見捨てられたのは私

梅雨の人

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さすがに今から何をするかは心得ておりますので緊張いたします。 

「小雪、入るぞ。」 

ノックの後に亮真様が現れました。 

お風呂上がりの亮真様はの髪の毛はまだしっとりと濡れております。おそらく乱れているのを手ぐして整えたのでしょう。大人の男性の色気を感じ頬が熱くなっております。 

ゆっくりと近づいてきた亮真様は無言で私の隣に腰を下ろされました。 

「不束者ですがこれからどうぞよろしくお願いいたします、亮真様。」 

「ああ…」 

どうしたのでしょう。 

亮真様の目じりが朱に染まっております。私をじっと見つめられたままそっと抱き寄せてくださいました。 

初めての私はただ亮真様に縋りつくばかりでしたが、亮真様の苦しそうな息遣いと私の乱れてしまった意味のない声が部屋に響き、何度も絶頂させられました後に胎に温かなものが広がっていくのを感じました。

痙攣したように震える私を亮真様はぎゅっと抱きしめてくださいまして、再び亮真様が激しく腰を打ち付けてまいります。再び胎に温かなものが広がるのと同時に私はそのまま意識を失ってしまいました。 

しばらくして未だ眠たいと思うのにうつろうつろと目を醒ましてしまった私は、藤堂家とはまた違う爽やかな部屋の匂いにハッとして目を開けました。 

小鳥の囀る声が聞こえます。時計は7時を指しておりますが隣には亮真様はいらっしゃいませんでした。 

ふと見ると亮真様の部屋へ続く扉がほんのわずかに開いておりまして無意識のうちにそっと中をうかがうために足を動かします。 

そっと部屋をのぞき込みますと、一人でお休みになられている亮真様がいらっしゃいました。 


夢のような初夜を終えたというのに胸に重苦しいものがのしかかって参ります。 

初夜を終えた新妻が夫婦の寝室で一人寝をしていたのだという事実に強く打ちひしがれてしまいます。 

旦那様は私と共寝をするのがそんなに嫌だったのかと思うと自然と涙があふれてきました。 


夫婦の寝室というものは夫婦で交わるためだけの場所なのでしょうか。今更情けなくてそのようなことを誰にも聞けません。 
 

これからは夫婦の行為が終われば私も同様に自分の部屋に戻っていかなければならないのかと思うと、胸の奥がツンとして、ますます涙が頬を伝って参りました。 
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