見捨てられたのは私

梅雨の人

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「あのっ、小雪さんは一度離縁されたとお伺いいたしましたが...それから一宮様と一緒になられたということでしたら再婚されたということですよね?」 

「絹江、何を言い出すんだ突然…すみません一宮殿、小雪さん」 

「いや、いいよ、それで、君は一体何が言いたいんだ?」 

「失礼ながら、まだお子様も小さいということでございますし…一宮様のような方にはその…もったいないのではないかとっ。」 

「なっ、なんてことを言うんだ絹江!すみません一宮殿!」 

「ほう、つまり再婚したからといって君は俺の妻を愚弄しているということでいいのかな?」 

「そんなつもりは!」 

「じゃあどんなつもりだ?」 

「一宮様には私の方がお似合いだって、そう思いませんか?!」 

「おい、絹江!」 

「は?いや、まったく。ああ、小雪、おいで。」 

私は東吾様からすくうように抱き上げられてあっという間に膝の上に座らせられておりました。視界は東吾様の体で塞がれております。 

「ほらこれ美味いぞ。」 

そう言って手ずからに可愛い手毬寿司を口に入れられてしまいます。 

「美味いだろう?」 

「美味しいです、東吾様…」 

「ほら、もっと食べてごらん?」 

もう一つぽっと口に入れられて東吾様に耳を塞がれてしまいます。 

何をするのですか、と抗議の目で東吾様を振り返りましたら額に口づけをおくられてしまいました。 

笑顔ですのに目が全く笑っておられない東吾様に大変不穏な空気を感じた私はされるがままにすることに致しました。 

 「斎藤殿、貴殿の奥方は腹がいっぱいになったんじゃないか?」 

「そうですね。おい、絹江、腹ごしらえに外でも歩いてこい。疲れたら屋敷に戻っておとなしくしておくんだ。ちょっと、君、うちの者を呼んできてくれ。妻が先に帰ることになったから送るようにと。それから部屋から出ないように見張りをつけるように伝えておいてくれ。」 

「畏まりました。」 

「あなた!一宮様がそんな出戻り女と一緒になるだなんて!あなたと家のために結婚しなければ!一宮様と私は夫婦になれていたはずなのにっ!」 
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