糸と蜘蛛

犬若丸

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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者

とある生徒と蝶男 その三

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   不服と言わんばかりの目線を蝶男に投げる。
   「あの子が早く帰らなかった。それだけさ」
   計画としては学校に閉じ込められるのは演劇部員たちとあの2人。関係のない人たちは早く帰らせるように蝶男は仕組んだ。
   「取り残しはあるさ。僕も完璧じゃない。それに計画は始まっているんだ。大丈夫だよ。岡本  清音はあそこに置いておけば安心さ」
   「そんなこと言われても」
   計画の目的は演劇部員の皆殺しと赤眼の男、そして、笹塚  瑠璃の殺害だ。瑠璃と赤眼の男、この2人に恨みは無い。できればやりたくない。しかし、それが蝶男の要求だった。
   蝶男が計画を練り、助力と助言をしてくれる代わりに2人の魂を入手する。
   だから、赤眼の男と行動する清音が危険に晒されるのは必然的なのだ。
   「コントロールすればいい。簡単さ。やり方はわかるだろ?」
   鬼たちを操る。それは簡単だった。意思を鬼に伝えれば良い。しかし、物事というのはそんな単純ではない。
   「でも赤眼の男、鬼を倒すなんて聞いていません。あんな太い牙を抜いて刺してしまったんですよ。しかも、あんな大勢で」
   傷だらけの体で動けるのはまだ自己解釈できる。あの男は死者だから、いくら傷を負っても平気なのだと自分を納得させた。しかし、人離れした身体能力をどう納得すればいい?
   「型が崩れ始めているんだよ。君もそのうちああなるよ」
   あまり、嬉しくない。型が崩れる。それは怪物になるのと同等の意味だ。
   「彼は、君とちょっと似ているかも」
   同じものを身体に埋め込まれたから。そのことを蝶男は言ったのだろうか?それ以外にも赤眼の男と共通するものがあるのだろうか?
   いや、雑念は捨てておこう。計画に集中しないと。もうすでに鬼が2体もやられたのだから。
   臨機応変に遂行していかないと。いかれた復讐者にやなりきり、残酷な黒幕になりきる。大丈夫、できるはず。演劇は大好きなんだから。
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