見捨てられたのは私

梅雨の人

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亮真5

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当時私は小雪を大事にしようと心に決めていたものの、琴葉義姉さんに頼られたらつい流され続けていた。 

そんな状況でも夫婦になってからは特に、小雪に対する愛情は日々膨らんでいくばかりだった。 

それなのに… 

 

あの墓参りで急な雨に見舞われた日、思わず琴葉義姉さんの手を取って雨に濡れないよう急いで車に乗せていた。

小雪がついてきていないのに気が付いた私は愕然とする間もなく小雪のもとに慌てて戻っていった。そして目の前で小雪が倒れるのを目の当たりにして頭の中が真っ白になった。 

小雪が倒れた、自分のせいだ…なぜ小雪を一番に助けなかったのだ… 

あの時自分に寄り添っていた、いや、義姉さんを優先してしまったことで後悔の念に押しつぶされそうになりながらも小雪が回復するまで側を離れることができなかった。 

小雪は回復した後、何事もなかったかのように振舞っていた。 

あれだけのことを私がしたというのに小雪は文句ひとつ言ってこなかった。 

文句ひとつも言ってこれないほど信用されていないのか、愛想をつかされてしまったのかと気が気ではなかった。 


どうにか挽回の機会をうかがっていたというのに、懲りない私は小雪ではなく気か付けば琴葉義姉さんを紅葉狩りに連れて行こうとしていた。 

小雪に一緒に行こうと誘われて私が断ったあの場所に、私が琴葉義姉さんを連れて行こうとしていると知った時の小雪の顔は信じられないと、悲しみと戸惑いを湛えていた。  

なぜ私はこうも無神経な間違いばかりを犯したのか。

 

初めて一宮東吾を見た瞬間、彼が小雪を真剣に想っているのだとすぐにわかった。絶対に…絶対に小雪を奪われたくないと強く思った。 

小雪を大事にしたい、愛おしいと日々想いは募るばかりなのに、女心など理解のできない私はずいぶん小雪に酷なことをしてきてしまった。 

日々元気をなくす小雪を歯がゆくもどうすることもできなくて、ついに小雪は藤堂家に戻ってしまった時には目の前が真っ暗になってしまった。 

眠れぬ夜を過ごした私は小雪を迎えに藤堂家に向かった。 

小雪が帰りたくないと言えばあの小雪の兄は絶対に私に小雪との離縁を勧めてくることはわかり切っていた。
だから、何とか小雪を連れて帰ることができた私はもう小雪のそばを離れることができないでいた。 


小雪に見捨てられたくないと不安に駆られた私は、もう執着ともいえる執拗な束縛で小雪を部屋に軟禁した。
これで小雪が私がいなければ生きていけなくなるようになればいい。
あわよくば小雪が私を許してくれることを願っていた。
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