見捨てられたのは私

梅雨の人

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琴葉お義姉様のお誕生日をお祝いする日がやってきました。 

到着すると亮真様が車を降りて一直線に歩いて行かれます。置いて行かれないように急いで車を降りようとした私はバランスを崩して足をくじいてしまいました。 

「痛っ…」 

車から降りてこちらに背を向けたままズンズン遠ざかっていく亮真様にこんな姿を見られなかっただけでも幸いなのでしょうか。 

せっかくのおめでたい席で足をくじいてしまったなど知られたら余計な心配をかけてしまうと思い、何事もなかったかのように歩いて行きます。 

一歩歩くごとにズクンズクンと痛みで冷や汗が背中を伝います。 

会場では琴葉お義姉様はお友達に囲まれており、亮真様が既にその輪の中にいてお祝いのお言葉をかけていらっしゃいました。亮真様をご覧になって琴葉お義姉様は花が咲いたような笑顔で出迎えております。 

どうにか琴葉お義姉様と亮真様のもとへ到着いたしました私はタイミングを見てお祝いのお言葉をと輪の中に近づきますが。一向にその機会が訪れません。ちらりと亮真様が視線を私に向けられただけでした。 
 

ズクンッ  
 

私はどんどんひどくなっていく痛みにどうしようもなく限界を感じてしまいます。 

それ以上は立っていられないと判断した私は、申し訳なく思いながらも少しその場を離れて窓際の椅子に一人腰を掛けさせて頂きました。 

少し以前に気を失う際に打ち付けた肩が依然少し痛むというのに。今度は足まで痛めるなんて。 

『なんて私は愚図なのかしら―――。』 

 

遠くから見ても琴葉義姉様と亮真様はお似合いに見えます。 

「なんてことを考えているのかしらね。ねえ、小鳥さんたち。あなたたちは今幸せにしているのかしら?」 

話す相手の居ない私は独り言をつぶやき、窓越しに空を見上げます。 

その窓には私自身が反射され映っております。いつものように嫁入りの際に持ってきた衣類を身に纏っております。代り映えのない私から目を背けて再び琴葉お義姉様に視線を戻します。 

琴葉お義姉様の衣装は太賀お義兄様が選んで差し上げたのでしょうか。私も一度でいいから亮真様に選んでいただきたい…なんて望んでしまっても叶わない夢なのでしょうか。 
 

亮真様だったら私にどのようなものを選んでくれるのかしらー。 

一度でいいから亮真さまがどんなもを私に選んでくれるのか見てみたいと思う気持ちくらいは許して頂けるでしょうか。
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