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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
糸 7
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確認しようと向かい合ってみると輪切りに切断されても安斉は腕を持ち上げてはあたしを睨む。
彼が再び襲ってくる前にケイが肩をさして串刺すとをち上げて、できるだけ遠くへと投げる。
「動いた」
「動いたわね」
遠目で安斉の存在を確認する。もちろん、死亡していることを願う。パッション男はピクリとも動かない。
「人じゃない」
「さっきも言ったわね」
同じ問答をするつもりはない。あれが動かないのならそれに越した事は無い。
「きゃははは!」
甲高く耳障りな放送がまた流れてきた。そして、また笑い狂ったすみれが身の毛も弥立つ歓喜で声を震わせる。あたしはそれを冷淡と軽蔑の態度で聞く。
「もう会ったかな?ね?ね?死んだ仲間と会えて感動した?震えて涙が出た?私が丹精込めて作ったレプリカよ!お前らの悲鳴を満たしてくれますようにって祈って作ったのよ!アハハハハハ!」
笑いながら途切れた放送。それを合図に巨大なパッションフルーツが2個、4個、6個と次々と落ちて中から人もどきが出てくる。
あぁ、もう。予想通りの厄介事が起きたわね。でも、道はまだ塞がれていない。
天井に垂れるパッションフルーツが揺れては落ちる。その数は無限と言っても過言じゃなくて、緑の果実が膨らんでは黒く熟成していく。
果実から生まれるのは怪事件で死んでいった者たちだった。中には山崎や安斉の姿もある。きっと鬼で食わせた人たちをモデルにしたのね。
あたしの頭上も行く先の道にも黒い果実が揺れては今にも落ちてしまいそう。
恐怖を感じる暇は無い。
階段は3つの教室を越えたところにある。ケイが3-Aまで運んだのを恨む。よりによって階段から離れた教室に運んだのだから。
あたしが1歩踏み出すとパッションフルーツが隣に落ちて切れ目から白い手が足首を掴もうとしてきた。
その手をケイの刃が切り落とす。
「走り抜けろ!」
ケイが叫ぶ。呼応するようにハクも吠える。
言われなくたってそうする。もうしている。その文句を言う余裕もない。すぐ隣に落ちた果実にも見向きしなかったのだから。
その時だけあたしは感情を切り離した。全ては走る、避けるを意識する為に。
大股で白と紫の花を踏みつけて大きく両手を振り、人間もどきのぬめった肌を掠めても走る。走り抜く。
1分もしないうちに次の果実が落ちる。30秒もしないうちに果実が落ちる。蛙の卵を身に纏った人間もどきが床を埋め尽くす勢いで増えていく。
埋まり、狭まる逃げ道。その僅かな隙間を見極める。目前に落ちた果実を避けると女子生徒があたしの右側から襲ってくる。
あたしは身を屈めると跳ねて飛んできた彼女は壁に激突して脆い頭が潰れる。あたしは目を止めずに走る。
数が多くなった人間もどきはお互いを押し付けて何重にも重なり合っていく。その風景は人で作られた海の波みたく異様なものだった。生者を食らおうとする死者たちはあたしとケイを追いかける。
あたしはその波に呑まれないように全力で走り、階段の前まで着く。
彼が再び襲ってくる前にケイが肩をさして串刺すとをち上げて、できるだけ遠くへと投げる。
「動いた」
「動いたわね」
遠目で安斉の存在を確認する。もちろん、死亡していることを願う。パッション男はピクリとも動かない。
「人じゃない」
「さっきも言ったわね」
同じ問答をするつもりはない。あれが動かないのならそれに越した事は無い。
「きゃははは!」
甲高く耳障りな放送がまた流れてきた。そして、また笑い狂ったすみれが身の毛も弥立つ歓喜で声を震わせる。あたしはそれを冷淡と軽蔑の態度で聞く。
「もう会ったかな?ね?ね?死んだ仲間と会えて感動した?震えて涙が出た?私が丹精込めて作ったレプリカよ!お前らの悲鳴を満たしてくれますようにって祈って作ったのよ!アハハハハハ!」
笑いながら途切れた放送。それを合図に巨大なパッションフルーツが2個、4個、6個と次々と落ちて中から人もどきが出てくる。
あぁ、もう。予想通りの厄介事が起きたわね。でも、道はまだ塞がれていない。
天井に垂れるパッションフルーツが揺れては落ちる。その数は無限と言っても過言じゃなくて、緑の果実が膨らんでは黒く熟成していく。
果実から生まれるのは怪事件で死んでいった者たちだった。中には山崎や安斉の姿もある。きっと鬼で食わせた人たちをモデルにしたのね。
あたしの頭上も行く先の道にも黒い果実が揺れては今にも落ちてしまいそう。
恐怖を感じる暇は無い。
階段は3つの教室を越えたところにある。ケイが3-Aまで運んだのを恨む。よりによって階段から離れた教室に運んだのだから。
あたしが1歩踏み出すとパッションフルーツが隣に落ちて切れ目から白い手が足首を掴もうとしてきた。
その手をケイの刃が切り落とす。
「走り抜けろ!」
ケイが叫ぶ。呼応するようにハクも吠える。
言われなくたってそうする。もうしている。その文句を言う余裕もない。すぐ隣に落ちた果実にも見向きしなかったのだから。
その時だけあたしは感情を切り離した。全ては走る、避けるを意識する為に。
大股で白と紫の花を踏みつけて大きく両手を振り、人間もどきのぬめった肌を掠めても走る。走り抜く。
1分もしないうちに次の果実が落ちる。30秒もしないうちに果実が落ちる。蛙の卵を身に纏った人間もどきが床を埋め尽くす勢いで増えていく。
埋まり、狭まる逃げ道。その僅かな隙間を見極める。目前に落ちた果実を避けると女子生徒があたしの右側から襲ってくる。
あたしは身を屈めると跳ねて飛んできた彼女は壁に激突して脆い頭が潰れる。あたしは目を止めずに走る。
数が多くなった人間もどきはお互いを押し付けて何重にも重なり合っていく。その風景は人で作られた海の波みたく異様なものだった。生者を食らおうとする死者たちはあたしとケイを追いかける。
あたしはその波に呑まれないように全力で走り、階段の前まで着く。
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