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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
梅雨明け 2
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「紅茶を飲ませた人は検証もついでに行ったんだ。涼君は幼虫を少量にして長期間にかけて黒蝶を馴染ませた。桜尾 すみれは量を増やして短期間で飲ませた。岡本 清音は1番少ないね。それぞれ違った結果が出て楽しかったよ」
「俺たちはお前の娯楽で狂わされたのか」
カンダタの憎悪が頂点に達しようとしていた。カンダタの代わりにあたしが受け答えをしていたのは彼の心情ではそれが難しかったから。
「あの少年も俺の命もべにの人生も!てめえが奪ったもの!返せ!」
これじゃ話が進まないわね。あたしはティーカップを持って、熱が残る紅茶をカンダタの脚にかける。
唐突な妨害にカンダタの怒りは一気に冷めて、あたしに怒りの目が向けられる。
「私は話をしにきたの。騒いで暴れる猿は猿山に帰って」
ここに来るまでにそう決めていた。蝶男と対峙しても話し合いをするだけ。それで危なくなったら白鋏で逃げる。戦闘は避ける。
カンダタもそれを思い出してくれたようで口を噤む。
「悪かったわね」
「僕としては暴れてもよかったんだけどね。続けようか。瑠璃に飲ませた幼虫なんだか工夫して飲ませたんだ。でもまた駄目だった」
「また?」
「血を吐いて倒れたろ。あれは拒絶反応だ。黒蝶を追い出そうとしてあの反応が出る。前にもに何度か試したんだが、白糸・白鋏が受け入れてくれない。君に関しては期待半分、諦め半分だった」
「他の3人も失敗したんでしょ?」
蝶男のすかした笑顔に眉が上がる。それが図星をつかれたときの表情だと認識する。
「だって藤井 涼は黒蝶を斬られて輪廻に流れたし、すみれも同じでしょ。清音は少量すぎて蝶化にはならない上に黒猫の護衛がついている。あなたの計画は失敗したのよ。生産場作りもあたしの魂抽出もね」
「全くその通りだよ。せっかくカウンセラーになったのに意味がわなかった」
余裕ある笑みを浮かべては紅茶を飲む。そういう割には悔しそうには見えないわね。
「次の質問いいかしら?」
「どうぞ」
「あなたもハザマもどうしてあたしを殺そうとしないの?」
ずっとあったこの疑問。蝶男は目を俯かせてティーカップを置く。
「それの説明は、長い話になる。随分と昔で懐かしい話だ」
「短くお願いできる?」
とんでもなく話が長くなりそうな予感がしたのでお願いしてみる。
思い出に浸りそうになった蝶男はひと呼吸おくと感情のない笑顔に戻る。
「君の魂はね、ハザマに流れないんだ。白糸・白鋏の魂は死んだ後、直接輪廻に向かう」
「聞いていた話と違うわね。死んだらハザマへ。これが自然な流れなのになんであたしだけ?」
「大昔、白糸・白鋏を用いてそういうふうに細工した者がいた。摂理を覆すとんでもない行為だ。そのせいで話が簡単にいかなくなった」
とんでもない行為。蝶男にそれを言わせる人物がいたのね。でも、そのお陰であたしの魂は守られている。輪廻に流れるとせっかく発見したで白糸・白鋏を失うことにるもの。
「でも僕は諦めないからね。まだプランはあるんだ」
「その時こそ、私があなたを殺す。懺悔の台詞を考えておくことね」
「必要となったらそうしよう。さて、そろそろ生存者4人が目覚めているんじゃないかな。警察が来る前に出たほうがいい」
「そうさせてもらうわ。行くわよ」
憎しみが積もり溜まっている1人と1体にそう伝えてあたしは教室から出る。
「あ、そうそう」
言いたいことがあったと思い出してあたしは蝶男に告げる。
