見捨てられたのは私

梅雨の人

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亮真1

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小雪が私の妻になってから大事しなければと分かっているのになかなか思うように行かず、ついには怪我までさせてしまった。 

琴葉義姉さんの祝いの席で足を怪我させ、挙句に私の知らぬところで心労のため倒れ一人床に転がっていたそうだ。
医者に夫ならばもう少し妻の小雪を気にかけるよう小言を言われ大層あきれられた。当たり前だ。

あの日、罪悪感を覚えつつも小雪を屋敷に送り届けた後、琴葉義姉さんの祝いの席に戻った。しかし私は小雪が心配で心あらずになってしまい泊まっていけという琴葉義姉さんに断りを入れて屋敷に戻った。

帰宅して目を閉じて横になっている小雪を間近に見つめた。疲れた顔をしているのに美しさが隠しきれておらず、初めて会ったあの幼い少女がこの数年の間で蛹が蝶になったかのように成長したことに改めて感嘆の息が漏れて出てしまった。

本当に目の前に横たわっているこの美しすぎる女性は本当にあの幼かった小雪なのか、と。 
 

◇◇◇ 

 
私は武骨で気の利いた世辞も会話をすることもとうの昔にさじを投げてしまった。 

だからだろうか、小雪の控えめで透き通るような声に癒されていても、すみ通るように清らかな心のまま私に寄り添ってくれているだけで心が満たされていることも、ほかにもたくさんあるのに何一つ小雪に伝えることが出来ずにいた。 


琴葉義姉さんは私の憧れの人だった。兄さんと比べて私は何一つとして優れたところなどなく劣等感をぬぐい切れず育った。いや、今も兄さんに対してのそれはぬぐい切れていないのだが。 

そんな私をいつも褒めて励まし続けてくれた琴葉義姉さんのおかげでやさぐれずにこれたのだと思う。見た目によらず、兄さんに物怖じせず軽快な物言いで口論さえいとわない豪快な性格をしている義姉さんが眩しくみえた。 

幼いころから太賀兄さんの許嫁として私たちのそばにいた義姉さんに対する私の憧れの気持ちを兄さんも薄々は感づいていたと思う。 


それでも小雪が私の婚約者と決まってからはそんな私を小雪に見せたくなくて、出来るだけ兄さんと義姉さんから距離を置いていた。 

年下の小雪を見ていると頼られていることが心地よかった。これまで兄さんと義姉さんと一緒にいて経験したことのない高揚感みたいなものを感じていた。 

小雪はあどけなくて妹のように感じていたが日を追うごとに成長を続けていて、美しい大人の女性へと成長していく小雪をみるたびに動揺している自分がいた。
 
小雪を不安にさせてはいけないと婚約者として定期的に交流を続けていたが、それも義姉さんが同じ屋根の下で暮らすようになるまでだった。 
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