見捨てられたのは私

梅雨の人

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亮真2

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兄さんと夫婦となった義姉さんは大河内家の屋敷で住むようになった。そして新しい環境に早く慣れるにはどうしたらいいのかとよく私を頼ってくるようになった。
表面上はうまくいっているようにみえるが実は母とも兄ともうまくいっていないのだと義姉さんが私に不安をこぼすようにもなっていた。 

兄さんも忙しさにかまけて義姉さんをあまり相手にしていない様子だった。 

義姉さんに頼られることなどあまりなかった私は憧れの義姉さんを助けてあげなくてはという使命感に燃えあがってしまった。これまで自分を支えてくれていた義姉さんが今度は私を頼ってくれていることが誇らしかった。 

琴葉義姉さんがあの屋敷で寂しい思いをしないように、不憫な思いをしないようにと。 

小雪も私の妻となり嫁いでくる身なのだから、琴葉義姉さんの不安な気持ちを汲んでくれるものだと思いこんでいた。 

小雪は美しい。控えめでそれなのに芯が強く他人を慮ってばかりいるような女性だ。 

 

小雪と祝言をあげた日に表情の暗い義姉さんに声をかけると、兄さんが仕事でしばらく屋敷からいなくなるので心細いのだと言いづらそうに教えてくれた。 

さすがに小雪との初夜をすっぽかして義姉さんのもとに向かうことなどできないがそれが終わってから様子でも見に行くことに決めた。 
 

小雪との初めての夜は理性を保つのがやっとで、出来ることならずっと彼女を抱きしめていたかった。がっついてしまって小雪に愛想をつかされることを恐れてしまったほどだ。

私は事後しばらくして琴葉義姉さんのが心配そうにしていたことを思い出した。少し冷静になるために小雪を置いて私室にいったん戻ったまではよかったが、どっと疲れが出てしまって自室の寝台の上で眠ってしまっていた。 

それから琴葉義姉さんの様子を見に行き、どうしてもと乞われてそれならばと兄さんが帰ってくるまでそこにとどまることにした。さすがに新婚早々これはどうかと思ったが、小雪なら心細い義姉さんの気持ちを分かってくれるだろうと思い、小雪に連絡をしなかった。いや、罪悪感から出来なかったが正解か。 

結婚してまだ月日が浅い琴葉義姉さんが、嫁いだ家で、夫の帰りを一人で待つなど心細くて仕方がないだろうと言い訳を繰り返したが、後で思えばそれは小雪にだって当てはまることだったのだ。 

琴葉義姉さんのもとに私がいがいたときに、一日早く兄さんが戻って来た。急に琴葉義姉さんが慌てだして小雪に話がしたいと騒ぎ出した。それで結局、兄さん夫婦をその晩夕食に招待することになった。 
 

急なことだというのに料理のところどころに私たちの好物の食材が使われており、小雪の細かな心遣いを感じられた。

そう言えば久しぶりに小雪と飯を食べたと気が付いたのもその時だった。 

それよりも、最後に小雪と会話らしい会話をしたのはいつだっただろうか考えると焦燥感が胸をよぎった。
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