たな生活が始まることに不安はございますが、改めて亮真様とこれから生活を共にするのだと思うと不安と緊張と期待で鼓動が高鳴ります。
屋敷に就くと使用人が勢ぞろいして出迎えてくれました。この屋敷の女主人として挨拶をしてから亮真様に手を引かれて部屋に向かいます。
「ここが夫婦の部屋で、その隣が君の部屋、反対側が私の部屋だ。」
落ち着いた内装で私好みの内装に仕上がっておりほっといたしました。
内装に関しては私の意見をふんだんに取り入れてくださっていたようで、屋敷全体が落ち着いた色彩で統一されております。
その後ゆっくりとお湯につかり体を洗い流してから、遂に夫婦の間へ足を進めました。
それなのにお父様もお母さまもお兄様も複雑な顔をしておられます。
この見事な白無垢を着て、もうすぐ私は亮真様と婚姻の儀を行うことになっております。
生まれ育った藤堂の家を出ていくのだと思うと不安ばかりが胸をよぎります。
近頃の私は後ろ向きで卑屈な気持ちばかりを持ち合わせてしまっておりました。
そのような気持ちを持ち合わせておりますので当日衣装に負けてしまうのではないかと気が気ではありません。
「あなたたちみたいに仲良くやっていけるのかしら、ねえ。」
チチチッ
お兄様の知り合いの方に譲って頂いた小鳥を眺めながら話しかけるのが日課のようなものになってしまいました。
狭い籠に入っている庭の小鳥たちはいつ見ても寄り添っております。
狭い籠の中で、誰も入ってくることもない、お互いだけが唯一の世界に生きるということは幸せなことなのでしょうか。
亮真様と式をもうすぐ挙げるというのにそんなことを考えてしまいました。
夫婦になった折にはーーー亮真様は私を妻と認めてくださいますでしょうか。
そして私に笑いかけてくださるのでしょうか。
幸せだと感じてくださるのでしょうか。
とうとうあれから亮真様と言葉を交わすこともないまま結婚式を迎えます。
◇◇◇◇
「小雪?本当にいいの?今ならまだ間に合うわよ?」
「お母さま、いつも私のことを心配してくださってありがとうございます。私が亮真様と夫婦になりたいのです。それにこれからたくさん時間もありますし少しずつ歩み寄っていければと思っております。だから心配しないで、お母様。これまで育ててくださってありがとうございました。お母さまの娘で私はとても幸せです。」
あれからというもの、家族全員から最後の最後まで結婚など嫌ならやめたらいいなどと言われて参りました。
心の奥底では警報を発しておりますのに、それでも亮真様のもとに嫁ぎたいと恋願う私は愚かなのでしょうか。
真っ白な白無垢に身を包んだ私は、本当に久しぶりに亮真様と再会しました。
私を見て目を瞠った亮真様は何かをおっしゃろうとされたかと思うと口を噤んでおられます。そして滞りなく式が行われて行きました。その後、私は亮真様と並んで粛々と祝いの言葉を受け取っております。
亮真様はずっと私のそばから離れず寄り添ってくれておりました。
宴は夜遅くまで続きそうですが私と亮真様は一足先にお暇して、今日から私達が暮らすことになる屋敷へ向かいます。
私と夫婦になるのを機に、実家である本家の大河内家を出て新たに亮真様が屋敷を立るとおっしゃったそうで、お父様もそれならばと共同で建ててくださりました。
これから新たな生活が始まることに不安はございますが、改めて亮真様とこれから生活を共にするのだと思うと不安と緊張と期待で鼓動が高鳴ります。
屋敷に就くと使用人が勢ぞろいして出迎えてくれました。この屋敷の女主人として挨拶をしてから亮真様に手を引かれて部屋に向かいます。
「ここが夫婦の部屋で、その隣が君の部屋、反対側が私の部屋だ。」
落ち着いた内装で私好みの内装に仕上がっておりほっといたしました。
内装に関しては私の意見をふんだんに取り入れてくださっていたようで、屋敷全体が落ち着いた色彩で統一されております。
その後ゆっくりとお湯につかり体を洗い流してから、遂に夫婦の間へ足を進めました。
1,312
あなたにおすすめの小説
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる