見捨てられたのは私

梅雨の人

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お互いの大事な人にきちんと一緒に挨拶に伺えたことにとても穏やかに気持ちになります。 

「これからもずっと一緒にこうして墓参りに行ってくれないか?」 

そう言って下さった東吾様に何度も私は笑顔で何度も頷いたのでした。 


「小雪、手を。」 

そうおっしゃった東吾様はそうするのが当たり前のようにさっと私と手をつないでくださいました。 

ゆっくりと私の隣でいつものように歩調を合わせて歩いて下さる東吾様に胸がときめきます。 

「なんだ小雪、俺に惚れたか?」 

「…ええ、東吾様。大好き…でございます…」 

すると東吾様の大きなため息が聞こえて参りました。 

ふと視線を向けると同時に東吾様に抱きしめられておりました。 

「かっこ悪いから見ないでくれ」
「ふふふっ、どんな東吾様でも…大好きでございますよ」
「…かなわないな…」

◇◇◇◇
 
ゆっくりと二人で手をつないで歩いていつものお店にたどり着きました。
「今日は何を食べようか。」 

「今日も東吾様と一緒にぜんざいを頂きたいです。」 

「良いな、そうしよう、小雪。」 

席についてからつないでいた手を放して向かい合わせに席に着きます。 

ずっとつないでいた手を放すときに、放しがたい思いをしていたのは東吾様もなのでしょうか。向かい合わせで座ってからテーブル越しに私の手をそっと包んでくれております。

食べ終わったころには心まで温かくなっていたのは、美味しいぜんざいのおかげだけではないのでしょう。

お店を出てから、東吾様と再び手をつなぎなおして一緒にゆっくりと歩いて行きます。 


「そうだ小雪、腹ごしらえに後で商店街に行ってみよう。小雪に似合いそうなものがないか一緒に見てみよう。」 

「それなら私も東吾様に似合いそうなものを見繕わさせてくださいませ。」 

「いいな、それ。小雪が俺のために選んでくれるのか?じゃあ、その後は飯を食べて帰ろう。折角なんだからどこか美味いところが良いな…ああ本当に幸せだ。」 

「私も、とても幸せでございます。」 

二人で笑顔をこぼしあって見つめあうだけで世界一幸せになれた気分になれるのだということを、東吾様と一緒だからこそ気が付けたのでしょう。 

私は今、とても幸せ者でございます。 
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