見捨てられたのは私

梅雨の人

文字の大きさ
59 / 147

55

しおりを挟む
「ちょっと亮真さん、どうしちゃったの?変わったわね。」 

「そうかな、義姉さん?」 

「ええ、そうよ。…そういえば小雪さん。先日のお誕生日の贈り物、気に入ってくれたかしら?亮真さんが選ぼうとしていたから心配になって一緒に選んであげたのよ。ね、亮真さん?」 

「ああ」 

「今は寒いしちょうどいいと思って。あのひざ掛けとても暖かいでしょう?バラの花びらがたくさん刺繍されていて本当に素敵よね。」 

「亮真、お前、宝石商を呼んでいたよな?ひざ掛け?にしたのか?まさかな…?」 

「…ああ」 

「なんなの?太賀も亮真さんも。私の選んだものに問題があったっていうの?」 

「いや…義姉さん」 

「…そういえば小雪さん、体調のほうはどうだい?無理はしてないだろうね?」 

「ええ、おかげさまで回復いたしました。」 

「そうか…本当に良かった。」 

 

「失礼いたします。大河内様、屋敷の方がいらっしゃっておりますがどういたしましょうか?」 

「こんな時にか…、仕方ない。話を聞きに行こう。」 

「兄さん、私が行こうか?」 

「いや、いい。私が行く。折角なんだからお前は小雪さんと料理を楽しむといい。」 


「なんなの、太賀ったら。ねえ、亮真さん。」 

「さあ…」 

「それよりも小雪さん、何で急に体調を崩してしまったの?大河内の嫁として体調管理も大切なことなのよ?」 

「申し訳ございません。」 

「義姉さん、その辺でやめてくれ。」 

「やだ、なあに、亮真さんは小雪さんの肩を持つわけ?」 

「小雪の肩を持つも何も、小雪は良くやってくれている。体調を崩したからと言ってそこまで言なくてもいいだろう、義姉さん。」 

「なっ!そんなひどいわ亮真さん。私が小雪さんを責めてるとでも言いたいわけ?」 

「そうは言っていない。」 

 

「なんだ盛り上がってるな?亮真。どうした?小雪さん大丈夫か?」 

「はい、お義兄様。もうお話のほうはよろしかったのですか?」 

「ああ、大したことはないよ。なんだ箸が止まってるじゃないか?さあ、早く頂こう。ほら小雪さんも。…なんだ琴葉、食べないのか?」 

「…いいえ、頂くわ。」 

「小雪、美味いか?」 

「ええ、亮真様。とても美味しい…」 

「そうか。よかった…私の分も、ほら。」 

「またそんな、亮真様の分まで食べてはすぐにお腹いっぱいになってしまいます。」 

「ああ…それもそうか。」 

「おいおい、亮真。そんなに小雪さんを見つめていたら小雪さんも食べづらいだろう?困ったやつだな。ああ、私も気が利かないな。今日は小雪さんと亮真二人にしてやるべきだったか。」 

「兄さん、小雪が困っているからやめてくれ。」 

「そうよ、太賀。それに亮真さんも。」 

ちらりと伺えば、眉根にしわを寄せている亮真様と視線が合ってしまいました。 

「小雪、君がおいしそうに食べる姿が…その、なんだ。いや、見つめてしまってすまない。食べづらいよな。」 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます

しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。 子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。 しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。 そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。 見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。 でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。 リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

処理中です...