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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
黒猫の探し物 18
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「それからなんです。彼女たちの態度が変わっていったのは」
当時のことを話しているうちに学校の生徒玄関に着いていた。
「ただの妬みじゃない。悪いことなんて一つもない」
桜尾先輩の言う通りだ。改めて思い返してみても私が少し家族自慢をしただけでいじめられるのは不条理だ。でも、本当にそれだけなのかな。
「あの山崎が清音に手を出してきたなら真っ先に私を呼んで。必ず助けるから」
「そんな、桜尾先輩だって大変なのに」
「私のことはもういいのよ。もうすぐ解決するから」
どういうことだろう?
「それよりも私のことは苗字じゃなくすみれって呼んでよ」
「そんな、先輩ですし」
「律儀ねぇ。じゃあ、すみれ先輩は?これならいいでしょ?」
「うぅん、まぁ」
「じゃあ、決まり。次からはそう呼んでね」
「おはよう2人とも」
私が廊下で話していると偶然にも長野先生と出会った。
「桜尾さん、ちょっといいかな」
「構いませんよ。また放課後にね」
「はい。ではまた」
もともと、学年が違うからここで別れるのは当然で、惜しくはない。
それにしても、カウンセリングの先生が朝から何の用があるのかな?
私は長野先生とすみれ先輩の背中を見守る。
楽しそうに笑い合う2人は仲が良いように見える。もしかして、禁断の恋?それはさすがにないか。
そんな乙女心の好奇心が芽生えた。
金曜日の授業ということもあって、生徒たちはどこか気怠げで浮かれたまま2時間目が終わった。
山崎のことを坂本先生に話そうかと悩んだけど、取り敢えず、様子を見ることにした。
トイレから教室へと戻る途中、廊下側の窓枠に立つケイの姿があった。窓の外にいるケイは私をじっと見つめている。
何か用があるのかな。
私は周りに誰かいないか確認した後、窓を開けてケイは廊下へと入ってくる。
「助かった」
雨で濡れた毛並みの体をブルブルとふるって雫を払う。
「あなたの言っていた手掛かりは見つかったの?」
「いや。多分、中に入る」
ケイが言っていることは今一つ理解できない。彼が探しているものはどんなものなんだろう?
不意にケイが私の足を嗅ぐと見上げる。
「嫌な臭いが強くなった」
「え?嘘?」
そういえば昨日もそんなことを言っていた気がする。気になって自分の腕や髪を嗅いでみても私自身の体臭は気付きにくいし、髪はシャンプーの香りが残っている。
「キヨネだけじゃない。そこらじゅうにする」
「その、嫌な臭いって?」
「鬼と蝶だ」
どくり、と脈が強く打ったのを感じた。鬼とはあの黒い化け物を示しているなら、この学校は安全ではない?もしかして、鬼の巣になっているの?
ケイはそこらじゅうに嫌な臭いがすると言っていた。なら、鬼がここに住み着いている可能性だってある。
平日の学校なのに静かな廊下は私に恐怖を植え付けた。どこかで金色の鬼の目が私を見ている気がする。
「キヨネ」
また私がパニックになると思ったみたいで、ケイが優しく名を呼ぶ。
その直後、静寂を守っていた廊下のスピーカーから耳障りな音が流れ出す。決して授業の開始を告げるチャイムじゃなくて、砂嵐の音と高音が混ざり合った不快な音。
「4月は希望そのものだった」
砂嵐が収まって次にスピーカーが流したのは 時折、雑音が入る女性の声だった。
「晴天は祝福していて桜吹雪は制服姿の背中を押す」
当時のことを話しているうちに学校の生徒玄関に着いていた。
「ただの妬みじゃない。悪いことなんて一つもない」
桜尾先輩の言う通りだ。改めて思い返してみても私が少し家族自慢をしただけでいじめられるのは不条理だ。でも、本当にそれだけなのかな。
「あの山崎が清音に手を出してきたなら真っ先に私を呼んで。必ず助けるから」
「そんな、桜尾先輩だって大変なのに」
「私のことはもういいのよ。もうすぐ解決するから」
どういうことだろう?
「それよりも私のことは苗字じゃなくすみれって呼んでよ」
「そんな、先輩ですし」
「律儀ねぇ。じゃあ、すみれ先輩は?これならいいでしょ?」
「うぅん、まぁ」
「じゃあ、決まり。次からはそう呼んでね」
「おはよう2人とも」
私が廊下で話していると偶然にも長野先生と出会った。
「桜尾さん、ちょっといいかな」
「構いませんよ。また放課後にね」
「はい。ではまた」
もともと、学年が違うからここで別れるのは当然で、惜しくはない。
それにしても、カウンセリングの先生が朝から何の用があるのかな?
私は長野先生とすみれ先輩の背中を見守る。
楽しそうに笑い合う2人は仲が良いように見える。もしかして、禁断の恋?それはさすがにないか。
そんな乙女心の好奇心が芽生えた。
金曜日の授業ということもあって、生徒たちはどこか気怠げで浮かれたまま2時間目が終わった。
山崎のことを坂本先生に話そうかと悩んだけど、取り敢えず、様子を見ることにした。
トイレから教室へと戻る途中、廊下側の窓枠に立つケイの姿があった。窓の外にいるケイは私をじっと見つめている。
何か用があるのかな。
私は周りに誰かいないか確認した後、窓を開けてケイは廊下へと入ってくる。
「助かった」
雨で濡れた毛並みの体をブルブルとふるって雫を払う。
「あなたの言っていた手掛かりは見つかったの?」
「いや。多分、中に入る」
ケイが言っていることは今一つ理解できない。彼が探しているものはどんなものなんだろう?
不意にケイが私の足を嗅ぐと見上げる。
「嫌な臭いが強くなった」
「え?嘘?」
そういえば昨日もそんなことを言っていた気がする。気になって自分の腕や髪を嗅いでみても私自身の体臭は気付きにくいし、髪はシャンプーの香りが残っている。
「キヨネだけじゃない。そこらじゅうにする」
「その、嫌な臭いって?」
「鬼と蝶だ」
どくり、と脈が強く打ったのを感じた。鬼とはあの黒い化け物を示しているなら、この学校は安全ではない?もしかして、鬼の巣になっているの?
ケイはそこらじゅうに嫌な臭いがすると言っていた。なら、鬼がここに住み着いている可能性だってある。
平日の学校なのに静かな廊下は私に恐怖を植え付けた。どこかで金色の鬼の目が私を見ている気がする。
「キヨネ」
また私がパニックになると思ったみたいで、ケイが優しく名を呼ぶ。
その直後、静寂を守っていた廊下のスピーカーから耳障りな音が流れ出す。決して授業の開始を告げるチャイムじゃなくて、砂嵐の音と高音が混ざり合った不快な音。
「4月は希望そのものだった」
砂嵐が収まって次にスピーカーが流したのは 時折、雑音が入る女性の声だった。
「晴天は祝福していて桜吹雪は制服姿の背中を押す」
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