「あたしを殺すなら雨の日にして。あたしの死体は雨が似合うから」
「おや、機会を逃してしまったな。今日から梅雨明けだそうだよ」
「良いニュースね」
雨上がりのような爽やかな笑顔をしてドアを閉める。
「俺たちはお前の娯楽で狂わされたのか」
カンダタの憎悪が頂点に達しようとしていた。カンダタの代わりにあたしが受け答えをしていたのは彼の心情ではそれが難しかったから。
「あの少年も俺の命もべにの人生も!てめえが奪ったもの!返せ!」
これじゃ話が進まないわね。あたしはティーカップを持って、熱が残る紅茶をカンダタの脚にかける。
唐突な妨害にカンダタの怒りは一気に冷めて、あたしに怒りの目が向けられる。
「私は話をしにきたの。騒いで暴れる猿は猿山に帰って」
ここに来るまでにそう決めていた。蝶男と対峙しても話し合いをするだけ。それで危なくなったら白鋏で逃げる。戦闘は避ける。
カンダタもそれを思い出してくれたようで口を噤む。
「悪かったわね」
「僕としては暴れてもよかったんだけどね。続けようか。瑠璃に飲ませた幼虫なんだか工夫して飲ませたんだ。でもまた駄目だった」
「また?」
「血を吐いて倒れたろ。あれは拒絶反応だ。黒蝶を追い出そうとしてあの反応が出る。前にもに何度か試したんだが、白糸・白鋏が受け入れてくれない。君に関しては期待半分、諦め半分だった」
「他の3人も失敗したんでしょ?」
蝶男のすかした笑顔に眉が上がる。それが図星をつかれたときの表情だと認識する。
「だって藤井 涼は黒蝶を斬られて輪廻に流れたし、すみれも同じでしょ。清音は少量すぎて蝶化にはならない上に黒猫の護衛がついている。あなたの計画は失敗したのよ。生産場作りもあたしの魂抽出もね」
「全くその通りだよ。せっかくカウンセラーになったのに意味がわなかった」
余裕ある笑みを浮かべては紅茶を飲む。そういう割には悔しそうには見えないわね。
「次の質問いいかしら?」
「どうぞ」
「あなたもハザマもどうしてあたしを殺そうとしないの?」
ずっとあったこの疑問。蝶男は目を俯かせてティーカップを置く。
「それの説明は、長い話になる。随分と昔で懐かしい話だ」
「短くお願いできる?」
とんでもなく話が長くなりそうな予感がしたのでお願いしてみる。
思い出に浸りそうになった蝶男はひと呼吸おくと感情のない笑顔に戻る。
「君の魂はね、ハザマに流れないんだ。白糸・白鋏の魂は死んだ後、直接輪廻に向かう」
「聞いていた話と違うわね。死んだらハザマへ。これが自然な流れなのになんであたしだけ?」
「大昔、白糸・白鋏を用いてそういうふうに細工した者がいた。摂理を覆すとんでもない行為だ。そのせいで話が簡単にいかなくなった」
とんでもない行為。蝶男にそれを言わせる人物がいたのね。でも、そのお陰であたしの魂は守られている。輪廻に流れるとせっかく発見したで白糸・白鋏を失うことにるもの。
「でも僕は諦めないからね。まだプランはあるんだ」
「その時こそ、私があなたを殺す。懺悔の台詞を考えておくことね」
「必要となったらそうしよう。さて、そろそろ生存者4人が目覚めているんじゃないかな。警察が来る前に出たほうがいい」
「そうさせてもらうわ。行くわよ」
憎しみが積もり溜まっている1人と1体にそう伝えてあたしは教室から出る。
「あ、そうそう」
言いたいことがあったと思い出してあたしは蝶男に告げる。
「あたしを殺すなら雨の日にして。あたしの死体は雨が似合うから」
「おや、機会を逃してしまったな。今日から梅雨明けだそうだよ」
「良いニュースね」
雨上がりのような爽やかな笑顔をしてドアを閉める。
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