見捨てられたのは私

梅雨の人

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新婚旅行から戻って来ていつもの日常が戻って参りました。 

東吾様はお仕事で大変忙しそうにされておりますが、朝食と夕食を私と一緒に摂って下さったり、週に一日は私とゆっくりする時間を作ってくださっております。 

 

「小雪、小雪、これはどうだ?!」 

子供のように興奮して宝物を見つけたと言わんばかりに私に詰め寄ってきている東吾様に苦笑してしまいます。 

「東吾様…もう十分に選んでいただきましたので…」 

「あんなので十分だって?!もう小雪は本当にかわいいなあ…」 

「またかわいいって…東吾様…」 

 

衣服に髪飾り、手鏡に口紅、手提げに宝飾品などなど、毎度私がお断りしないと恐ろしい量の買い物を私のためにしようとされる東吾様に思わず顔が引きつってしまいそうでございます。 

 ◇◇ 

今日は東吾様と気分転換だと言って街中を二人で気ままに歩いております。 

気分転換だと言ってはこうしてしょっちゅう私を外に連れ出してくださる東吾様はいつもこうして私を甘やかしております。 

 
「小雪、少し疲れただろう?甘いものでも食べながら休憩しようか?」 

「それはとてもうれしいです、東吾様!」 

「よしっ、決まりだな。さあ、どこがいいかな。よし、ルナ洋菓子店に行ってみるか?!」 

「良いですね!では私は洋ナシのケーキを頂いてもよろしいですか?」 

「もちろんだ小雪。そうと決まったら行こうか!」 

「ええ、東吾様。」 

「と、その前に。小雪悪い、ちょっと手洗いに行ってくる。ここで待っててくれるか?」
「それなら私も行ってまいります。」
「そうか、じゃあここで待ち合わせな。絶対にここで待ってるからな。」
「ええ、東吾様、ではまた後程。」
「ああ。」

お手洗いの外には簡単な鏡台が供えられておりましたので、身だしなみをさっと整えてから東吾様のもとへ急いで足を向けます。


きゃあ、きゃあっ!
「うるさいな。妻を待っているだけだから向こうに行ってくれ。」
「奥様はどのような方ですの?私の方が「それは絶対にない」」
「きゃあ!じゃあ私はいかがですか?!」
「駄目よ私の方が!」

女性があっという間に東吾様を囲んでおります。
唖然としてしまいましたが東吾様の表情は無表情でこのような冷たいお顔の東吾様を初めて拝見いたしました。

「東吾様…」
「小雪、行こう。」

さっと女性をかき分けて私のところにいらした東吾様に手をつながれてその場を後に致します。

背後から女性達の視線が突き刺さるようでございますが、東吾様がそれに気が付いたのか私を抱き寄せるようにして歩いてくださいます。
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