34 / 147
亮真1
しおりを挟む
小雪が私の妻になってから大事しなければと分かっているのになかなか思うように行かず、ついには怪我までさせてしまった。
琴葉義姉さんの祝いの席で足を怪我させ、挙句に私の知らぬところで心労のため倒れ一人床に転がっていたそうだ。
医者に夫ならばもう少し妻の小雪を気にかけるよう小言を言われ大層あきれられた。当たり前だ。
あの日、罪悪感を覚えつつも小雪を屋敷に送り届けた後、琴葉義姉さんの祝いの席に戻った。しかし私は小雪が心配で心あらずになってしまい泊まっていけという琴葉義姉さんに断りを入れて屋敷に戻った。
帰宅して目を閉じて横になっている小雪を間近に見つめた。疲れた顔をしているのに美しさが隠しきれておらず、初めて会ったあの幼い少女がこの数年の間で蛹が蝶になったかのように成長したことに改めて感嘆の息が漏れて出てしまった。
本当に目の前に横たわっているこの美しすぎる女性は本当にあの幼かった小雪なのか、と。
◇◇◇
私は武骨で気の利いた世辞も会話をすることもとうの昔にさじを投げてしまった。
だからだろうか、小雪の控えめで透き通るような声に癒されていても、すみ通るように清らかな心のまま私に寄り添ってくれているだけで心が満たされていることも、ほかにもたくさんあるのに何一つ小雪に伝えることが出来ずにいた。
琴葉義姉さんは私の憧れの人だった。兄さんと比べて私は何一つとして優れたところなどなく劣等感をぬぐい切れず育った。いや、今も兄さんに対してのそれはぬぐい切れていないのだが。
そんな私をいつも褒めて励まし続けてくれた琴葉義姉さんのおかげでやさぐれずにこれたのだと思う。見た目によらず、兄さんに物怖じせず軽快な物言いで口論さえいとわない豪快な性格をしている義姉さんが眩しくみえた。
幼いころから太賀兄さんの許嫁として私たちのそばにいた義姉さんに対する私の憧れの気持ちを兄さんも薄々は感づいていたと思う。
それでも小雪が私の婚約者と決まってからはそんな私を小雪に見せたくなくて、出来るだけ兄さんと義姉さんから距離を置いていた。
年下の小雪を見ていると頼られていることが心地よかった。これまで兄さんと義姉さんと一緒にいて経験したことのない高揚感みたいなものを感じていた。
小雪はあどけなくて妹のように感じていたが日を追うごとに成長を続けていて、美しい大人の女性へと成長していく小雪をみるたびに動揺している自分がいた。
小雪を不安にさせてはいけないと婚約者として定期的に交流を続けていたが、それも義姉さんが同じ屋根の下で暮らすようになるまでだった。
琴葉義姉さんの祝いの席で足を怪我させ、挙句に私の知らぬところで心労のため倒れ一人床に転がっていたそうだ。
医者に夫ならばもう少し妻の小雪を気にかけるよう小言を言われ大層あきれられた。当たり前だ。
あの日、罪悪感を覚えつつも小雪を屋敷に送り届けた後、琴葉義姉さんの祝いの席に戻った。しかし私は小雪が心配で心あらずになってしまい泊まっていけという琴葉義姉さんに断りを入れて屋敷に戻った。
帰宅して目を閉じて横になっている小雪を間近に見つめた。疲れた顔をしているのに美しさが隠しきれておらず、初めて会ったあの幼い少女がこの数年の間で蛹が蝶になったかのように成長したことに改めて感嘆の息が漏れて出てしまった。
本当に目の前に横たわっているこの美しすぎる女性は本当にあの幼かった小雪なのか、と。
◇◇◇
私は武骨で気の利いた世辞も会話をすることもとうの昔にさじを投げてしまった。
だからだろうか、小雪の控えめで透き通るような声に癒されていても、すみ通るように清らかな心のまま私に寄り添ってくれているだけで心が満たされていることも、ほかにもたくさんあるのに何一つ小雪に伝えることが出来ずにいた。
琴葉義姉さんは私の憧れの人だった。兄さんと比べて私は何一つとして優れたところなどなく劣等感をぬぐい切れず育った。いや、今も兄さんに対してのそれはぬぐい切れていないのだが。
そんな私をいつも褒めて励まし続けてくれた琴葉義姉さんのおかげでやさぐれずにこれたのだと思う。見た目によらず、兄さんに物怖じせず軽快な物言いで口論さえいとわない豪快な性格をしている義姉さんが眩しくみえた。
幼いころから太賀兄さんの許嫁として私たちのそばにいた義姉さんに対する私の憧れの気持ちを兄さんも薄々は感づいていたと思う。
それでも小雪が私の婚約者と決まってからはそんな私を小雪に見せたくなくて、出来るだけ兄さんと義姉さんから距離を置いていた。
年下の小雪を見ていると頼られていることが心地よかった。これまで兄さんと義姉さんと一緒にいて経験したことのない高揚感みたいなものを感じていた。
小雪はあどけなくて妹のように感じていたが日を追うごとに成長を続けていて、美しい大人の女性へと成長していく小雪をみるたびに動揺している自分がいた。
小雪を不安にさせてはいけないと婚約者として定期的に交流を続けていたが、それも義姉さんが同じ屋根の下で暮らすようになるまでだった。
1,912
あなたにおすすめの小説
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる