38 / 147
34
しおりを挟む
足を負傷して三週間が経過いたしました。
「小雪、庭に出ないか?」
「でも、この足では時間がかかってしまいますので…」
「大丈夫だ…」
一気に近づいてきた亮真様が私をおもむろに抱き上げてくださいました。
「りょ…亮真様…」
「夫婦…なのだから、これ位いいだろう?タカ、天気もいいから小雪の服はこのままでいいだろうか?」
「ええ、ええ。よろしいと思いますよ。」
「そうか、では行こう。」
困惑している私をよそに私と目の合ったタカさんはニコニコと微笑ましそうに私たちを送り出しております。
久しぶりに部屋から出てきたもので、亮真様に抱きかかえられて移動する惨めな私を嘲笑する声がどこかから聞こえるようで不安になってしまいます。
「大丈夫だ、小雪。」
「え?」
「タカ、後で皆を集めておいてくれ。」
そうタカさんに指示を出した亮真様は私を抱えたまま庭園を歩かれております。
「花が…新しい花がたくさん植えられておりますね。」
「ああ…気に入ったか?」
「ええ、とてもきれいです。」
「そうか…」
会話らしい会話もなく亮真様は私を抱きかかえたままゆっくりと庭園を回り終えると屋敷内に戻っていかれます。
エントランスを抜けると、見知らぬ顔ぶれの使用人ばかりが並んで私たちを待っておりました。
「小雪、君に伝えていなかったがかなりの使用人が新しくなった。…それだけだ。さあ、部屋に戻ろう。」
それから私を抱えて部屋に入った亮真様は私を寝台の上に慎重おろしてくださいました。
「つらくはないか?」
「いえ、私は大丈夫ですが…」
「うん?」
「亮真様がその…私は重かったのではないですか?腕は大丈夫でしょうか…」
「腕?ああ、問題ない。…私は少し仕事をしてくる。また後で…」
「あの、亮真様っ…私を連れ出してくれてありがとうございました。」
「ああ…後…君はもう少し体重を増やしたほうがいい。もっと栄養のあるものを用意する。…ゆっくり休んでいてくれ。」
「はい…。ありがとうございます。」
「奥様どうかいたしましたか?足が痛みますか?」
「…いえ、大丈夫よ、ありがとう。」
足を怪我してからというもの亮真様がとてもやさしく気遣って下っています。
入れ替えられた使用人は皆、不甲斐ない私のような女主人にとてもよくしてくれます。
このようにとても穏やかな日々を過ごしているというのに、それでもどこかに不安を覚えるのはなぜなのでしょうか。
「小雪、庭に出ないか?」
「でも、この足では時間がかかってしまいますので…」
「大丈夫だ…」
一気に近づいてきた亮真様が私をおもむろに抱き上げてくださいました。
「りょ…亮真様…」
「夫婦…なのだから、これ位いいだろう?タカ、天気もいいから小雪の服はこのままでいいだろうか?」
「ええ、ええ。よろしいと思いますよ。」
「そうか、では行こう。」
困惑している私をよそに私と目の合ったタカさんはニコニコと微笑ましそうに私たちを送り出しております。
久しぶりに部屋から出てきたもので、亮真様に抱きかかえられて移動する惨めな私を嘲笑する声がどこかから聞こえるようで不安になってしまいます。
「大丈夫だ、小雪。」
「え?」
「タカ、後で皆を集めておいてくれ。」
そうタカさんに指示を出した亮真様は私を抱えたまま庭園を歩かれております。
「花が…新しい花がたくさん植えられておりますね。」
「ああ…気に入ったか?」
「ええ、とてもきれいです。」
「そうか…」
会話らしい会話もなく亮真様は私を抱きかかえたままゆっくりと庭園を回り終えると屋敷内に戻っていかれます。
エントランスを抜けると、見知らぬ顔ぶれの使用人ばかりが並んで私たちを待っておりました。
「小雪、君に伝えていなかったがかなりの使用人が新しくなった。…それだけだ。さあ、部屋に戻ろう。」
それから私を抱えて部屋に入った亮真様は私を寝台の上に慎重おろしてくださいました。
「つらくはないか?」
「いえ、私は大丈夫ですが…」
「うん?」
「亮真様がその…私は重かったのではないですか?腕は大丈夫でしょうか…」
「腕?ああ、問題ない。…私は少し仕事をしてくる。また後で…」
「あの、亮真様っ…私を連れ出してくれてありがとうございました。」
「ああ…後…君はもう少し体重を増やしたほうがいい。もっと栄養のあるものを用意する。…ゆっくり休んでいてくれ。」
「はい…。ありがとうございます。」
「奥様どうかいたしましたか?足が痛みますか?」
「…いえ、大丈夫よ、ありがとう。」
足を怪我してからというもの亮真様がとてもやさしく気遣って下っています。
入れ替えられた使用人は皆、不甲斐ない私のような女主人にとてもよくしてくれます。
このようにとても穏やかな日々を過ごしているというのに、それでもどこかに不安を覚えるのはなぜなのでしょうか。
2,196
あなたにおすすめの小説
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
【完結】私の婚約者はもう死んだので
miniko
恋愛
「私の事は死んだものと思ってくれ」
結婚式が約一ヵ月後に迫った、ある日の事。
そう書き置きを残して、幼い頃からの婚約者は私の前から姿を消した。
彼の弟の婚約者を連れて・・・・・・。
これは、身勝手な駆け落ちに振り回されて婚姻を結ばざるを得なかった男女が、すれ違いながらも心を繋いでいく物語。
※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしていません。本編より先に読む場合はご注意下さい。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる