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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
糸 3
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「人違いよ。あたしはそんな人知らない」
「お前は知ってる。だが知らない」
「何言ってるの?もう一度言うけど、あたしは知ら」
「伝言だ」
ケイは聞く耳を持たず、話を遮る。まぁ、いいわ。その伝言やらを聞いてから文句を言おう。
けれど、ケイは黙って、その先を言おうとしない。
「何よ、沈黙が伝言なの?」
「忘れた」
その一言はあまりにも間抜けで謎が多い。
「忘れたって、あなた」
言いたい文句も浮かばない。呆れ、絶句。付き合ってられない。
「いいわ。わかった。取り敢えず刃物を向けないでくれる?」
「これはお前が持て」
「あのね、あたしは剣道部じゃないの。段も持っていない」
「お前が持つものだ」
ほんと、話を聞かない人ね。どんな神経しているのよ。
私がケイに反論しようとするとスピーカーから相手を嘲笑い口調で1人の女性が放送流してきた。
「演劇部の皆さん、何人生き残れました? 1、2、3、4」
既に23時になった学校に放送?
なんの悪戯?迷惑行為よね。これなら周囲の住民がすぐに通報する。面倒事に関わる前に早く帰りましょうか。
「9人!こんなにいる!すごいね! 16時半から始めた鬼ごっこも中盤になってきたけど鬼だけじゃあ飽きてきたんじゃない?」
鬼?彼女、鬼って言った。そう、そういえば。
記憶が鮮明に蘇る。あたしは気絶直前、鬼に襲われた。なら、この放送は何?
「グラウンドは見た?ドキドキしちゃうね。まだ安心していいわよ。あれはまだ襲ってこないから」
その声を聞き流してあたしは自分の腕、脚、胸を探ってでは異常のない肌を確認する。
気を失う寸前、あたしには黒い蝶の模様があった。それがない。気絶している間あたしはどうなっていたの?
「アドベンチャーはまだあるのよ。廊下に出れた果実、だいぶ成長したでしょ?」
放送はまだ続いていた。
「それと放送室に近づいた馬鹿がいたみたいね。これ以上の死者が出たら可哀想だから言っておく。機械室と放送室には近づかないで」
放送は終わり、夜の小雨がやけにうるさく響く。これを静寂と呼ぶには相応しくないわね。
あの放送の声。思い出した。桜尾 すみれだわ。彼女はあの長野と名乗る教師のもとにいた生徒。そして、肌に浮かんだ蝶の模様は彼が差し出した紅茶が原因でしょうね。
長野、蝶男が紅茶に何かしらの薬を混ぜたのは間違いない。
その薬が何だったのか本人に聞かないと推測すらできない。その上、血を吐いて倒れて約5時間分も昏睡状態にあったのに身体の異変がない。
気になることがもう一つある。
蝶男はわざわざ砂糖の有無を尋ねて、砂糖の瓶は見える位置にあった。
あたしが蝶男の立場なら砂糖・ミルクの有無は聞かないでビンの蓋を開けて砂糖を入れるふりをして薬を混ぜる。
そうすれば相手は甘い紅茶に不信を抱かないで飲み干す。蝶男はあたしに不信感を抱かせるためにわざと甘い紅茶を出した。
そうとしか考えられない。高校生に悟られるようなミスをする間抜けには見えない。だとしたら蝶男の真意は何か。それはあたしが毒入り紅茶に気付いても問題は無いから。実際に紅茶を吐いて対処してもこの有様だった。
わざと対処させて苦しませたのは蝶男からの宣戦布告。どこまでもあたしに纏わりつくという一方的なメッセージ。
なんて迷惑な話。
「お前は知ってる。だが知らない」
「何言ってるの?もう一度言うけど、あたしは知ら」
「伝言だ」
ケイは聞く耳を持たず、話を遮る。まぁ、いいわ。その伝言やらを聞いてから文句を言おう。
けれど、ケイは黙って、その先を言おうとしない。
「何よ、沈黙が伝言なの?」
「忘れた」
その一言はあまりにも間抜けで謎が多い。
「忘れたって、あなた」
言いたい文句も浮かばない。呆れ、絶句。付き合ってられない。
「いいわ。わかった。取り敢えず刃物を向けないでくれる?」
「これはお前が持て」
「あのね、あたしは剣道部じゃないの。段も持っていない」
「お前が持つものだ」
ほんと、話を聞かない人ね。どんな神経しているのよ。
私がケイに反論しようとするとスピーカーから相手を嘲笑い口調で1人の女性が放送流してきた。
「演劇部の皆さん、何人生き残れました? 1、2、3、4」
既に23時になった学校に放送?
なんの悪戯?迷惑行為よね。これなら周囲の住民がすぐに通報する。面倒事に関わる前に早く帰りましょうか。
「9人!こんなにいる!すごいね! 16時半から始めた鬼ごっこも中盤になってきたけど鬼だけじゃあ飽きてきたんじゃない?」
鬼?彼女、鬼って言った。そう、そういえば。
記憶が鮮明に蘇る。あたしは気絶直前、鬼に襲われた。なら、この放送は何?
「グラウンドは見た?ドキドキしちゃうね。まだ安心していいわよ。あれはまだ襲ってこないから」
その声を聞き流してあたしは自分の腕、脚、胸を探ってでは異常のない肌を確認する。
気を失う寸前、あたしには黒い蝶の模様があった。それがない。気絶している間あたしはどうなっていたの?
「アドベンチャーはまだあるのよ。廊下に出れた果実、だいぶ成長したでしょ?」
放送はまだ続いていた。
「それと放送室に近づいた馬鹿がいたみたいね。これ以上の死者が出たら可哀想だから言っておく。機械室と放送室には近づかないで」
放送は終わり、夜の小雨がやけにうるさく響く。これを静寂と呼ぶには相応しくないわね。
あの放送の声。思い出した。桜尾 すみれだわ。彼女はあの長野と名乗る教師のもとにいた生徒。そして、肌に浮かんだ蝶の模様は彼が差し出した紅茶が原因でしょうね。
長野、蝶男が紅茶に何かしらの薬を混ぜたのは間違いない。
その薬が何だったのか本人に聞かないと推測すらできない。その上、血を吐いて倒れて約5時間分も昏睡状態にあったのに身体の異変がない。
気になることがもう一つある。
蝶男はわざわざ砂糖の有無を尋ねて、砂糖の瓶は見える位置にあった。
あたしが蝶男の立場なら砂糖・ミルクの有無は聞かないでビンの蓋を開けて砂糖を入れるふりをして薬を混ぜる。
そうすれば相手は甘い紅茶に不信を抱かないで飲み干す。蝶男はあたしに不信感を抱かせるためにわざと甘い紅茶を出した。
そうとしか考えられない。高校生に悟られるようなミスをする間抜けには見えない。だとしたら蝶男の真意は何か。それはあたしが毒入り紅茶に気付いても問題は無いから。実際に紅茶を吐いて対処してもこの有様だった。
わざと対処させて苦しませたのは蝶男からの宣戦布告。どこまでもあたしに纏わりつくという一方的なメッセージ。
なんて迷惑な話。
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