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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
とある生徒の終幕 7
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新学期を控えた春休み。春がやってきて早朝の靄は朧げに流れる。
学校でもないのに早く起きてしまった。今思えば、それは単なる偶然では無いのかもしれない。
ほんちゃんを憂いながら高校生活を1年過ごした私は無意識のうちにその日を予測していたのかもしれない。ベッドから起きて、窓のカーテンを開けたのも無意識の予測からくる行動だったのかもしれない。
私の自室からは家の玄関門が見える。朝には決まって新聞が投函されていて、その日も早朝だと言うのに既に新聞が入っていた。
新聞の入ったポストの前にはほんちゃんが長方形の封筒を入れて立ち去って行った。
目のクマとやつれた顔、乱れた髪と伸びてよれた寝巻き姿。おしゃれ好きのほんちゃんにはありえない姿だった。
急ぎ足で立ち去る姿が無意識の予測から嫌な胸騒ぎへと変えさせた。
パーカーを1枚だけ羽織り、外へと急ぐ。
早朝の冷気がどこか寝惚けていた頭を起こして、口から吐く息が白い煙となる。
ほんちゃんはどこにもいなかった。
寝惚けて夢か現実か分からなくなったのだろうか。いや、ポストに封筒が入っている。夢ではない。
ほんちゃんが向かった方向へ私は走った。私の家は住宅地にあったが、数分歩けばトラックも走る交通量の多い大通りがある。まだ7時にもなっていないのにトラックや軽自動車がちらほらと走っていく。
ほんちゃんは歩道橋の真ん中に立って、薄くぼやける明けた空を眺めていた。本来の明るさを失ったほんちゃんが朧げな空気に溶けてしまう。そんな恐怖心が煽られる風景だった。
「ほんちゃん!」
名前を呼んで彼女の元へ急ぐ。その後は考えてはいなかった。早く行かないと行けない。そんな気がした。
私の声は反対側から走るトラックによってかき消された。
空を仰ぎ、停止していたほんちゃんが向かってくるトラックに合わせて、手すりに身を乗り出すと柵の外側に立つ。
予測が胸騒ぎになり、胸騒ぎは確信へと変わった。
朝焼けの太陽光をトラックが遮り、歩道橋下に影が落ちる。その影の中へほんちゃんは飛んだ。
「ほんちゃん!」
叫んで止めようとしてもすでに遅いのだ。
突然、降って現れた少女に運転手は急ブレーキを踏むが、間に合わない。
春の虚う空気に漂いながら落ちるほんちゃん。背後には大きなトラック。クラクションが鳴り、タイヤがアスファルトの地面に擦れてできる煙。
死の直前、ほんちゃんと私の目が合った。
数ヶ月ぶりに彼女と正面から向き合った。
トラックが彼女と接触する数秒間。私たちは声も出ず、思考も止まり、その瞬間を待つ。
急ブレーキしたトラックはほんちゃんの身体を引き摺りながら数m進んで止まった。
道路には黒い線のタイヤ痕と赤い線のほんちゃんの跡があった。
ランニング中のおじいさんや軽自動車を走らせていた運転手もこの事態に集まり、救急車を呼んでは彼女の安否を確認しようとドラック下を覗き込む。騒ぎに気付いた人たちが物珍しそうに写真を撮り、話題を盛り上げる。
騒ぎの中、私だけが留まり続けた。遠くからサイレンの音がした。
学校でもないのに早く起きてしまった。今思えば、それは単なる偶然では無いのかもしれない。
ほんちゃんを憂いながら高校生活を1年過ごした私は無意識のうちにその日を予測していたのかもしれない。ベッドから起きて、窓のカーテンを開けたのも無意識の予測からくる行動だったのかもしれない。
私の自室からは家の玄関門が見える。朝には決まって新聞が投函されていて、その日も早朝だと言うのに既に新聞が入っていた。
新聞の入ったポストの前にはほんちゃんが長方形の封筒を入れて立ち去って行った。
目のクマとやつれた顔、乱れた髪と伸びてよれた寝巻き姿。おしゃれ好きのほんちゃんにはありえない姿だった。
急ぎ足で立ち去る姿が無意識の予測から嫌な胸騒ぎへと変えさせた。
パーカーを1枚だけ羽織り、外へと急ぐ。
早朝の冷気がどこか寝惚けていた頭を起こして、口から吐く息が白い煙となる。
ほんちゃんはどこにもいなかった。
寝惚けて夢か現実か分からなくなったのだろうか。いや、ポストに封筒が入っている。夢ではない。
ほんちゃんが向かった方向へ私は走った。私の家は住宅地にあったが、数分歩けばトラックも走る交通量の多い大通りがある。まだ7時にもなっていないのにトラックや軽自動車がちらほらと走っていく。
ほんちゃんは歩道橋の真ん中に立って、薄くぼやける明けた空を眺めていた。本来の明るさを失ったほんちゃんが朧げな空気に溶けてしまう。そんな恐怖心が煽られる風景だった。
「ほんちゃん!」
名前を呼んで彼女の元へ急ぐ。その後は考えてはいなかった。早く行かないと行けない。そんな気がした。
私の声は反対側から走るトラックによってかき消された。
空を仰ぎ、停止していたほんちゃんが向かってくるトラックに合わせて、手すりに身を乗り出すと柵の外側に立つ。
予測が胸騒ぎになり、胸騒ぎは確信へと変わった。
朝焼けの太陽光をトラックが遮り、歩道橋下に影が落ちる。その影の中へほんちゃんは飛んだ。
「ほんちゃん!」
叫んで止めようとしてもすでに遅いのだ。
突然、降って現れた少女に運転手は急ブレーキを踏むが、間に合わない。
春の虚う空気に漂いながら落ちるほんちゃん。背後には大きなトラック。クラクションが鳴り、タイヤがアスファルトの地面に擦れてできる煙。
死の直前、ほんちゃんと私の目が合った。
数ヶ月ぶりに彼女と正面から向き合った。
トラックが彼女と接触する数秒間。私たちは声も出ず、思考も止まり、その瞬間を待つ。
急ブレーキしたトラックはほんちゃんの身体を引き摺りながら数m進んで止まった。
道路には黒い線のタイヤ痕と赤い線のほんちゃんの跡があった。
ランニング中のおじいさんや軽自動車を走らせていた運転手もこの事態に集まり、救急車を呼んでは彼女の安否を確認しようとドラック下を覗き込む。騒ぎに気付いた人たちが物珍しそうに写真を撮り、話題を盛り上げる。
騒ぎの中、私だけが留まり続けた。遠くからサイレンの音がした。
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